ペイチェック/消された記憶(PAYCHECK)


(2004年 アメリカ)(上映時間1時間58分)
監督:ジョン・ウー
出演:ベン・アフレック、アーロン・エッカート、ユマ・サーマン、ポール・
ジアマッティ、コルム・フィオール
*日比谷スカラ座1ほかにて全国公開
ホームページ http://www.paycheck.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

<ストーリー>
コンピューター・エンジニアのマイケル・ジェニングス(ベン・アフレック)
は、企業に雇われて開発に携わり、プロジェクト完了後は機密漏洩を防ぐため
、その期間の記憶を消される契約で稼いでいた。しかし、オールコム社の仕事
を終えた彼が受け取ったのは約束の高額の報酬ではなく、19のガラクタが入っ
た封筒だった。FBIに追われ始めたジェニングスは何が起きたのかを探るの
だが……。

<レビュー>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ハトは飛んだか? SFっぽさは足りないが緊迫感はたっぷり
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ジョン・ウー監督といえばハト! ヘ(ё)ヘ
これまでの映画でも、クライマックスには必ずといっていいほどハトを飛ばし
てきた彼。あんたは手品師か? それとも伊東に行くならハトヤか?
はたして今回もハトを飛ばしてくれるのでしょうか???
「ウーさんたら、ちゃんとハトを飛ばしてくれんと許しまへんで〜〜!」

いったいボクはなにを言ってるんでしょうか。どうやら記憶がブッ飛んだみた
いです。
記憶? そう記憶なのです。『ブレードランナー』『トータル・リコール』の
原作者としても知られるSF作家フィリップ・K・ディックの短編が原作のこの
映画は、記憶が重要なポイントになっています。

舞台は近未来。フリーのコンピューター・エンジニアが企業に雇われて開発に
携わる。仕事の後は機密保持のためその間の記憶を消されるが、それと引き替
えに巨額の報酬を得る。ところが、3年間という異例の長さの仕事を終えた彼
には、報酬の代わりにガラクタの入った封筒が渡されただけだった……。

記憶をなくした主人公が、その間に何があったのか探るという設定は、サスペ
ンスとしてそんなにビックリのネタとは思いません。
でも、彼が手にした19個のガラクタを使いながら、ナゾを追及して行くという
設定はかなりおもしろいです。
「次はどれかなぁ〜」「あのアイテムはどう使うんだろう」などと思いながら、
ゲーム感覚でスクリーンに同化することができます。 o(^o^)o

前半はFBIと雇われていた会社から追われる主人公が、「いったい何がどう
なってるんだぁ〜〜??」とワケのわからないままに、真相を探り出そうとし
ます。ジョン・ウーにしては、そんなに個性的な演出ではありませんが、スピ
ーディーで緊迫感にあふれた展開は見応え十分です。

そして、後半はお得意のアクションが全開。いつもほどの強烈な個性はないも
のの、ツボを押さえたアクションが繰り広げられます。ガンアクション、バイ
クアクション、派手な爆破劇など、どれもみんな刺激的。過剰なサービス精神
がない分、誰にでも楽しめるアクションになっています。 (*^。^*)

SFらしくCGをフルに活用したシーンも楽しい。三次元モニター、人工嵐、
そして問題の××を×××るマシーン(わかんねぇよ! でも、バラしたらつ
まんないもんねぇ〜)。
ただ、SFっぽさ満載というわけではありません。あえてそれを抑えて持ち味
のアクションに全精力を注いだ感じです。

それにしてもフツーの技術者や生物学者がどうしてあんなに強いんだ?(笑)
 FBIや殺し屋も形無し。
それはいいとしても、展開に偶然の重なりすぎが多いよね。主人公やその恋人
の心情もそんなに深くは描かれないし。近未来を舞台にした割にはテーマ性も
ない。管理社会の恐怖とか、ハイテクの行き着く先とか……。

だいたい、なんでアイツらあんなに記憶を消すことにこだわるんだ? いくら
機密保持のためったって、そんなことしてもどこかで絶対にバレるって!

な〜んて細かいことは色々ありますが、そういうことを考えなければけっこう
楽しいです。
最後のダメ押しのひとネタはちょっとしつこいけれど、それもまたウー監督ら
しいといえばそうかも。ウーさん、ひょっとして宝くじ好き?

今回のベン・アフは、あんまり深いドラマがないだけに身体を張ったアクショ
ンで頑張っています。
そして、恋人役のユマ・サーマンは『キル・ビル』とはまったく違うタイプの
役……てな噂だったのだが、なんのなんのやっぱりやるときはやります。強い
です。コワイです。つきあいたくありません。 (^0^)

ハラハラドキドキして痛快な気分になりたい人にはオススメの映画。ジョン・
ウーらしさはやや影をひそめたが、見せ場は盛りだくさんです。

さて、ハトはどうしたでしょう。
さすがウーさん、ちゃ〜んと飛ばしてくれましたヨ。いったいどこで? それ
はぜひご自分の目でお確かめください。 (^_-)-☆

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆【普通にオススメ。観ても損はナシ】
(サスペンス+アクションとして水準はクリア。料金分は楽しめるはず。SF
っぽさが足りないのが物足りない人もいるでしょうが……。)
                            <ぽち>
〔鑑賞データ〕


[レビュートップページ][「へ」のページ]