レディ・キラーズ(THE LADYKILLERS)
（2004年 アメリカ）（上映時間１時間44分）
監督・脚本：ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
出演：トム・ハンクス、イルマ・P・ホール、マーロン・ウェイアンズ、J・K・
シモンズ、ツィ・マー、ライアン・ハースト
＊丸の内ピカデリー１ほかにて全国公開
ホームページ http://www.movies.co.jp/ladykillers/
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＜ストーリー＞
未亡人のマンソン夫人（イルマ・Ｐ・ホール）の家に部屋を借りたゴースウェ
イト・ヒギンソン・ドア教授（トム・ハンクス）と名乗る男は、仲間と音楽の
練習をするといって地下室も借りる。だが、彼らはカジノから巨額の金を盗み
出すため、トンネルを掘り進めていたのだ。やがて首尾よく金を手に入れたと
思ったら……。
＜レビュー＞
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コーエン節全開のブラックな犯罪コメディ。アナーキーな爆走が楽しい
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1950年代のブラックコメディ『マダムと泥棒』をコーエン兄弟がリメイクした
映画。トンネルを掘って大金をゲットするというのは、よくある話なだけに（
最近では日本映画『死に花』なども……）、それをどうアレンジしておもしろ
くしてくれるか、興味津々で観たのでした。 (☆o☆)
まずはコーエン兄弟らしいオープニングに好感。橋とその下を通るゴミ船のシ
ーンですが、橋の上の不気味な銅像が印象的。実は、これが後半の展開を暗示
しているんです。
そして、黒人の未亡人マンソンが登場。警官相手にヒップホップ音楽の苦情を
しゃべりまくる。
この人がねぇ〜、強烈なんですよ。皮肉タップリに、ああだこうだとひたすら
しゃべり倒すキョーレツな未亡人。もうここから完全なコーエン節。
そんな未亡人をダマそうとするのがトム・ハンクス演じる教授です。いかにも
大学教授らしく、エドガー・A・ポーの詩なんぞを持ち出したりして、未亡人を
ダマしにかかります。
このいかにもうさんくさそうな男と、バリバリ元気で口が立つ未亡人との対決
が、この映画の大きな魅力なのだ。 (*^_^*)
こうして見事に部屋を借りることに成功した教授は、音楽の練習と称して地下
室に４人の仲間を集める。それは新聞広告で集めた犯罪仲間。そうです、彼ら
はカジノの大金を強奪するために、トンネルを掘り始めたのです。
この犯罪集団がとにかくユニークな連中。その紹介場面が笑えます。
店に入った強盗の鼻の穴に指を突っ込んで撃退する将軍、犬にガスマスクをさ
せて窒息させちゃうパンケイク、力は強いがオツムはちょっと……のランプ、
お下品な乱暴者ガウェイン。コイツらみ〜んな困ったヤツらです。はっきり言
ってアホです。オマヌケです。
そして、もちろんそれを率いる教授も個性派。ホントに教養があるのか、ウワ
ベだけなのか、なんだかよくわからんビミョーなキャラをトム・ハンクスが楽
しそうに演じています。
こういう連中がくり広げるオバカな犯罪劇が、文句ナシに楽しいんです。やが
て起きる誤爆事件のてん末なんて、笑える、笑える。ゆ、指が〜〜〜！ ネコ
がぁ〜〜〜！！（詳細はご自分の目でドウゾ）
でも、まあ途中まではそんなにたいした犯罪劇には思えませんでした。コーエ
ン兄弟らしいブラックな笑いがタップリだし、教会での牧師さんのダイナミッ
クな説教やゴスペルなど、南部の香りがプンプンする雰囲気も楽しいけれど、
ビックリするようなコメディーではありません。だいたいあまりにもアッサリ
と犯罪が終わってしまって拍子抜けだゾ。 (´ヘ｀;)
と思ったら、な、なんだ？ この後半のブッ飛び方は！ Ｗ（゜Ｏ゜）Ｗ
いやぁ〜、犯罪が終わってからがムチャクチャ楽しいんですヨ。詳しいことは
あえて書きませんが、首尾よく金を手に入れた犯人グループが、突然苦境に追
い込まれて究極の選択を迫られる。で、それをきっかけにズッコケ５人組の運
命が、アラアラアラ……。
この後半のアナーキーな暴走ぶりは見応え満点。さすがにコーエン兄弟らしい
毒が充満しております。５人の犯人と未亡人とが入り乱れて、予想もつかない
方向へ突っ走ってしまう。バタバタと人が死んでいくのに、こんなに笑えるな
んて。やってくれるぜコーエン兄弟。 (＾o＾)／
トム・ハンクスと対決する未亡人役のイルマ・P・ホール（『ソウル・フード』）、
犯罪仲間のマーロン・ウェイアンズ（『最終絶叫計画』シリーズ）、Ｊ・
Ｋ・シモンズ（『スパイダーマン』シリーズ）、ツィ・マー（『ラッシュ・ア
ワー』）などが個性的演技を披露。コーエン兄弟の演出も、彼らのキャラを引
き立てています。
ユニークな連中による犯罪劇と、後半の大暴走劇。そんなに深みはないものの、
ブラックなユーモアがタップリ詰まった楽しい映画です。
前作『ディボース・ショー』がイマイチおとなしかったのに対して、こっちは
同じコメディーでもコーエン兄弟らしい毒がたくさん。ボク的にはこっちのほ
うに軍配を上げます。
トム・ハンクス主演とはいえ、インディーズの匂いプンプンの映画。やっぱり
コーエン兄弟にはインディーズが似合いますッ！！ Ｏ（＾−＾）Ｏ
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（＋1／2★）【かなりオススメ。観たほうがいいんじゃない？】
（コーエン兄弟も役者たちも楽しそうなのが伝わってくる映画。ブラックな笑
いが好きな方には絶対にオススメです。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2004年５月22日（土）池袋シネマサンシャインにて。午後２時50分の回。