オーバードライヴ
（2004年 日本）（上映時間２時間７分）
監督：筒井武文
出演：柏原収史、鈴木蘭々、杏さゆり、小倉一郎、新田弘志、新田昌弘、阿井
莉沙、石橋蓮司、ミッキーカーチス、賀集利樹
＊テアトル新宿ほかにて公開
ホームページ http://www.overdrive-movie.com/
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＜ストーリー＞
人気バンド「ゼロデシベル」の自称天才ギタリストの弦（柏原収史）は、記者
会見中にボーカルの美潮（鈴木蘭々）から「このバンドにギターはいらない！」
と言われてしまう。その夜、ホテルの部屋から外出しようとした彼は、テレビの
レポーターたちを避けるためタクシーに飛び乗り、行き先を「シモキタ」と告げ
る。ところが、気づくとそこは青森県の下北半島。タクシー運転手の五十嵐（ミ
ッキーカーチス）は、実は津軽三味線の師匠で、後継者候補をさらっていたのだ。
東京に帰ろうとする弦だが、五十嵐の孫娘、晶（杏さゆり）に一目ぼれして、彼
女の気を惹くために三味線の猛特訓を開始する……。
＜レビュー＞
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オバカでありがちなシャミ根（？）映画だが津軽三味線の魅力がタップリ
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♪ビンビンビンビャカビンビンビンビンビャカビンビンビン。
てことで、津軽三味線です（どこがだよ！）。
こんなに心躍らせる津軽三味線の音色。ロック映画やジャズの映画、ブルース
の映画があるなら、津軽三味線の映画があってもいいじゃないかッ！！！
と製作者たちが考えたかどうかは知りませぬが、全編津軽三味線大フィーチャ
ーの映画なのだ。
とはいうものの、はっきり言って話自体はバカです。アホです。 (＾0＾)
人気バンドのわがままギタリストが、ボーカルで恋人の女の子と仲間割れ、ふ
としたはずみで乗り込んだタクシーに「シモキタ」と行き先を告げたら、東京の
下北沢ではなく、なんと青森の下北半島に連れて行かれてしまう。
実はこのタクシー運転手、津軽三味線の名人で、「これは！」と見込んだ若者
を後継者にすべくさらっていたのだ。
特訓を課す名人。しかし、やる気のないギタリストは脱走。ところが、名人の
カワイイ孫娘に出会ったことから、思い直して修業に打ち込み……。
て、そんなことあるワケないでしょうがッ！ (｀´メ)
でも、それを承知で観るとなかなか楽しい映画です。 (*^_^*)
なんたってキャラがハジケていてユニーク。わがままでケーハクな主人公のギ
タリスト、彼をさらう津軽三味線の師匠、祖父である師匠に代わって特訓を施す
カワイイ孫娘、そしてライバルになる怨霊もどきの白塗りの三味線弾きなど、キ
ョーレツなキャラが大活躍。
構成も変わっていて、物語の間でラップの女弁士が登場したり、アニメが出て
きたり、サイレント映画のようなシーンが展開したりと、あれやこれやと工夫し
て観客を笑わせまくる。
わがまま男が、ひょんなことから津軽三味線に出会い、人間的に成長していく
というスポ根（三味線だからシャミ根？）の定番をキッチリ押さえつつも、適度
な暴走で笑いを振りまいていくんです。
そして、何よりもスゴイのが津軽三味線の迫力。新田弘志・昌弘親子、木下伸
一、吉田兄弟といった一流の演奏家の演奏に加え、主演の柏原収史（柏原崇の弟
でギタリスト）のバチさばきもかなりのもの。津軽三味線の魅力がビンビン伝わ
ってきます。
ただし、中盤はちょっとダレ気味。物語の進行がモタって、話があっちこっち
に飛ぶので、ちょっと飽きてしまいました。 (´ヘ｀;)
それでも、後半は再び大盛り上がり大会。三味線アルティメット大会（て、そ
んなのねーだろ！？）での大バトルが展開されるという、これまたスポ根（だか
らスポーツじゃないし）ものの定番パターン。だけど、これがハンパでない迫力
で、スクリーンの中にグイグイと引き込まれてしまいました。
主人公がジミー・ペイジ愛用（？）のダブルネック三味線をかき鳴らしたり、
怨霊プレイヤー（新田弘志の怪演が光る）の演奏が暗黒の雲を呼んだり、バカバ
カしくもアツいバトルが楽しい。
ラストはちょっとあっけなかった感じ。主人公の成長をもうちょっとキッチリ
見せると同時に、恋の行方もそれなりに示してくれると良かったのですが。
でも、そのあとの音楽（劇中バンドのゼロデシベルの曲）があまりにも素晴ら
しいので、あと味はスッキリ。明るくて前向きな気分になれました。 (*^。^*)
それにしても、鈴木蘭々って、良い歌を歌うのねぇ〜。ホントにバンド活動し
てもいいかもヨ。気まぐれ身勝手女の演技でも、意外な魅力を発揮していました。
そのほか、主演の柏原収史、師匠役のミッキーカーチス、その息子役の小倉一
郎、孫娘役の杏さゆり、などが存在感のある演技を披露。
笑って楽しくなれるスポ根（いや、シャミ根）映画です。何よりも津軽三味線
の魅力がよ〜く伝わってきます。音楽好きだけでなく、明るい気分になりたい方
にオススメだよ〜ん。
♪ビンビンビンビャカビンビンビンビンビャカビンビンビン。
（て、だからそれのどこが津軽三味線なんだヨ！？）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆【普通にオススメ。観ても損はナシ】
（明るく楽しいスポ根ならぬシャミ根映画。オバカな人たちのオバカな行動と、
迫力の津軽三味線が良いブレンド。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2004年10月13日（水）テアトル池袋にて。午後４時30分の回。