ＫＴ(KT)
（2002年 日本・韓国）（上映時間２時間18分）
監督：阪本順治
出演：佐藤浩市、原田芳雄、キム・ガプス、チェ・イルファ、筒井道隆、ヤン
・ウニョン、香川照之、大口ひろし、柄本明、光石研、利重剛、麿赤兒、江波
杏子、中本奈奈、平田満、白竜
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＜ストーリー＞
1973年4月。自衛隊陸上幕僚監部二部所属の富田満州男（佐藤浩市）は、アルバ
イトをしながら日本で暮す李政美（ヤン・ウニョン）と出会い、韓国大使館一
等書記官・金車雲（キム・ガプス）の指揮により、ＫＣＩＡに拉致されそうに
なる彼女を救う。まもなく、韓国の反朴民主化のために精力的な国外活動を続
ける金大中を拉致する計画がＫＣＩＡにより持ち上がり、富田はそのサポート
を命じられる。紆余曲折の末、富田の協力によっていよいよ計画が実行される
が……。
＜レビュー＞
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実在の事件をもとにした緊迫のポリティカル・サスペンス。骨太ですッ！
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韓国大統領の強力なライバル金大中が、ＫＣＩＡによって拉致され、５日後に
ソウル市内の自宅前で目隠しされ、傷だらけの状態で発見された"金大中事件"
を『どついたるねん』『顔』などの阪本順治監督が描いたポリティカル・サス
ペンス。
いかにも阪本監督らしい骨太な映画ですねぇ〜。 (*^_^*)
実話を描いたとはいっても、ナゾが多い事件だけに、かなりフィクションの要
素も取り込んでいます。事件の背後で自衛官たちが暗躍し、ＫＣＩＡに協力し
たというのがその中心。もしかしたら、実際にそういうことがあったのかもし
れませんが、それとは関係なく、ドラマを盛り上げるうえで実に効果的な設定
になっています。
特に佐藤浩市演じる自衛官が、戦後体制や戦わない自衛隊に疑問を持ち、自ら
の戦争としてＫＣＩＡに協力し、一方、原田芳雄演じる新聞記者がその対極に
ある人物として対立するという構図が、人間ドラマとしての重みを生み出して
います。 (~ヘ~;)
拉致計画の立案から実行に至るあたりの緊迫感には並々ならぬものがあります。
フィクションを織り込んでいるとはいえ、「もしかしたら本当に……」と思
わせるリアルさが伝わってきます。
また、韓国人の反日感情や、日本人の韓国人に対する差別の問題などもさり気
なく取り上げて、ただのエンターティメント作品ではない深みを持たせていま
す。
もちろん、最大の深みは、独裁者にとってのライバルを実力で消し去ろうとす
るコワ〜イ国家による犯罪。その恐ろしさを描き出すと同時に、国家に翻弄さ
れる個人のはかない運命も同時に描いています。
日韓の役者がガップリ四つに組んだ白熱の演技も見もの。それと阪本監督らし
い力強い演出によって、見応えタップリの作品になっています。
ま、佐藤浩市演じる自衛官と韓国人女性との愛がツッコミ不足だったり、事件
に対する日本政府の対応がイマイチ描き足りなかったりはするのですが……。
ラストもミエミエといえばミエミエですね。 (´ヘ｀;)
それでも、このテのポリティカル・サスペンスとしてはかなりの出来でしょう。
実際の事件のリアルさと、事件を知らない人も楽しめるエンターティメント性
を融合させたところに、阪本監督らしさを感じました。
さらに、日韓合作ということで、元気な韓国映画の活力が注ぎ込まれたことも、
この映画にとって大いにプラスだったと思います。
事件から約30年。このぐらい経たないと、こういう映画はできないんでしょう
ね。
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（+1／2★）【かなりオススメ。観たほうがいいんじゃない？】
（スケールが大きく骨太なポリティカル・サスペンス。見応えはタップリです。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2004年７月 ビデオ鑑賞。