マトリックス リローデッド(THE MATRIX REROADED)
（2003年 アメリカ）（上映時間２時間18分）
脚本・監督：アンディ・ウォシャウスキー、ラリー・ウォシャウスキー
出演：キアヌ・リーブス、ローレンス・フィッシュバーン、キャリー＝アン・
モス、ヒューゴ・ウィービング、ジャダ・ピンケット・スミス
＊丸の内ルーブルほかにて全国公開中
ホームページ http://www.thematrix.com/
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＜ストーリー＞
人工知能に支配された世界で、唯一地球上に残された人間の都市「ザイオン」
。モーフィアス（ローレンス・フィッシュバーン）らゲリラに見い出され“救
世主”となったネオ（キアヌ・リーブス）は、モーフィアス、トリニティー（
キャリー＝アン・モス）とともに仮想現実空間「マトリックス」に乗り込み、
ザイオンを救おうとするのだが……。
＜レビュー＞
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ウォシャウスキー兄弟の物量作戦を食らえぇぇぇぇぇ〜〜〜！！
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前作の予想を超える大ヒットで製作費が大幅にアップ。「世の中金じゃないよ
」といくらキレイごとを言ったところで、金があればやっぱり強い。それを思
い知らされる映画です。
とにかくすべてにおいてパワーアップ。まさにウォシャウスキー兄弟による物
量作戦の大勝利なのだ。 (＾o＾)／
基本的な話の仕組みは前作に沿っています。
アンダーソン（別名ネオ）という男が、彼を救世主と見なすモーフィアス、ト
リニティーといったゲリラによって、仮想現実世界マトリックスで覚醒させら
れる。ゲリラによれば、現実社会はマシンがつくり出した仮想現実だという。
そこで、ネオたちは人間を解放するためにマシンとの戦いを始める……。
てのが前作。
今回は、仮想現実世界において唯一の人間の都市ザイオンが攻撃にさらされ、
それを守るためにネオたちが戦います。
今作のパワーアップぶりときたらハンパじゃありません。ネオは空を飛ぶし、
敵のエージェント・スミスは大増殖。いや、それはもはや増殖といったレベル
ではない。アンタはイナゴのつくだ煮か？ それとも新種のウイルスか？
おなじみのカンフーアクションに加え、ガンアクション、カーアクションとア
クションシーンも増量。おまけに大爆発もドッカーン！！
ＣＧの使い方も格段に手が込んでいます。金と技術と人手を使いたい放題だい
ッ！！ お楽しみがタップリで思わずゲップが出そうなぐらい。
前作にあったストーリー的な魅力もちゃんと踏襲しています。
つまり、この映画は基本は劇画やゲームの世界。機械ＶＳ人間という対立軸が
ハッキリしていて、そこに救世主が登場するというよくあるパターン。
でも、それだけじゃなくて、そこに文明批判だとか、哲学的なテーマだとか、
いかにもＳＦファンが好みそうな素材を入れ込んでいるんですよ。
仮想と現実が混じりあうというネタ自体、クローネンバーグ監督の映画などで
よく見られるテーマですが、そういう凝った素材をエンタメ性の高いＳＦアク
ションの中にうま〜くブレンド。これもこのシリーズの魅力のひとつです。
今回も、そうしたタッチは健在で、より難解かつ壮大に見えるテーマも提示さ
れています（特にラスト近く）。
ただし、圧倒的なエンターティメントの物量作戦の中では、かなり中途半端な
印象。前作では両者のバランスが絶妙だったけれど、今回は何となく落ち着き
が悪い。 (-_-メ;)
しかも、話はやたらに小難しいのに、描き方にそれほど余韻がない感じ。例え
ば、キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』（1968）なども深遠なテーマを
持った映画ですが、あそこまでの深さは感じられません。
たぶん全体の中で浮いちゃってるんだよね。深遠なテーマとそれ以外の部分に
あまりにも落差がありすぎる感じです。
さらに、今回は「善」の側の権力争いだとか、男女の愛や嫉妬の物語など、あ
りがちな話もたくさん登場。これまた観客を楽しませるネタには違いないけれ
ど、どうにも陳腐すぎる感じです。 (｀ヘ´)
それよりもおもしろかったのは、ヘンな東洋趣味がたくさん出てきたり、キー
になる人物に東洋系のフツーのオジサン（意外に身軽）を起用したところ。こ
のへんは、なんだかＢ級映画っぽくて楽しかったですね。
というわけで、ストーリー的には「どうなんだ？」というところがたくさんあ
るこの映画。それでも、物量作戦で圧倒されまくり。有無を言わさず強引に引
きずり込まれてしまいました。
ラストも「次作も見なくちゃいけないじゃないか！」と力ずくで観客に思わせ
る終わり方。ヨ！ 商売上手！！
エンドタイトルにウジャウジャと登場するたくさんの人名が、この映画の物量
作戦の凄まじさを物語っています。ええ、悔しいけれど、それなりに楽しかっ
たですよ。やっぱりお金があるってステキなことなのね。 (*^。^*)
なお、この長〜いエンドタイトルの後に、まるで連続ドラマのような次作の予
告編が流れますのでお見逃しなく。そこまでやるかいッ！ ┐(´-｀)┌
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆【普通にオススメ。観ても損はナシ】
（物量作戦の凄さに降参。 (_ _,)/~~ 色々ご意見はあるでしょうが楽しい
のは間違いなし。ただし、前作を観ていないとよくわかりませんのでぜひ予習
を。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2003年６月９日（月）シネマ・ロサにて。午後４時30分の回。