フォーン・ブース(PHONE BOOTH)
（2003年 アメリカ）（上映時間１時間21分）
監督：ジョエル・シューマカー
出演：コリン・ファレル、フォレスト・ウィッテカー、キーファー・サザーラ
ンド、ラダ・ミッチェル、ケイティ・ホームズ
＊日比谷スカラ座ほかにて全国公開
ホームページ http://www.foxjapan.com/movies/phonebooth/
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＜ストーリー＞
自称一流パブリシストのスチュ（コレン・ファレル）は、公衆電話に向かい、
新進女優・パメラに誘いの電話をかける。するとピザ配達人がやって来て、「
あなた宛に支払い済みのピザが届いていている」と言う。乱暴に追い払うスチ
ュ。そこに公衆電話が鳴り、反射的に受話器を取ったスチュに対して、電話の
主は彼の傲慢さを非難し始める……。
＜レビュー＞
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ありそでなさそ。電話ボックスだけでつくりあげた緊迫のサスペンス
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文句ナシにおもしろい！ （*^_^*）
この映画はねぇ、まずアイデアの勝利ですね。
「公衆電話が鳴って、つい受話器を取ったら、脅迫されてそこから動けなくな
る」てなアイデアは、誰かが考えそうでなかなか考えられないもの。これを思
いついただけで、もうこの映画のおもしろさは保証されたようなものです。
ただし、舞台が電話ボックスに限定されるということは、それだけ役者の演技
と監督の演出力が試されることになる。
その点でも、この映画はよくできています。
まず、コリン・ファレルの鬼気迫る演技がスゴイ。軽薄で口からでまかせを並
べ立てる典型的な業界人キャラで登場する冒頭から、ふとしたことで電話ボッ
クスから離れられなくなり、怒り、泣きわめき、憔悴していく演技は、見応え
タップリです。あのキレ方はスゴ過ぎますヨ〜。 (^-^)
そして、彼と電話を通じて対峙するのは、キーファー・サザーランド。この声
の演技も見事ですね。屈折しまくりで、いやらしくて、恐くて。主人公をコロ
コロと手玉に取る男を声だけで演じてしまうんですから。
そこに主人公の妻や、不倫ターゲットにされた女優の卵、警察官などが入り乱
れての１時間21分（この時間の短さもニクイ）。最初から最後までまったくス
クリーンから目が離せない緊迫感が素晴らしい！ (＾o＾)／
『セント・エルモス・ファイアー』(1985)、『依頼人』(1994)、『評決のとき
』(1996)、『バットマン／フォーエヴァー』(1995)
、『９デイズ』（2002）
など、いろんなタイプの映画を監督してきたベテランのジョエル・シューマカ
ー監督の演出もキレがあります。手持ちカメラでドキュメンタリー・タッチに
したり、画面をいくつにも分割したりして、一瞬たりとも緊迫感を切らさない
工夫をしています。さすがにソツのない演出ですねぇ〜。
なになに？ 今はケータイ時代なのに電話ボックスの設定は無理だろうって？
いえいえ、主人公スチュは、「携帯だと妻にばれるかもしれない」と思って電
話ボックスから女の子に誘いの電話をするワケ。しかも、そのときに結婚指輪
をわざわざはずすんです。
なになに？ それにしても、途中で電話を切って逃げりゃいいだろうって？
いえいえ、敵はちゃーんとライフルで狙っていて、実際に犠牲者も出ちまうん
です。しかも、警察も主人公を銃撃犯と誤解して銃で狙いをつける。なので、
多少の無理はあるにしても、電話を切れないことについ納得してしまうのだ。
こういうところもキチンとつくられていますねぇ〜。
それでもやや食い足りないところはあります。高慢でいい加減な主人公スチュ
の心が、この体験を通して変化する人間ドラマも盛り込まれているのだが、そ
こはツッコミが浅い。スチュの変化がイマイチちゃんと描かれていません。
また、メデタシ、メデタシと思わせておいて、「あれあれ」となるラストも、
いかにもという感じがしてしまいますね。よくあるパターンでつまらん。
(｀ヘ´)
しかし、そのへんを除けば、かなり楽しめる映画です。ＮＹのたった１つの電
話ボックスという超限定空間を舞台に、ここまでスリリングなドラマを構築す
るのは簡単なことではありません。
シューマカー監督の演出、コリン・ファレルなどの役者の演技、カメラ・ワー
クなどありとあらゆるものがうまくマッチして、こういう映画ができたのだと
思います。
ドッカン、ドッカンの爆薬も、空中ピョンピョンのワイヤーアクションも、ギ
ンギンギラギラのＣＧも使わずに、こういう映画がつくれてしまうのですよ。
だから、映画っておもしろいのだ！ (＾o＾)／
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆【普通にオススメ。観ても損はナシ】
（アイデアと脚本、それに演出がガッチリかみ合った映画。コリン・ファレル
の魅力も見逃せない。人間ドラマが中途半端なのが惜しい……。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2003年11月22日（土）池袋ＨＵＭＡＸシネマズにて。午後３時10分の回。