マジェスティック(THE MAJESTIC)
（2001年 アメリカ）（上映時間２時間33分）
監督：フランク・ダラボン
出演：ジム・キャリー、マーティン・ランドー、ローリー・ホールデン、デイ
ビッド・オグデン・スティアーズ、ジェイムズ・ホイットモア
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＜ストーリー＞
1951年、新進脚本家のピーター（ジム・キャリー）は、共産党員の濡れ衣を着
せられてハリウッドを追放されそうになる。その夜、酔った彼が運転する車が
誤って川に転落。彼は奇跡的に助かったものの記憶をなくして小さな町に流れ
着く……。
＜レビュー＞
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ダラボン監督ってマジメだなぁ〜。「いかにも」だけど後味は悪くない
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『ショーシャンクの空に』『グリーン・マイル』のフランク・ダラボン監督の
最新作。とくれば「大感動〜！」を期待する人が多いことでしょう。
でもねぇ、前二作、特に『ショーシャンクの空に』の感動にはとても及びませ
んでした。
かつて実際にあった「赤狩り」を背景にした映画。
アメリカで共産主義弾圧の気運が高まり、ハリウッドの映画人にもその波が押
し寄せる。
新進脚本家のピーターは、身に覚えのない共産党員の濡れ衣を着せられて、次
回作の企画が没になる。
失意のあまり深酒をした彼は、車でドライブ中に橋から転落。川に落ちて流さ
れる。
奇跡的に命は助かったものの、記憶をなくし、小さな町に流れ着く。
町では多くの若者が第二次世界大戦の犠牲になっていて、住民はピートを戦場
で消息を絶ったルークだと言い出す……。
冒頭で『ショーシャンクの空に』ほどの感動はない、と言いましたが、それな
りに気持ちの良い映画でした。 （＾＾）
記憶喪失を扱った映画はいくつもあるけれど、この映画は最初からその正体を
バラしちゃってる。謎解きのおもしろさを放棄する代わりに、人間ドラマをジ
ックリ描いているんです。このあたりは、いかにもダラボン監督らしい作品だ
と思いました。
戦争で大きなダメージを受けた町に訪れた意外な人物。それによって元気のな
かった人々が生き生きと輝きだす。彼はまさに町の「希望」なのだ。
希望を失った男が人々の希望の星になる。この皮肉な構成がとっても魅力的。
その中で、主人公ピートと町の人々を丹念に描き出して、深みのあるドラマを
つくり出しています。相変わらず人物描写がうまいですねぇ〜。
中盤は、記憶が戻らないまま町の暮らしに溶け込んだピートが、町の人々とと
もに朽ちかけた映画館を復興するエピソードが展開されます。昔の映画を効果
的に使ったりして、懐かしくて、そしてとっても温かな物語が紡ぎ出されます
。まるでフランク・ダラボン版『ニューシネマ・パラダイス』！！！
主人公ピートと町の人々の、そしてダラボン監督自身の映画への愛がジワーッ
と伝わってきます。音楽の使い方もムーディーでたまりません！
もちろん、ロマンスもあるわよ〜ん。 (* ^)(*^-^*)ゞ
後半は一転して、赤狩りによって民主主義を圧殺しようとする人々を前にした
、ピートの苦悩と決断が描かれます。委員会に召喚されたピートの演説が感動
的。
ただし、「過去を失った男が本当の自分を取り戻す」というそれまでのテーマ
からすれば、取ってつけような不自然さは否定できません。「え？ なんでそ
うなるの？」と違和感を持つ人も多いはず。
ていうか、お気楽というか、素直というか、甘っちょろいというか、もぅ〜〜
〜、観ていて恥かしくなるぐらいストレートな展開なのヨ。 (*^^*ゞ
そんなに人間を信じてていいのかぁ〜？ 世の中そんなに善人ばっかりなのか
ぁ〜？
これまたお気楽過ぎるエンディングとともに、思わずそう叫びたくなっちゃい
ましたぜ。
だが……。
後味はそんなに悪くなかったです。確かに気恥ずかしくなるぐらいまっすぐな
映画だけど、こういう映画があってもいいと思う。特に今みたいなメチャクチ
ャな世の中にはネ。
何しろイヤミがないんです。ダラボン監督って、ホント良い人なんだろうなぁ
〜、けっしてウケ狙いでやってるんじゃなくて、本心から主張したいメッセー
ジをそのまま盛り込んだろうなぁ〜、というのが感じられてしまうから。
こうしてダラボン監督の善人ぶりに惹かれるボクも、やっぱり善人なのか！？
（ (`0`)ノ゛バシィィィィィ！！！ それは違うと思うゾ）
ジム・キャリーの演技がうまいのは前からわかっていたから、そんなに驚きは
ありませんでした。それよりも町の人たちの深みのある演技が良かった。
そうそうキャストにマット・デイモンのクレジットも……。どこに出てるのか
はお楽しみ。
『ショーシャンクの空に』ほどの感動を期待すると裏切られるかも。号泣はム
リでしょう。でも、後味は悪くない映画です。ラストの落としどころも、あり
きたりとはいえ見事だし、観終わって温かな気持ちになれました。 (*^。^*)
欠点といえば、長くて途中で同じテンポが続くとちょっとダレちゃうところか
な。そういえば、『グリーン・マイル』も３時間だったし、長い映画が好きな
のねぇ〜、ダラボン監督。
せっかちな江戸っ子にはガマンできねぇぜ。てやんでぇ！ いっそ次は４時間
ぐらいに挑戦してみる？
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（前向きで人間が好きになる映画。人間不信の人や人生をやり直したい人には
、特にオススメ。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2002年６月24日（月）シネマサンシャインにて。午後４時30分の回。