ムーラン・ルージュ (MOULIN ROUGE)
（2001年 アメリカ）（上映時間２時間８分）
監督・脚本：バズ・ラーマン
出演：ニコール・キッドマン、ユアン・マクレガー、ジョン・レグイザモ、ジム・ブロ
ードベント、リチャード・ロクスボロウ
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＜ストーリー＞
1900年のパリ。クリスチャン（ユアン・マクレガー）は、自身の体験した悲恋
物語を綴り始める。作家を目指して１年前にパリへやってきた彼は、ナイト・
クラブ「ムーラン・ルージュ」のスターで高級娼婦のサティーン（ニコール・
キッドマン）に恋をする。ふとしたきっかけで、ムーラン・ルージュで上演さ
れる舞台の台本を書くことになり、サティーンと親しくなるクリスチャンだっ
たが……。
＜レビュー＞
うぉ〜〜〜〜〜〜！ ブッ飛びましたぁ〜！！ Y(°_°)Y
なんなんでしょう!? このとってもヘンなミュージカルは……。
『ダンシング・ヒーロー』『ロミオ＆ジュリエット』に続くオーストラリア出
身のバズ・ラーマン監督の新作は、想像を超えるポップでゴージャスな映画で
した。
ストーリーはスッゴク平凡。
ムーラン・ルージュの高級娼婦サティーンに恋した貧しい作家志望の青年クリ
スチャン。ラッキーにもムーラン・ルージュの芝居の台本を書くことになり、
主演のサティーンと恋に落ちる。
だが、そこに彼女を自分のものにしようとする公爵が登場。おまけに彼女は実
は重い病にかかっていて……。
まさに典型的な悲恋物語。いくらミュージカルったって、こんなカビくさい話
を今さら聞かされてもねぇ〜。 (´ヘ｀;)
と思ったんだけど、これがけっこうおもしろいんですヨ。
まずオープニングが傑作。オーケストラの演奏をバックに幕が開き、そこに例
の「20世紀フォックス」のタイトルが現れる。これって、「全編を舞台仕立て
でお送りしますヨ〜」というメッセージなのネ。
続いて物語がスタート。そこで、いきなり歌われるのが、「サウンド・オブ・
ミュージック」ですとぉ!? (・_・？)
オイオイ！ 19世紀末の話なのに、なんでそんな曲が出てくるんだよぉ〜！！
いえいえ、それだけじゃないんです。その後も、ビートルズ、マドンナ、Ｔレ
ックス、Ｕ２、ニルヴァーナ、エルトン・ジョンといった現代のロックやポッ
プミュージックの名曲がどんどん出てくる。
時代設定なんか関係ナシ。完全なデタラメ。常識無視の大暴挙だぁ〜！
前作『ロミオ＆ジュリエット』でも、ディカプリオにアロハなんか着せて完全
に時代設定を無視した前科者のバズ・ラーマン監督。今回もまたやっちゃった
ワケだ。
でもねぇ、それがとっても楽しいんだなぁ〜。ユーモラスで、ポップで、場面
にピッタリ合っているんです。だから、自然に笑いがこぼれちゃう。
歌だけじゃありません。映像的にもかなりデタラメ。ＣＧを使って、実際には
ありえないことを次々に起こしちゃう。だけど、これまた無条件に楽しいんで
すよねぇ〜。何しろバツグンに美しい映像なんだもん。
ゴージャスなセットや衣装、役者の演技も含めて、まるでお祭りみたいな楽し
さがドドーンと押し寄せてきます。スピード違反気味のテンポも加わって、観
客の感覚を束になって刺激してくるんです。 （*＾。＾*）
考えてみれば、ミュージカルってもともとヘンな世界かも。普通に話している
途中でいきなり歌い出しちゃったりするわけだからネ。
でも、そのおかげで、普通に会話をするよりもずっと楽しかったり、感動でき
たりするわけでしょ。
だったら、もっともっと徹底的にヘンになって、すべての規制を取っ払っちゃ
って、自由奔放にやっちゃいましょうヨ。それで、観客に思う存分に楽しんで
もらいましょッ！ この映画って、そんな雰囲気にあふれているんです。
そういう意味で、ミュージカルの本質をこれほどズバリと突いた映画はないの
かもしれませんね。
さて、こうしてクリスチャンとサティーンが恋に落ちるまでの前半はアッとい
う間に過ぎていきます。
コメディータッチのところもたくさんあって、けっこう笑えます。（ただし、
あんまりやりすぎてドタバタになっちゃってるところも……。）
ところが、後半はいきなり雰囲気が変わっちゃうのだッ！ W(゜O゜)W
いよいよ２人の悲恋へと話が移っていくのだが、歌も踊りもない素のドラマが
増えてくる。
しかも、これが全然つまらないんだなぁ〜。そのへんにいくらでも転がってい
るベッタベタの悲恋物語を、そのまんまんま見せられてもさぁ……。
演出的な工夫だってそんなにないから、２人のツライ気持ちもほとんど伝わっ
てきません。
ユアンやニコール、それに敵役のリチャード・ロクスボロウ（どこかで見たと
思ったら、トム・クルーズの『Ｍ：Ｉ−２』に出てたんだって。ん？ で、今
度はニコールと共演ってのは、ちょっとした因縁かも。）なんかが熱演してい
るけれど、話自体がこれだけつまらないと追いつかないゾ！
いや〜、退屈だなぁ〜。何とかしてくれぇ〜。
と、カンペキに飽きた頃に、ようやくゴージャスな舞台が登場。最後になって
盛り上げてくれたけど、そこまでが長すぎるゥ〜〜〜。 ｏ（＞＜；）ｏ
既成のミュージカルの枠を飛び越えた自由奔放さ。ゴージャスで美しい映像と
スピード感。そしてニコールとユアンの熱演（２人とも、本当に歌っているん
だって。ウマイよねぇ〜。おまけにニコールは途中で肋骨を折りながら演技し
たとか。これぞ女優魂！）。そんなこんなで、タップリと楽しめた前半。
なのに惜しすぎる後半の大失速。
素のドラマで勝負するのはいいけど、もうちっとストーリーや演出をひねって
くれないと、途中でイヤになっちまうだよ。お代官様ぁ〜。 (^人^)
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（前半の調子で後半も行ってくれたら……。ま、それでもあんまり深く考えな
いで観れば、かなり気持ち良くなれる映画じゃないでしょうか。人によって好
き嫌いは分かれるでしょうけど、ポップな映画が好きな人にはオススメ。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2001年11月19日（月）池袋ＨＵＭＡＸシネマズ４にて。午後12時40分の回。