北京ヴァイオリン(TOGETHER)
（2002年 中国）（上映時間１時間57分）
監督・出演：チェン・カイコー
出演：タン・ユン、リウ・ペイチー、チェン・ホン、ワン・チーウェン、チェ
ン・チン、キム・ヘリ、リー・チュアンユン
＊Bunkamuraル・シネマにて公開。全国順次公開
ホームページ http://www.cqn.co.jp/violin/index.html
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＜ストーリー＞
中国北部の田舎町で、父親リウ（リウ・ペイチー）と２人で暮らす13才の少年
チュン（タン・ユン）。母の形見のヴァイオリンを弾くのが得意な彼は、コン
クールに出場するために父とともに北京へ行く。息子の成功だけを夢見る父は
指導教師探しに奔走し、著名なユイ教授の指導を受けることになるが……。
＜レビュー＞
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チェン・カイコー作品にしては並みの出来だが、感動できるのは間違いなし
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ハリウッドに進出し、官能サスペンス『キリング・ミー・ソフトリー』を監督
したチェン・カイコー監督。間口の広さを知らしめたものの、作品としては明
らかに物足りなかった前作に続く今作は、中国に戻ってつくりあげたヒューマ
ン・ドラマです。
中国の田舎町に住む父子。13歳の少年チュンは母の形見のヴァイオリンを巧み
に奏でる。息子が音楽家として成功することだけを願う父は、息子ともに北京
に移る。そこで、高名な教授につき国際舞台に羽ばたく大きなチャンスをつか
むが、それは同時に愛する父との別れを意味していた……。
わかってはいても感動してしまう。そんな映画です。 (T^T)
特に設定が設定だけに、全編に流れるクラシック音楽の使い方が見事。ドビュ
ッシー、パガニーニ、リスト、チャイコフスキーなど数々のクラシック音楽の
調べが全編を彩ります。
また、映像も相変わらず鮮度が高い。登場人物の心情や彼らを取り巻く状況を
的確に表現した、実に味わい深い映像が展開されます。
何たって、あの『キリング・ミー〜』だって、映像だけはなかなかのものでし
たからねぇ。映像だけは（笑）。
役者もいいんですよねぇ〜。
お父さんが素晴らしいんです。誠実で、明るくて、息子のために全てを投げ出
す。いまどきこんな親父がいるでしょうか。いませんよねぇ〜。そんな非現実
的な役柄をリウ・ペイチーがしっかりと足を地につけて演じています。
こんなお父さんの子供なんだから、息子のチュンもひたすら素直で明るい子で
す。演じるタン・ユンは現役の音楽学校の生徒ということで、ヴァイオリンを
弾く時の超絶テクと、ふだんのあどけない表情とのギャップがなんとも魅力的
。 （⌒^⌒）ｂ
当然ながら、物語はこの２人の親子の絆をめぐって展開していきます。息子の
成功のために献身的に動く父と、それに応えて厳しい競争社会を生き抜くため
に頑張る息子。でも、それは同時に両者の絆をどんどん弱めることになってし
まいます。その親子の絆がいったいどうやって回復していくのか？？？
ということで、話はミエミエなんですよね。展開はごく平凡で、先が読めてし
まう。特に後半の展開は完全にバレバレ。結末なんてあまりにも陳腐で、あれ
はいくら何でもどうかと思うんですよねぇ〜。 (´ヘ｀;)
それなのに、映像や音楽、役者の演技などで飽きずに見せて、最後はキッチリ
と泣かせてくれる。観終わってすがすがしい気持ちにさせてくれる。良い意味
で肩の力も抜けているので、感動の押し売りになるようなこともない。全編に
ユーモアもあふれていて、笑いどころがたくさんある。
そして、感動の物語の背景では、現在の中国の拝金主義や競争社会と、それが
失わせている大事なものをきちんと描き出してくれています。
も〜、うますぎですぜ。 ♪ d(⌒o⌒)b♪
これだけの映画がつくれる監督は、そうはいません。さすがですねぇ〜。
ただし、チェン・カイコー作品の中で傑作かといえば、そういう感じでもない
。たしかに良くできた映画ではあるけれど、深みや衝撃度は過去の名作に及ば
ないんですよねぇ〜。パターン的な展開が多いし、ご都合主義も目立つ。脚本
にもうひとひねりあっても良かったんじゃないかなぁ〜。
まあそれでも、これだけ感動させてくれるわけだから、「これ以上何を望むん
だぁ〜〜！！」と言われればその通りなんですが。ボクってぜいたく？
ちなみに、チェン監督、チュン少年の２人目の先生役でご出演です（１人目の
先生役のワン・チーウェンも味のある演技）。
そして、なんと愛妻チェン・ホンもチュン少年の話し相手の近所のイケイケお
姉さん役で登場。うーむ、あんなに若くてきれいな奥さんがいるとはウラヤマ
シイ。（て、そんなとこに注目してどーする！）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆【普通にオススメ。観ても損はナシ】
（チェン監督だけにややシビアに評価。物足りなさは残るけれど、親子の絆の
物語に感動できるのは間違いなし。泣きたい方はぜひどうぞ。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2003年６月25日（水）Bunkamuraル・シネマにて。午前11時の回。