マスター・アンド・コマンダー
(MASTER AND COMMANDER:THE FAR SIDE OF THE
WORLD)
（2003年 アメリカ）（上映時間２時間19分）
監督：ピーター・ウィアー
出演：ラッセル・クロウ、ポール・ベタニー、スティーブン・マチュリン、ビ
リー・ボイド、ジェームズ・ダーシー、リー・イングルビー
＊日劇ＰＬＥＸほかにて全国公開
ホームページ http://www.movies.co.jp/masterandcommander/
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＜ストーリー＞
イギリスとフランスが海上覇権争いを繰り広げていた19世紀。英国海軍の名艦
長ジャック・オーブリー（ラッセル・クロウ）率いるサプライズ号は、フラン
スの武装船アケロン号に襲われて大打撃を受ける。命令に従って、同船を拿捕
すべく追跡を開始するオーブリーだったが……。
＜レビュー＞
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19世紀の海戦をスケール大きく再現。これであなたも英国海軍の海の男！
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パトリック・オブライアンの世界的ベストセラーを『いまを生きる』の名匠ピ
ーター・ウィアー監督が映画化した作品。ナポレオン時代の英国海軍を再現し
たスケールの大きな冒険ロマンです。
ストーリーの機軸はフランスの武装船とイギリス海軍のサプライズ号とのバト
ル。オープニングから間もなく激烈な戦闘シーンが展開されます。
現代の近代兵器とは違う帆船同士による肉弾戦はスサマジイ迫力。 (゜o゜;
この戦闘シーンに象徴されるように、ディテールに徹底的にこだわって当時の
ようすを再現した描写は圧巻。
作戦を立てるのに、昆虫をヒントにしたりといったユニークなアイデアもおも
しろいですねぇ〜。
とはいえ、戦闘場面の連続というわけではない。
その間には、船の中でのオーブリー艦長と兵士たちの日常が描かれます。喜び、
楽しみ、悲しみ、苦しみ。
特に指揮官としてのオーブリー艦長の人間ドラマをじっくり描いているところ
に、いかにもウィアー監督らしいマジメさが感じられます。
冷静沈着だが、同時に人情に厚く、時には判断に迷い、人間的な弱さも見せる。
その姿は実に魅力的です。 (*^。^*)
海の上という限定された空間の中で、観客を飽きさせない工夫もたくさんあり
ます。途中で船が大波にもまれてあわや転覆！ てなシーンでは、スペクタク
ル映画としての楽しさが味わえます。
後半はなんとガラパゴス諸島に船が上陸して、珍しい動植物もわんさとご登場。
こういうところでも、観客をとことん楽しませてくれます。
迫力タップリの戦闘シーン、船の中での艦長と兵士たちの起伏に富んだ生活、
そして指導者としての艦長の人間描写……。
どれも見事な映画で大満足！！！ (^-^)
と言いたいところですが、個人的には物足りなさを感じました。 (~ヘ~;)
やっぱりオーブリー艦長の人間ドラマが深まらないのね。
例えば、自分の作戦ミスから兵士を死なせて、女房役の医師マチュリン（ポー
ル・ベタニー）から「キミは自尊心だけのために戦争してるんじゃないかッ！
」とか言われるシーンがあるんだけれど、そういうのが艦長の心の葛藤を増幅
させたりはしないんです。その場でオシマイ。
また、この船には12歳の士官候補生ブレイクニーをはじめ少年たちも乗ってい
て、彼らが負傷したり死んだりしてオーブリー艦長が心を痛める場面もあるの
だが、それもその場限りで、あとあとの彼の心理や行動につながっていく感じ
じゃないんだよなぁ〜。 (~ヘ~;)
要するに冒険ロマンが中心で、あとの要素はオマケみたいな感じなんです。
それがよくわかるのがラスト。クライマックスで最後の大決戦があって、この
迫力もスゴかったのですが、その後に意外なオチが用意されています。
おいおい、お前ら、そんなのんきなことしてる場合かぁ〜〜〜〜！！
と叫びたくなるようなラストなのだが、ここではっきりとわかりました。この
映画は、素晴らしい指揮官と立派な兵士たちの波乱に満ちた毎日をスケッチし
た映画。いわば英国海軍「海の男讃歌」みたいなもので、けっして「指導者と
はなんぞや？？？」「戦争ってなに？？？」という深いテーマや、分厚い人間
ドラマを見せる映画ではないワケですよ。
ま、そういう視点で観ると、けっこう見応えはあるし、自分もまるで英国海軍
の一員になったような気がするので、それなりにおトクなんじゃないでしょう
か。美少年もたくさん登場するので、美少年好きにはたまらんだろうし。
(*^。^*)
ただし、ストーリーがストーリーだから、「イギリス帝国バンザイ！ ナポレ
オンのフランスくたばっちまえ！」という姿勢が全編に漂うところは、ちょっ
とイヤだな。別にフランスの肩持つつもりはないけどね。フランスで思い浮か
ぶのなんて、せいぜいイヤミの「シェ〜〜！！」ぐらいだし……（古い！）。
《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆（+1／2★）【ちょっとだけオススメ。おヒマでしたらどうぞ】
（冒険ロマンがお好きな方にはオススメ。深い人間ドラマなどを期待しなけれ
ば……）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2004年３月４日（木）シネマサンシャインにて。午後１時35分の回。