ローレライ


(2005年 日本)(上映時間2時間8分)
監督:樋口真嗣
出演:役所広司、妻夫木聡、柳葉敏郎、香椎由宇、石黒賢、小野武彦、佐藤隆
太、ピエール瀧、鶴見辰吾、伊武雅刀、國村隼、橋爪功。上川隆也、堤真一
*日劇2ほか東宝邦画系にて全国公開
ホームページ http://www.507.jp/index.html
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<ストーリー>
第二次世界大戦末期の1945年8月。特攻作戦に反対して左遷されていた海軍の
絹見少佐(役所広司)は、浅倉大佐(堤真一)から、ドイツ軍から接収した潜水
艦「イ507」の艦長を命じられる。米軍が計画する原爆投下を阻止せよというの
だ。新型索敵装置ローレライ・システムを搭載した潜水艦は、南太平洋テニアン
島に向けて出港するが、やがてその命令が浅倉の独断だったことが明らかになり
……。

<レビュー>
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迫力満点の潜水艦アクション映画。戦争映画じゃありませんから
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原作者の福井晴敏は、戦争や軍隊を舞台にした小説で有名。なので戦争映画だ
と思っていたのだが、なんだこれって、ただの潜水艦アクション映画じゃん。し
かも、ちょっとサイキックっぽかったりして……。

主人公の絹見少佐が新型索敵装置ローレライ・システムを搭載した潜水艦の艦
長に任命され、原爆投下阻止のため出港。その密閉された船内で乗組員が困難に
ぶちあたり、反乱や友情のドラマが展開され……というのはよくある潜水艦映画
のパターン。

でも、さすがに昔から「潜水艦映画にハズレなし」というだけに、けっこう楽
しめます。
深海での敵艦との探りあい、バラバラと降り注ぐ機雷の恐怖など潜水艦映画の
醍醐味を、CGを駆使しながら、迫力タップリに、スリリングに描き出していき
ます。 (^┰^;)ゞ

しかも、ユニークなのは、新型装置ローレライ・システムなるものを搭載して
いること。実は、その中枢に関わるのが1人の美しい少女。これによって、男ば
っかりでムサ苦しい通常の潜水艦映画の欠点も、覆い隠すことができるのです。

原爆投下を阻止するという設定も、緊迫感を加味します。残された時間はあと
何時間、何分という恐怖をズンズンとあおっていくワケ。

中心になるのは、どう考えたって、ありえねぇ〜話なんですよね。でも、ディ
テールをリアルに描いているし、映像も迫力タップリなので、ウソくささはそん
なに感じません。アクション映画としては、なかなかの出来だと思います。

でも、最初にも言ったように戦争映画じゃないんですよね。戦争の核心に迫る
ようなところはまったくナシ。
ドラマ的にも、艦長や妻夫木クン演じる折笠1曹、ローレライ・システムに関
わる少女が背負ったものを描いたり、折笠と少女の交流などを描いているものの、
これといって心にズシーンと響くほどのドラマではありません。

でも、それは同時に、性別、年齢、思想などを問わず、誰にでも受け入れられ
るようにソツなくできているということ。

後半、堤真一演じる浅倉が狂気に走り、それと対峙する絹見艦長が、<ヒュー
マニズム>に徹して行動するあたりも、観客の引き込み方が巧みです。

というのも、ここに至るまで、ボクはずーっと絹見の行動の源泉がわからなか
ったのね。最初に浅倉に艦長を命じられて、悩みもしないであっさり引き受けち
ゃうんだもの。特攻に反対した人間が、同じような任務を引き受けてどーすんだ
よ??? もっと悩めよ! と思ってしまったのです。

でも、そういう登場人物の行動に対する疑問も、すべて<ヒューマニズム>で
くくってしまい、感動の渦に巻き込んでいく。この強引で巧妙な手法は見事でし
た。これなら、戦争に対する考え方が違う人も、み〜んな、それなりに楽しめて
しまうものねぇ〜。

配役も、役所広司はじめ安心して見られる納得の配役。特に印象的だったのが、
ピエール瀧。あの人、あんなにちゃんと演技する人だったのねぇ〜。ところで、
阿川佐和子はなんであんなとこに出てくる?

あとで調べたら、もともとこの映画は、「ガメラ」シリーズの特撮監督の樋口
真嗣監督が、福井晴敏に原作を依頼したとか。てことは、アクション映画という
切り口は、最初から決まっていたのでしょう。

その通りに、得意のCGを駆使して、潜水艦映画の基本をケタはずれのスケー
ルで見せています。これまでの日本映画にはなかったスケール感は一見の価値あ
り。

こうやって、誰でも、それなりに楽しめる映画にするところは、さすがに商売
上手な“きっかけは〜〜フジテレビ”製作らしいなぁ〜。やっぱ相手は、かなり
手ごわいぞ。ホリエモンくん。 (⌒▽⌒)

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆【普通にオススメ。観ても損はナシ】
(個人的満足度はもっと低いけど……。ストーリーなどは疑問だらけなのだが、
そういうものを圧倒するスケール感は見事。これまでの日本映画では画期的です。)
                                            <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2005年3月7日(月)池袋HUMAXシネマズ4にて。午後1時30分の回。


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