おいしい生活 (SMALL TIME CROOKS)


(2000年 アメリカ)(上映時間1時間35分)
監督・脚本・出演:ウディ・アレン
出演:ウディ・アレン、トレーシー・ウルマン、ヒュー・グラント、エレイン
・メイ、トニー・ダロウ、ジョン・ロヴィッツ、マイケル・ラパポート
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<ストーリー>
さえない中年男レイ・ウィンクラー(ウディ・アレン)は、悪ダチとともに銀行
強盗を計画する。銀行の近くの店を借り、カムフラージュのために愛妻フレン
チー(トレーシー・ウルマン)にクッキー屋をオープンさせ、そこから銀行に向
かって地下道を掘り進めようというのだ。ところが、意外なことにそのクッキ
ー屋が大繁盛して……。

<レビュー>
最近のウディ・アレンはけっこういい感じです。
アクの強さが控えめになって、強引に自分の世界を突っ走るようなこともなく
なった。
熱烈なファンから見たら物足りないのかもしれないけど、僕なんかはかなり気
に入ってます。 (^-^)

そんな彼が久々に主演もこなしたこの映画、ひとことで言えば「ただのコメデ
ィー映画」。深いテーマや鋭いメッセージを感じさせることもなく、ひたすら
笑いを取ることに徹しています。ハチャメチャで、ときにはドタバタだったり
もする。
おかげで難しいことを考えずに、笑いながら楽しく観ることができるんですね
ぇ〜。

何を隠そう(別に隠す必要もないのだが)、アレンさんはもともとスタンダッ
プコメディアン。だから、ある意味では原点に帰ったってことなのかも……。

アレン演じるレイとトレーシー・ウルマン演じるフレンチーはおもろい夫婦。
元ノミ屋で銀行強盗に失敗して刑務所に入っていたレイ。元ストリッパーでダ
ンナに毒舌攻撃を浴びせるのが得意なフレンチー。2人の憎まれ口のタタキ合
いは、夫婦漫才も真っ青のおもしろさ。 (゜o゜)\(-_-)

レイは悪い仲間(といってもみんなオマヌケ)とともに銀行強盗を計画。銀行
近くの店を借りてフレンチーにクッキー屋を開かせ、自分たちはそこから銀行
へと地下道を掘ろうとする。だが、これが迷工事でなかなかうまくいかない。
ようやくトンネルが完成したと思ったら、アラアラそこは銀行どころかブティ
ックじゃん! (^0^)

一方、渋々夫たちの計画に加わったフレンチーは、本気で商売をする気なんか
ないから適当にクッキーを焼いて適当に売る。
ところが、なんとこれがバカウケ! 行列のできる店としてテレビにも紹介さ
れて大繁盛。やがてフランチャイズ経営を始めて、莫大な利益を手にするのだ
った……。 ( ̄^ ̄)

カムフラージュで始めたクッキー屋が大当たりするというアイデアがいいなぁ
〜。
うまく行きすぎには違いないんだけど、人生何が起きるかわかりません。これ
ぞまさに「おいしい生活」ってヤツですね。 

後半は、こうして大金持ちになった夫婦が、だんだん別々の道を歩き始める様
子が描かれます。妻のフレンチーはハイソ生活に憧れて、ハイソにふさわしい
教養を身につけようと必死に背伸びする。それに対して夫のレイは相変わらず
貧乏時代のままのライフスタイル。ハイソな皆さんにも毒舌ギャグをかましま
くる。2人の間は気まずくなって……。

両者の対比がとっても効果的です。
ハイソ生活を表す高級ワインやブランドもの、美術館、ウィンザー公のシガレ
ット・ケースetc.
庶民生活を表す肉団子入りスパゲティやビール、テレビ、中華料理etc.
そんなアイテムの使い方もうまいんですよねぇ〜。

そして、ラストにはドンデン返しが用意されています。
どんどん離れていった夫婦に、突然、とんでもない事態が襲ってくる。だが、
そのあとにもまた波乱が……。はたして2人の関係はどうなるのか?

いやぁ〜、最初から最後までずーっと笑いっぱなし。 (^。^/)
登場人物のキャラクターがとってもいいんですヨ。特に主人公夫婦のキャラが
バツグンにおもしろい。ウディ・アレンとトレーシー・ウルマンが互角に渡り
合っていて、観ているうちに自然に顔がほころんできます。

フレンチーの従姉妹のメイのキャラもユニーク。演じるエレイン・メイは、『
バードケイジ』や『パーフェクト・カップル』などの脚本家で、舞台俳優でも
あるとのこと。
意外なところでは、ヒュー・グラントがフレンチーのカルチャー指南役になる
画商を演じています。一見、ウディ・アレンの映画には合わない感じがします
が、これがかなりハマッているんですよ〜。 (#^.^#)

多少気になるところといえば、話の展開がほぼ見えてしまうのと、都合が良す
ぎる部分が多いことぐらいでしょうか。それもコメディーの定石の範囲を超え
ていないので、そんなには気になりませんでした。全体のテンポもスゴクいい
し。

ウディ・アレンのコメディアンとしての才能が「ただのコメディー映画」の中
で大全開!
てな感じで、夫婦の会話を中心に、軽〜いコメディーとして楽しく笑わせてい
ただきました。
話に深みがあるわけではないし、心が動かされるようなこともないけれど、誰
でも楽しく笑える。良質なエンターティメント作品といってよいでしょう。

だけど、アレン映画に「エンターティメント」なんて言葉、似合わないよなぁ
〜。 (^0^)
そういえば、この映画はドリーム・ワークスの配給。スピルバーグとアレンっ
ていうのも似合わないよなぁ〜。 (^。^/)
これぞミス・マッチの魅力か!?

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆(+1/2★)
(職人芸的なうまさを感じさせる映画。コアなアレン・ファンはともかく、普
通の映画ファンなら楽しく観られると思うな。コメディー好きな方はぜひどう
ぞ。)
                             <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2001年12月13日(木)恵比寿ガーデンシネマにて。午前10時40分の回。


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