みんなのいえ
（2001年 日本）（上映時間１時間55分）
監督・脚本：三谷幸喜
出演：唐沢寿明、田中邦衛、田中直樹、八木亜希子、野際陽子、吉村実子、清
水ミチコ、山寺宏一
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＜ストーリー＞
飯島直介（田中直樹）と妻の民子（八木亜希子）は、マイホーム建設を決意。
新進気鋭のインテリア・デザイナー柳沢（唐沢寿明）に設計を依頼する。施工
は民子の父で大工の長一郎（田中邦衛）に依頼。だが、芸術家肌の柳沢と職人
気質の長一郎はまったくの水と油で対立を繰り返す。おまけに建設中の家が暴
風雨に見舞われて……。
＜レビュー＞
最近、日本映画って観ないなぁ〜。
「観たい！」って思う映画がないんだもん。
この映画も、そんなに観たかったわけじゃないんだけど、並み居る洋画の強豪
を押しのけて『ホタル』とともに動員ランキング上位にいるからさぁ、一応観
てみるべえか、と思ったワケ。どれどれ……。
でも、まあ思ったよりは楽しかったですネ。ハイ。
いかにも三谷幸喜らしいユーモアが全編に散らばっていて、笑いどころがたく
さんある。
１つの１つのネタは、別にどうってことないんだけど、とにかく間がいいんだ
よね。この人がつくる笑いってサ。だから、けっこう笑える。 (＾0＾)
キャラクターをキッチリ描くのも、この人の持ち味。今回も、主役夫婦やイン
テリア・デザイナー、大工の棟梁といった中心人物はもちろん、ほんのワンシ
ーンしか登場しないような人まで、しっかりキャラをつくっている。
例えば、伊原剛志演じる土建屋の息子にひたすら牛乳を飲ませて、いかにも一
本気な体育会系の男に仕立てたり……。
そうやって、どうでもいいような役の人までキャラをつくりこんでいるから、
その人たちがぶつかり合って自然にドラマが生まれてくるんですよねぇ〜。
こういうのって、シナリオライターにとっては基本なんだけど、実際にはなか
なかできないの。
そういう意味で、シナリオライター志望者なんかには、スゴク勉強になる映画
かもしんないッスね。 (^-^)
それに、キャスティングもバッチリ魅力的ですヨ。
特に田中邦衛と唐沢寿明が最高！ 最近の日本映画で、これほどハマッたキャ
スティングってないんじゃない？ 芸術家肌と職人肌。玄関ドアを内開きにす
るか外開きにするかから始まって、ことごとく対立を続ける。頑固といえばど
っちも頑固。相当に骨があって、見応えタップリの対立だ。 (#^.^#)
で、彼らに仕事を依頼する夫婦役は、ココリコの田中直樹と元女子アナの八木
亜希子。２人の演技（特に八木ちゃん）は、はっきり言って学芸会みたいなん
だけど、そのシロウトっぽさもウマイこと利用しちゃってるんです。そういう
役者の転がし方も見事。
脇役陣もスゴイよねぇ〜。
清水ミチコ、山寺宏一、吉村実子、野際陽子、布施明、中井貴一、梶原善、白
井晃、八名信夫……。
よくもまあこれだけユニークな顔ぶれを揃えたもの。それもみんないい味出し
ている。
ワンシーンしか出ていない有名俳優を探すのも、一つのお楽しみですヨ。ノー
クレジットでコソッと出ている人もいるからネ。 (^_-)-☆
そんなこんなで、あらためて三谷幸喜の脚本のウマさと企画力を実感させるこ
の映画。
たださぁ、話自体が陳腐だからさぁ、そこがツライよなぁ〜。 (´ヘ｀;)
マイホーム建設にあたって設計者と大工が対立するっていう、それだけの話な
んだもん。いくらギャグやキャラクターのおもしろさで引っ張っても、それ以
上話が広がっていかないからねぇ。観ていてつい叫びたくなっちゃうんですヨ
〜。「だから、どうしたんじゃいッ！」
(▼、▼メ)
実体験をもとにしたらしいし、思いつきそうで思いつかない意表をついた話だ
し、三谷サン本人にしてみたら、「やったぞ！」って気分なんでしょうね。
でも、結局のところ、そのへんをグルグルまわってるだけで終わっちゃう。
映画らしいハラハラドキドキ感はゼロ。観終わって何にも残るものナシ。
┐(´-｀)┌
いったいこの素材を映画にして何の意味があるんでしょう？ (・_・？)
テレビの２時間ドラマで充分じゃないの？
どうせ映画にするんなら、いっそ途中で派手に家をぶっ壊すとか、ＵＦＯを着
陸させるとかしてくれたら、胸がスッーとしたんですけどねぇ。 (＾0＾)
ホノボノした笑いはあるものの、スケール感の小ささとストーリーのつまらな
さは致命的。
日本映画の良さと悪さを同時に実感する映画でした。
《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆
（そのうちフジテレビで放送されると思うので、別に映画館で観なくてもいい
んじゃないか？）
＜ぽち＞