ＮＡＮＡ
| （2005年 日本）（上映時間１時間54分） 監督：大谷健太郎 出演：中島美嘉、宮崎あおい、成宮寛貴、平岡祐太、丸山智己、松山ケンイチ、 玉山鉄二、松田龍平 ＊有楽座ほかにて全国公開 ホームページ http://www.nana-movie.com/ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ＜ストーリー＞ 東京にいる恋人、章司（平岡祐太）に会うため電車に乗った小松奈々（宮崎あ おい）は、偶然同じ名の大崎ナナ（中島美嘉）と隣り合わせになり意気投合す る。東京で２人は同じ部屋に住むことになるのだが……。 ＜レビュー＞ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 大人気マンガの映画化。原作のファンなら楽しめると思うけど 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 コミックス（1巻〜12巻合計）の売り上げが2200万部を突破した矢沢あいの『Ｎ ＡＮＡ』。女子中高生を中心に大人気のこのマンガを『アベック モン マ リ』『とらばいゆ』などの大谷健太郎監督が映画化しました。 ただし、ボクは原作は読んでいないので、それは無視させてもらいます。 設定はなかなか魅力的です。「ナナ」という同じ名前の女のコが偶然に出会う。 ２人は性格も育った環境も大違い。だけど、意気投合して２人で暮らすように なる。そして……。 １人のナナ、大崎ナナは元はロックバンドをやっていて、東京でもロックをや りたいと思っています。つまり、ロックが大きな要素を占める物語。なのに、 なのに、あんまりロックな香りがしないのはどうしてでしょう。（・_・？） うーん、やっぱり中島美嘉の歌ってロックじゃないんだよなぁ〜。もちろんう まい歌手だし、彼女にしては頑張ってロックっぽい歌い方をしているんですけ どネ。 いや、彼女の歌だけじゃなくて、映画全体にロックの魂がないのだ。ロックの 持つ荒々しさとか、反逆の心とか、そういうものが何も感じられません。うわ べだけのロック、ファッションとしてのロック。そんな感じがしてしまうんで す。 そういや、ナナのかつての恋人がやっているバンド（トラネス）もロックじゃ ないよねぇ〜。あれってただのポップバンドじゃん。 さらに不満なのが、奈々とナナの友情の描き方が浅いこと。対照的な２人が出 会って……とくれば、当然２人の友情物語が展開されるのだが、そこがどうに もツッコミ不足。奈々が失恋したところとか、ナナと昔の彼との一件のあたり で、それなりに描いているけれど何だか底が浅い感じ。セリフ（独白を含む） で語らせる部分だけが目だってしまうのです。 ２人がお互いに触発されて変化していくところが、このテのドラマの醍醐味な のに、そこもほとんど見えてきません。 たとえば、同じく対照的な２人の女のコの友情物語が展開される『下妻物語』 と比べると、そのあたりが足元にも及ばないのだ。 (￣へ￣) 奈々とナナ、それぞれの恋の行方についても、イマイチ物足りなかったなぁ〜。 彼女たちの悩み、苦しみ、葛藤なんかがきちんと伝わってこないんだもん。ヒ リヒリするような切なさとか、ドキドキするような思いがリアルに伝わってこ ないと、青春映画としての魅力が出てこないと思うんだよなぁ〜。そういうリ アルさやみずみずしさこそが、青春映画のキモだと思うから。 もちろん見どころがないわけではありません。 宮崎あおいのブリっ子キャラは意外な掘り出し物。彼女ったら、こんな役もで きるんですねぇ〜。 役者としてもけっこうなキャリアを積んでいる中島美嘉もバツグンの存在感で す。あのアヤシサは天性のもの。たまりませんねぇ〜。 松田龍平をはじめとする、その他の若い俳優たちもなかなかの演技でした。 ボクは読んでいないのでわからないのですが、聞くところによると、この映画 は細かなディテールを含めて、かなり原作に忠実に描かれているらしいです。 なので、原作のファンはかなり満足できるのでは？ 紙の上で動いていた人物たちが、こうして映像になってくれるのはファンとし てはうれしいものですからねぇ。 もしかしたら、この映画は、そういう原作のファンをきっちり取り込めば、そ れでＯＫという意図でつくられたのかもしれません。なんせあれだけファンが 多けりゃ、それだけで十分にビジネスになるもんね。 てことは、アタシみたいな部外者なんて、どうでもよいってことなのか！？ フン！ スネてやる！！ グレてやる！！！ (￣‥￣)=3 《ぽちのオススメ度》 ★★☆☆☆ （青春映画としてはかなり物足りない出来。原作のファンにはオススメできま すが、それ以外の方にはちょっと……。） ＜ぽち＞ 〔鑑賞データ〕 2005年９月５日（月）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後４時40分の 回。 |