ラブストーリー(CLASSIC)
（2003年 韓国）（上映時間２時間９分）
監督・脚本：クァク・ジェヨン
出演：ソン・イェジン、チョ・インソン、チョ・スンウ、イ・ギウ
＊シャンテシネほかにて全国公開。
ホームページ http://www.klockworx.com/lovestory/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
＜ストーリー＞
演劇部の先輩サンミン（チョ・インソン）に恋心を抱く女子大生ジヘ（ソン・
イェジン）は、恋愛に積極的な親友から、サンミンへのメールの代筆を頼まれ
てしまう。そんなある日、ジヘは家の中で母ジュヒが大切にしている古ぼけた
木箱を見つける。入っていたのは、35年前の手紙と一冊の日記帳。そこには母
の切な過ぎる初恋の想い出が綴られていた……。
＜レビュー＞
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ベタベタな話を珠玉のファンタジーに仕上げた見事な演出
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
おいおい！ 『ラブストーリー』って、なんじゃこのベタな邦題は！ いくら
なんでもヒネリがなさすぎる。 (｀ヘ´)
原題の『クラシック』のほうがまだ良かったんじゃないのか？ それとも『母
娘二代恋物語』とか（演歌じゃないって！）。
てなことで、『猟奇的な彼女』が日本でもヒットした韓国のクァク・ジェヨン
監督の最新作は、母と娘二代にわたる恋愛のお話。
女性はもちろん男性も泣いているらしいこの映画。「涙腺のない男」（爆）と
呼ばれるボクも泣けるのだろうか？
そんな興味で観に行ったのでした。さぁ、涙クン、どっからでもかかってきな
さい！ (＾o＾)／
だけど、これがねぇ〜、邦題以上にベタベタな話なんですヨ。大学生の娘は、
友達のメールの代筆を頼まれているんだけど、その宛先の彼氏を好きになっち
ゃうんです。
一方、彼女の母親が若かった頃の恋愛はその逆。母親には親が決めた婚約者が
いて、彼からせっせと手紙が届く。実はその手紙は婚約者が友達に代筆させて
いたもので、母はその友達を愛するようになる……。
昔と今、母と娘、どちらも友達の彼氏（彼女）を好きになって、苦しむ若者の
姿を同時並行で描いているわけです。
もうどこにでも転がっていそうなラブストーリーで、ボクなんか５分でイヤに
なっちゃいましたですヨ。ハイ。あ〜、つまんねぇ。 (´ヘ｀;)
と思っていたら、アレアレアレ……。
いつの間にかスクリーンに引っ張り込まれちまってるじゃないかッ！！！
ど、どうしたんだい？？？？？？？ Ｗ（゜Ｏ゜）Ｗ
その秘密は笑いにありました。
ストーリーの根幹は切ない恋愛話なのに、笑いがたっぷり散りばめられている
んです。『猟奇的な彼女』と共通するタイプの笑いで、ネタそのものはベタ。
学校の検便で道端のウ○チを持っていったら、ギョウチュウ、カイチュウｅｔ
ｃ．がタップリ〜〜〜〜なんてのは、日本のお笑いでもよくやるネタですね。
でも、見せ方がウマイからついクスクス笑ってしまうんです。 (＾。^/)
で、それが根幹の切ない恋心と絡み合っていく。そのビミョーな絡まり具合が
なんともいえない魅力なんですねぇ〜。
でもって、映像もとびっきり美しい。虹、ホタル、ペンダントといった母娘二
代をつなぐ印象的なアイテムを効果的に使いながら、まるで絵画のような印象
的な映像を展開していきます。
音楽もいいです。劇中にはパッヘルベルの「カノン」、ショパンの「悲愴」、
ビバルディの「チェロ協奏曲／ロ短調」などクラシック音楽がタップリ。ロッ
クやポップスも含めて、登場人物の心の動きを巧みに表現しているんです。
そしてそして何よりも、これ以上ないぐらいピュアな愛が、汚れちまった今の
時代に新鮮に響くんですヨ。真っ黒けのオイラの心にも染みわたるぜ。
これが、もしも娘の恋愛を中心に描いたなら、「今の時代にそんなことねぇよ
！」てな感じでウソくさくなっちゃうはず。でも、娘の話は必要最低限に抑え
て、母親の恋愛を中心に描いていくので、胸の奥底まで素直に入ってくるんで
すよねぇ〜。
母、娘、彼女たちの恋人、そして友達。どの登場人物に感情移入しても、ググ
グッとくるようにつくられているのもウマイところ。みんなそれぞれに切な過
ぎるぅ〜〜〜。 (T^T)
こんなにベタな話をこれだけ見応えある映画にしてしまうクァク監督の力量に
は、ただ感心するばかり。『猟奇的な彼女』のときは「アイデア勝負の一発屋
か！？」などと思ったりもしたのだが、いやいやとんでもありませんでした。
母娘２役を演じたソン・イェジンをはじめとした若手俳優たちの、輝くような
演技も印象的。
そして、最後にはオッとビックリの意外な事実が……。
これはねぇ、かなりあざといオチです。「ここまでやることないじゃん！」と
思う人も多いでしょう。だけど、あれがあるから観客はますます切なくなるん
ですよね。
しかも、そのオチのおかげで、それまでのあまりにもベタな話が、ある種の珠
玉のファンタジーに昇華しちゃうんです。そういう意味では、あのオチはボク
的には絶対にアリだと思います。間違いない！
ベタベタな話を珠玉のファンタジーに仕上げた、クァク監督の巧みな手腕に感
心させられた１本。
ラブストーリー好きは必見。涙腺の弱い方はかなり泣けそうヨ〜〜〜。
なに？ で、お前はどーだったかって？
ハハハ、さすがにググッとはきたものの、これでも泣けまへんでしたがな。や
っぱり涙腺のない男。もうコワイ映画はないゾ。ボクを泣かせる自信のある映
画は、どっからでもかかってきなさいッ！！！ (＾o＾)／
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（＋1／2★）【かなりオススメ。観たほうがいいんじゃない？】
（泣きたい方は必見！ 男性もけっこうイケますぜ。「どうせベタな話を展開
するなら、こういうようにやりなさい」という見本のような映画。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2004年２月３日（火）シャンテシネにて。午後３時の回。