モーターサイクル・ダイアリーズ
（THE MOTERCYCLE DIARIES）
（2003年 イギリス・アメリカ）（上映時間２時間７分）
監督：ウォルター・サレス
出演：ガエル・ガルシア・ベルナル、ロドリゴ・デ・ラ・セルナ、ミア・マエ
ストロ、メルセデス・モラーン、ジャン＝ピエール・ノエル
＊恵比寿ガーデンシネマほかにて公開。順次全国公開
ホームページ http://www.herald.co.jp/official/m_cycle_diaries/
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＜ストーリー＞
1952年ブエノスアイレス。23歳の医学生、エルネスト（ガエル・ガルシア・ベ
ルナル）は、相棒のアルベルト（ロドリゴ・デ・ラ・セルナ）とともに、モータ
ーサイクル、ポデローサ号で南米大陸探検の旅に出た。エルネストのガールフレ
ンド、チチーナが住むミラマールに立ち寄ってからチリに入った2人に、様々な
出来事が襲いかかる。やがて、移民労働者や地元の人々と出会ううちに、彼らは
ラテンアメリカの真の姿を目に焼き付けていく……。
＜レビュー＞
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若き日のチェ・ゲバラの旅日記。青春の輝きがキラキラとまぶしいぜ
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東京の上映館は連日満員に近い入り。アメリカでも興行ランキング・ベスト10
入り。もしかして、世界はチェ・ゲバラのブームなのか！？ (・_・？)
ていうか、やっぱりこの人、いまだに世界的に人気が高いんだろうなぁ〜。カ
ストロの理想に共鳴し、キューバ革命の指導者となり、革命政府の要職につきな
がら、その後はボリビアに渡ってラテン・アメリカ革命をめざしたものの、ＣＩ
Ａの暗躍などによって殺害されてしまったゲバラ。実は、このボクも大好きです。
Ｔシャツ持ってます。写真集も買いましたッ！ どうだ参ったか！(＾o＾)／
そのゲバラの南米旅行の回想記をもとに、製作総指揮ロバート・レッドフォー
ド、監督ウォルター・サレス（『セントラル・ステーション』）がキラキラ輝く
青春のロードムービーをつくりあげたこの映画。
「ゲバラといえばキューバ革命」ということでキューバ出身と思っている人も
多いようですが、ホントはアルゼンチン生まれ。そのアルゼンチンから、７歳年
上の相棒アルベルトとともに、オンボロなバイクにまたがって南米探検の旅に出
たのでした。
映画の前半は、いかにも若者らしい、楽しくて、ハチャメチャで、ちょっぴり
危険な旅のようすが生き生きと描かれます。ゲバラ（エルネスト）とアルベル
トの２人がまさに名コンビ。マジメで、恋人から預かった金に手をつけることも
なく、出会う人々に優しく接するゲバラ。一方、アルベルトはかなりデタラメで、
女好きな社交家。この対照的な２人の旅は弥次喜多顔負けの珍道中。楽しいエ
ピソードが満載です。
たとえば、２人が有名な医者のフリをして、地元の新聞に載せてもらい、その
記事を利用してタダでバイク修理をしてもらったり……。
ゲバラを演じるガエル・ガルシア・ベルナル（『アモーレス・ペロス』）と、
アルベルトを演じるロドリゴ・デ・ラ・セルナがピッタリの配役。
ロードムービーの魅力であるそれぞれの土地の美しい自然も、タップリ詰まっ
ています。マチュピチュ遺跡、アマゾン河など日本人になじみの場所もたくさん
登場。
しかし、後半になると少しようすが違ってきます。途中でバイクがオシャカに
なって２人が徒歩で旅をするようになった頃から、彼らは南米のシビアな現実に
直面します。共産主義者、先住民など抑圧された人々の苦境に心を痛め、支配者
たちへの怒りを感じます。それが、やがてゲバラをキューバ革命に駆り立て、南
米全体の革命へ導く原体験となったのです。
そのクライマックスはハンセン病患者との交流。かつての日本ほどではないも
のの、彼らもやはり隔離されていて、ゲバラはそれにとても心を痛めます。そし
て、ある夜に、とんでもない冒険をしてしまいます。その後のゲバラの行動を暗
示するかのような出来事です。
といっても、別にお説教クサイ偉人伝みたいな描き方ではないのでご安心を。
淡々とドキュメンタリータッチで描いているし、影の部分と同時に光の部分も描
かれるので、観ていてツラクなるようなことはありません。前半のユーモア感覚
は最後まで健在で、若者らしいおバカなシーンもタップリ。
稀代の革命家が主人公ということを無視しても、青春の愛と冒険と友情のロー
ドムービーとして、とても魅力にあふれた映画だと思います。涙と笑いがテンコ
盛りで、青春のキラキラした輝きが観客を直撃します。 (☆o☆)
ゲバラはこの旅で多くのことを得て、それを抱えたまま突っ走って死んでいっ
たんですねぇ〜。それは、ボクらフツーの人間にはなかなかできないこと。だか
らこそ、ゲバラに憧れる人がいつまでも絶えないのでしょう。
あーあ、ボクもゲバラみたいになりたかった！ のか？ (？_？)
《ぽちのオススメ度》
★★★★☆【絶対にオススメ！ みんな観てねぇ〜】
（ラストに映る現在のアルベルトのシワだらけの顔が、様々なことを語ってい
るように思えました。文句ナシに楽しくておまけに深みのある青春ロードムー
ビーです。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2004年10月25日（月）恵比寿ガーデンシネマにて。午後１時40分の回。