ノロイ


(2005年 日本)(上映時間1時間55分)
監督:白石晃士
出演:松本まりか、山根良顕、田中卓志、高樹マリア
*新宿オスカー、池袋シネマサンシャインほかにて公開
ホームページ http://www.no-ro-i.jp/
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<ストーリー>
2004年4月、怪奇作家の小林雅文の自宅が全焼。焼け跡からは妻、景子の焼死体
が発見されたが、小林の姿はなかった。彼は失踪する直前までビデオ作品「ノ
ロイ」を手がけていた。そこには数々の恐ろしい出来事が記録されていた……。

<レビュー>
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手の込んだイタズラと切り捨てられない異様な緊迫感のホラー
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『リング』『呪怨』の一瀬隆重プロデューサーが仕掛けた日本版『ブレア・ウ
ィッチ・プロジェクト』と評判のホラー。

小林雅文という実在の怪奇作家が姿を消し、彼の自宅から妻の焼死体が発見さ
れた。その小林が失踪前に完成させていたドキュメンタリー作品「ノロイ」を
再構成したのがこの映画、というふれこみ。

要するに、実際に失踪した人がいて、彼が記録していたビデオが残されていて、
そこには恐ろしい事実が……てなスタイルが、数年前にアメリカで大ヒットし
た『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』と同じってワケ。

だけどさぁ、これ、どうしたって実話には思えませんヨ!
だって、肝心の「ノロイ」なるビデオが、ニセモノなのがミエミエなんだもん。
ダンカンや荒俣宏、飯島愛なども出演する超能力実験のテレビ番組なんて、わ
ざとらし過ぎてリアリティはゼロ。おまけに、怪奇作家小林さんが取材する一
般人が、ミョーに鼻につく演技をしまくる。あれのどこが一般人なんだ? 役
者でなくて、何なんだよぉ〜。小林さん自身も、何だかクサい演技だよなぁ〜。

てことで、ボクは断言します。絶対にこのビデオはホンモノのドキュメンタ
リーなんかじゃありませんッ!

ちなみに、小林さんの本やビデオを出している杉書房なる出版社までデッチあ
げる懲りようなのだが、アマゾンで検索してみろッ!!! そんな出版社あり
ゃしねえよ!!!! (  ̄っ ̄)

かくして一発でニセモノと見破ったボクですが、それでも異様な展開にグイグ
イと引き込まれて、最後までちっとも飽きなかったのだ。

「なんでそんな言い方ができるんだよ!」と叫ぶ不気味な女、心霊番組に出演し
た女優(松本まりか、って誰?)の周りで起きる怪奇現象、取材中に録音され
た不思議な声、「霊体ミミズが襲ってくる」という自称超能力者、「カグタ
バ」なる不思議な言葉、ある地方の奇怪な神事……。

そんなワケのわからないネタが次々にバラまかれて、観客を不安の底に突き落
とすんです。
そして、それらにまつわるナゾを追う作家小林の姿を見ているうちに、観客も
また彼と同じ視点でナゾに迫っていくようになるワケ。

前半は、やや乱雑な感じがするものの、ナゾが徐々に1本の線につながってい
く後半は圧巻。手持ちカメラによるドキュメンタリータッチの映像が、ハンパ
でない緊張感をあおっていきます。 ( ̄□ ̄;)!!

それが爆発するのがクライマックス。村が沈んだダムの湖上での儀式から、オ
ドロオドロしい惨劇に至るまで、異様な緊迫感に満ち満ちていて、一瞬も目が
離せません。これほどスサマジイ緊張感を持ったホラーは、そうそうお目にか
かれません。

エンドタイトルのない唐突な終わり方もユニーク。「これは実話なんだ!」と
いう設定に忠実に、徹底して手の込んだイタズラを仕掛けています。

とはいえ、あれだけ熱演した役者さんたちの名前が登場しないのは、本人たち
にとっては悲しいことかも……。特に超能力者、堀さんを演じた役者はキレて
ました。キレすぎてコメディーでもないのに笑っちゃったぐらいです。いくら
何でもあれは大げさすぎるだろッ! (^○^)

「実話だ!」というふれこみがまったく信じられなかったボクも、異様な緊迫
感の嵐にやられてしまった異色のホラー。実話だと信じ込んで観れば、もっと
もっと不気味さが倍加するはず。日本のホラー映画の層の厚さを実感させる映
画でした。

《ぽちのオススメ度》

★★☆☆☆(+1/2★)
(『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』にハマったホラー好きは必見。あれよ
りもっと手の込んだつくりになっています。)
                                 <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2005年8月21日(日)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後3時40分の
回。

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