真夜中まで
（1999年 日本）（上映時間1時間50分）
監督・脚本：和田誠
出演：真田広之、ミッシェル・リー、岸部一徳、國村隼、柄本明、高野拳磁
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＜レビュー＞
殺人現場を目撃して追われる中国人ホステスのリンダ（ミッシェル・リー）。
偶然居合わせたジャズトランペッターの守山（真田広之）が彼女を助ける。一
緒に追われることになった２人は、逃亡しながらも事件の真相を探ろうとする
が……。
＜レビュー＞
イラストレーターであり、映画監督としても『麻雀放浪記』（1984年）『快盗
ルビイ』（1988年）などの作品を残している和田誠の５年ぶりの新作。
ふとしたことから事件に巻き込まれて逃亡することになったトランペッターと
、中国人ホステスの逃避行を描いたサスペンス劇です。
感心するのは既成の映画にある色んなエッセンスを、バランスよく盛り込んで
いること。
人間ドラマ、サスペンス、アクション、笑い、ハプニング、そんな様々な要素
をうまく配合して、観客を惹きつけようとしている。さすがに映画通で知られ
る和田監督だけありますねぇ。名作のシーンなんかも、さりげなく散りばめら
れています。 (#^.^#)
全編を流れるムーディーなジャズもいい感じ。実際の演奏場面もタップリ用意
されていて、和田監督のジャズへの強〜い思い入れが感じられます。ジャズ・
ファンなら、なおさら楽しめるはず。サントラ盤も聴き応えありそう。
役者の使い方もなかなかのもの。
僕は個人的には、真田広之はあんまり好きじゃないんですが（ファンの方、ゴ
メンナサイ ｍ（．＿．）ｍ ）、この映画の彼はとってもカッコいい。和田
監督とは、『麻雀放浪記』以来コンビを組み続けているだけあって、お互いに
気心も知れているんでしょう。
他の役者についても、それぞれの個性をうまく生かした使い方をしています。
だが、しかしッ！！！ この映画にはとっても大きな欠点があるんデス。
それは、肝心の２人の逃走劇に全然緊張感がないこと。だってさぁ、悪いヤツ
に命を狙われているんでしょ。捕まったら殺されちゃうんでしょ。それにしち
ゃあ、ノンビリしすぎだよぉ〜。 (´ヘ｀;)
特に真田広之演じる守山は、本当は関わりたくないのに行きがかり上関わって
しまった男。普通だったら、「どうしてこんなことになるんだぁ〜！」とか、
「何とかしてくれぇ〜！」とか思うはずでしょ。それなのに、そういうジリジ
リした気持ちがまったく描かれないんですヨ。 (・o・)
守山は、一度リンダの乗った車を降りて去ろうとする。ところが、再び車に乗
り込んで一緒に逃げるハメになる。その理由が「ファンに追いかけられたから
」っていうんだから、やれやれ困ったもんだ。そんなセコい理由で彼を動かし
てどうすんの！
このへんもまったく緊張感がないんだよなぁ〜。
実は、この映画の構成はかなりユニーク。物語の時間と映画の上映時間をシン
クロさせている。つまり、物語の始まりは午後10時30分で、そこから１時間50
分の間の出来事をそのまま描いているんです。
これって、本当はスリリングで、ハラハラドキドキの物語になるはずじゃん。
それが全然そうなっていないんだもんネ。 ┌┤´д`├┘
おまけに、セリフがダサい。陳腐でキレがない。当たり前すぎておもしろみが
ない。だから、ますます緊張感とは縁遠くなっちゃう。
この映画の見どころの一つは豪華な出演者です。有名人が、つくだ煮にするほ
どたくさん出てきます。それもどうでもいいようなチョイ役にまで……。
それはそれで楽しいんだけどさぁ、そういう色んな仕掛けが肝心の逃亡劇の足
を引っ張っている気がするんだよなぁ。小ネタにばっかり走っちゃって。
とにかく、もっと緊張感のある映画にして欲しかったゾ！ 才人の和田監督な
らそれができるはずだもん。 (~ヘ~;)
《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆（＋1／2★）
（楽しめるんですけどね。それなりに。でも、肝心の逃亡劇があれじゃあ。）