マッチスティック・メン(MATCHSTIC MEN)
（2003年 アメリカ）（上映時間１時間56分）
監督：リドリー・スコット
出演：ニコラス・ケイジ、サム・ロックウェル、アリソン・ローマン、ブルー
ス・アルトマン、ブルース・マッギル、シーラ・ケリー
＊丸の内ルーブルほか松竹・東急系にて全国公開
ホームページ http://www.matchstick-men.jp/
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＜ストーリー＞
相棒フランク（サム・ロックウェル）とともに、詐欺稼業を営むロイ（ニコラ
ス・ケイジ）。だが、彼は「病的な潔癖性」に悩まされていた。それが、別れ
た妻との間に娘がいたかもしれない、という潜在意識によるものだと医者に言
われたことがきっかけで、14歳になる娘アンジェラとの再会を果たす。彼女に
次第に心を許すロイだったが……。
＜レビュー＞
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その気になればこんな映画もつくれるんじゃない。リドリー・スコットさん
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え！ これ、あのリドリー・スコットが監督なの？ Ｗ（゜Ｏ゜）Ｗ
『エイリアン』『ブレードランナー』『ブラック・レイン』『ハンニバル』な
ど、メいっぱい肩ひじ張ったリキ入れ作品の多い（でも、意外に中身は空っぽ
！？）彼が、今回は力を抜いて楽しく笑わせ、ホロッとさせてくれるコメディ
ー映画をつくりました。ホントかよ！！！
いやぁ〜最初から笑っちゃいました。主人公のロイの姿。 (＾0＾)
この人、神経症のデパートみたいなんです。広場恐怖症、潔癖症、チックなど
など。ありとあらゆる精神的トラブルを抱えています。必ずドアを「１、２、
３」（日本語でも言ったりする）と３回開け閉めするクセなんて、笑える笑え
る。
最初は「病気だから笑っちゃいけないのかなぁ〜」なんて思ったのですが、あ
まりのエキセントリックさに、そんなこと関係ナシに笑えてしまうのですよ。
ニコラス・ケイジが演じているからいいんでしょうねぇ〜。 (*^_^*)
マジメな顔して大げさにああいうことをされるから、おかしくてたまらんので
す。『アダプテーション』とも共通するところがあるヘンな役は、まさに絶品。
ニコラスさん、二枚目にはもう戻れない？？？
で、このロイのトラブルの背後には、実はかつて別れた妻と、もしかしたらい
るかもしれない子供が関係しているらしい。そこで、精神科医のアドバイスも
あって、ロイは自分の子供と会うことにする。
会ってみたらカワイイ娘ではありませんか。しかも、彼女ったら、突然ロイの
家に押しかけてくる。
ところが、ロイはサム・ロックウェル演じるフランクなる相棒と詐欺稼業に精
を出していた。その鮮やかな手口ときたら本人曰く「アーティスト！」。
そんな事情を娘に知られてしまったから、アララララララ……。 (？_？)
てことで、中盤はロイと娘のアンジェラとの心の交流が描かれます。初の父親
体験にオドオドするロイと、生意気盛りのアンジェラのやりとりがとってもい
い感じ。
娘との交流によってロイの病気もおさまってきます。なんだかハートウォーム
な話だわ〜。ホッ。 (^。^;)
と思ったら、とんでもねぇーですだ。お代官サマ。な、なんですか！？ この、
予想外のドンデン返しは？？？
ジョン・マクティアナン監督の『閉ざされた森』も真っ青のビックリな展開。
そんなのアリか？
よくよく考えたら、けっこうアラの目立つ手口なんだけど、その前に父娘のホ
ッとするドラマをきっちり描いているから、あっさりとダマされちまいました
ぜ。ボクってよっぽどのお人好し？
でも、この映画の本筋はこうした鮮やかな詐欺の手口にあるワケではないんで
す。突然の娘の出現によってとまどい、そして変わっていくロイ。心に傷を持
つ男の成長の物語が、この映画の本質だと思うのです。
その証拠にドンデン返しのまま終わらせたりはしません。ラストで、ホンワカ
する後日談を描いて、観終わった時の気分をスッキリさせてくれる。うーん、
ありがちだけれど、良いエンディングだなぁ〜。メリハリをうまくつけている
よねぇ〜。 (*^。^*)
俳優陣ではニコラス・ケイジに加えサム・ロックウェルも印象的な演技。『コ
ンフェッション』でもそうでしたが、この人もクセモノ役が得意ですねぇ。
ですが、今回の花丸は娘役のアリソン・ローマンです。これはスゴイ演技でし
たヨ。幼くて、同時にしたたかで……。今からこれじゃ先が思いやられるかも
！？ なに？ ホントは24歳？ バケモンじゃ〜〜〜！！ ＼(>o<)／
いつもは凝りすぎるほど凝りまくる映像も、今回は抑えめながらキチッとツボ
を押さえています。
フランク・シナトラなどのゆったりしたスタンダードナンバーも、この映画に
はピッタリ。できれば、詐欺の手口をもう１つ２つよぶんに見せてくれたら、
さらに楽しかった気がしますが……。
実に良くできたコメディー映画です。笑ってホッとできる心地よい作品。さわ
やかな後味がたまりませ〜ん。
でも、まあ、従来のリドリー・スコット監督のファンには物足りないんでしょ
うね。逆に最近の彼があまり好きでなかったボクは満足でした。
はたして次なるリドリー・スコットはどこへ？ たぶんまた肩ひじ張るんだろ
うなぁ〜。
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（+1／2★）【かなりオススメ。観たほうがいいんじゃない？】
（よく考えればアラのあるドンデン返しだが、それを忘れさせてくれる後味の
よさが魅力。こういうのを佳作というのです。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2003年10月６日（月）池袋東急にて。午前11時50分の回。