オール・アバウト・マイ・マザー(TODO SOBRE MI MADRE)
（1998年 スペイン）（上映時間１時間41分）
監督：ペドロ・アルモドヴァル
出演：セシリア・ロス、アントニア・サン・ファン、マリサ・パレデス、ペネロペ・クルス、
ロサ・マリア・サルダ、カンデラ・ペーニャ
＊【ＶＩＤＥＯ】アミューズピクチャーより、【ＤＶＤ】東芝デジタルフロンティアより発売中
＜ストーリー＞
移植コーディネーターのマヌエラ（セシリア・ロス）は。女手ひとつで育ててきた
息子のエステバンとマドリッドで暮らしていた。作家志望の息子は、自分の父親
について母に問い詰める。エステバンの17歳の誕生日、ふたりは大女優ウマ・
ロッホ（マリサ・パレデス）が主演する「欲望という名の電車」の舞台を観に行く。
それは20年前にアマチュア劇団にいたマヌエラが夫と共演した思い出の芝居だった。
彼女はようやくエステバンに、父親のことを話そうと心に決める。だがその直後、
エステバンは車にはねられて死んでしまう。マヌエラは失った息子の最期の想いを
伝えるため、かつて青春時代を過ごしたバルセロナへ旅立つ決意をする……。
＜レビュー＞
母の愛は強し！！
それをシミジミと実感させてくれる映画です。
登場するのは、息子を事故で亡くした母、ドラッグに溺れる娘を持つ舞台女優、
未婚のまま妊娠したシスター（その相手がビックリものなのだが……）。
完全な女性のドラマで、男たちの影は薄い。
彼女たちが過酷な運命に翻弄されながらも、毅然とした態度で立ち向かっていく
ようすが描かれている。
素材としてはオドロオドロしい、情念のドラマになっても不思議ではない。
だが、アルモドヴァル監督はけっして極端に走らず、ユーモアを織り込みながら
バランスよく描いている。それがとても効果的だ。
どんなに激しいドラマよりも、監督の意図することが見事にこちらに伝わってくる。
特に印象的なのが、女たちの会話のおもしろさ。
楽しくて、ちょっぴりエッチで、それでいて心の奥底に響くような言葉がポンポンと
飛び出してくる。
マヌエラがエステバンの父親と再会するシーンも、忘れられない印象的なシーンだ。
ネタの使い方もウマイ。
有名な芝居の「欲望という名の電車」。主人公マヌエラにとって思い出の芝居であり、
女優のウマ・ロッホにとっては、現在の苦悩をそのまま象徴するもの。
それを効果的に使っている。
また、マヌエラの仕事を移植コーディネーターにして、息子の死に対する悲しみを
より深くするあたりの細工も見事だ。
欠点といえば偶然が多すぎるところかも。一度ならともかく、二度、三度と偶然が
重なるのは、ちょっとどうかなと思ってしまう。
この映画に登場する女たちは、それぞれ心に虚しさや傷を抱えている。
それでも前向きに明日を見つめようとする。
その力強さには、ただ恐れ入るばかり。 ｍ（＿＿）ｍ
男の僕にはとてもマネできませ〜ん。 (＾。^/)
《ぽちのオススメ度》
★★★+1／2★
（女優たちの競演も実に迫力満点。ヤワな男なんかブッ飛ばされちゃうかも！？）
＜ぽち＞