ロンドン・ドッグス (LOVE,HONOUR&OBEY)
（1999年 イギリス）（上映時間１時間38分）
監督・脚本：ドミニク・アンシアーノ＆レイ・バーディス
出演：ジョニー・リー・ミラー、ジュード・ロウ、レイ・ウィンストン、
リス・エヴァンス、セイディ・フロスト
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＜ストーリー＞
仕事に行き詰まりを感じ、現状からの脱出を夢見る郵便配達員のジョニー（ジ
ョニー・リー・ミラー）。ギャングのボスの甥で幼なじみのジュード（ジュー
ド・ロウ）に頼み込み、ギャングの仲間に加えてもらう。だが、組織は彼の期
待と裏腹に争いを好まず、ボスのレイ（レイ・ウィンストン）は婚約者のご機
嫌取りで大忙し。業を煮やしたジョニーは、敵対する組織から麻薬を強奪し対
立抗争を引き起こすが……。
＜レビュー＞
作っている人たちが、とっても楽しんでいるのがよ〜くわかる映画です。
だってさぁ、ジュード・ロウの役名はジュード、ジョニー・リー・ミラーの役
名はジョニー、セイディ・フロストはセイディって感じで、ほとんどの人が実
際の名前のまま出ているんだもん。
おまけに、前作『ファイナル・カット』で話題を呼んだ監督のドミニク・アン
シアーノとレイ・バーディスまで、愛称や実名のままでご出演。ホントに楽し
そうですね〜。 (*^。^*)
ストーリーはジョニー・リー・ミラー演じるジョニーの成り上がり物語。
サエない郵便配達員生活に嫌気がさした彼が仕事をやめ、幼なじみのジュード
に頼み込んでギャングの仲間入り。ボスに認められようとして、対立組織に過
激な行動を仕掛ける。
最初は、そんな彼を頼もしく思っていたボスだが、対立組織との構想が激しく
なるにつれてジョニーを厄介に思い始める……。 （~ヘ~;）
映画全体は、なぜかピエロ姿のジョニーの独白で進行（最後にその理由がわか
るんですけどネ）。
ただし、メインのストーリーはあんまりおもしろくない。それよりも様々な笑
えるエピソードが楽しい。
まず傑作なのがギャングのボス・レイ。
カラオケ大好きで（それもジミー・クリフの「ハーダー・ゼイ・カム」なんて
歌ってんだぜぃ！）、女優であるフィアンセにゾッコン。彼女が撮影でキスし
た時なんか、嫉妬に狂って「ぶっ殺す！」なんてイキリ立つんだから。
ギャングだから悪いこともするけど、どっちかっていうとおマヌケで、笑っち
ゃう人なんですヨ。 (＾。^/)
で、親分が親分なら子分も子分ってことで、みんな強烈なキャラクターの持ち
主。
特に笑えるのが奥さんにオナニー現場を目撃されてから性的不能に悩む子分。
仲間のメンバーの協力で、機能を回復すべくアレコレと涙ぐましい努力を重ね
るのだが、その姿にはただ爆笑するしかありませ〜ん。 (＾0＾)
まあ、これだけヘンな人たちが勢揃いしてアレコレ騒動を起こすんだから、そ
りゃ絶対に笑えますって。
とはいうものの、カッコいい、男らしいギャングに憧れて仲間に入った主人公
ジョニーにとっては、当然、期待はずれで不満だらけってことになる。
そこで、彼１人でどんどん過激な方向に走っていくワケ。
ただし、そういうメインの話の組み立て方が全然ダメなんだよねぇ〜。
ジョニーのイライラ感や孤独感の高まり、それが招く暴走、そして破滅へ……。
そんな微妙な心理描写や理詰めの展開がきちんと描かれていない。だから、
リアルさや緊張感がほとんどないんです。
シナリオ全体が粗っぽすぎて、ドラマ的には見るものナシだなぁ〜。
(｀ヘ´)
まあ、過激なバイオレンス描写である程度カバーしてはいるんですけどね。特
に後半はギャング同士の抗争が激しくなって、バイオレンスの嵐！ 嵐！ 嵐！
(>_<")
でも、そこもイマイチ輝きがないなぁ。やたらハデではあるんだけど、ブッ飛
び方が足りない。たとえば、かつてタランティーノが登場した時のような鮮烈
さはあんまり感じられませんでした。
ラストもほぼ予想通りの展開。そうやってギャングたちは生き延びていくんで
すねぇ〜。
というわけで、メインのドラマは決定的につまらない。 (´ヘ｀;)
その代わりと言っちゃ何だけど、おバカな登場人物たちが巻き起こす細かなエ
ピソードがバツグンに楽しい。
で、後半はひたすらバイオレンス！ o(・＿・）○☆
そうやって、笑いとバイオレンスをバランスよく散りばめたあたりは、タラン
ティーノや北野武なんかの世界に通じるものがあるし、独特の雰囲気やリズム
を生み出していると思う。
わざとブツ切りにしたようなシーンや、オアシスのノエル・ギャラガーによる
主題歌など音楽の使い方もセンスがいい。そういうポップ感覚はとっても魅力
的デス。
まあそれなりに楽しめましたけど、正規の料金を払って劇場で見る価値がある
かとなると疑問。だけど、ビデオぐらいなら観ても損はないんじゃないでしょ
うか。
《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆（＋1／2★）
（ちなみに、今回のジュード・ロウは主人公じゃないこともあって、けっこう
フツーの人でした。うーん、やっぱりもっとブチ切れてくれないと……。）
＜ぽち＞