ピンポン


(2002年 日本)(上映時間1時間54分)
監督:曽利文彦
出演:窪塚洋介、ARATA、サム・リー、中村獅童、大倉孝二、夏木マリ、竹中
直人
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<ストーリー>
卓球に絶対的自信を持つ片瀬高校1年のペコ(窪塚洋介)。だが、インターハ
イで敗れ自信をなくしてしまう。一方、彼の幼なじみスマイル(ARATA)は、コ
ーチに素質を認められ、特訓を開始する。こうして一度は違う道を歩み始めた
2人の幼なじみだったが……。

<レビュー>
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テンポのよい、明るい青春スポ根もの。熱血し過ぎていないのが魅力
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卓球はテンポだッ!
あのリズミカルなボールの音を聞くたびにそう思うんですが、この映画もバツ
グンにテンポの良いリズムカルな映画です。
しかもいまどきの高校生が登場人物というと最近は暗めの映画が多いけれど、
この映画はとっても明るい。悲壮感のカケラもない。そこが気に入りましたネ
。(^-^)

主人公は、「この星の一等賞になりたいの。卓球で」と豪語する自信家で負け
ず嫌いの高校生ペコ。
一方、幼なじみの同級生スマイルは技術は優れているものの、「卓球は暇つぶ
し」と冷めた態度。
やがて大会で中国人留学生にコテンパンにやられたペコは自信をなくし、卓球
を捨てる覚悟をする。
それに対して、スマイルはコーチの指導のもと、本格的に鍛錬を始める……。

話はいわゆる「スポ根もの」です。そこに「青春ドラマ」が合体した作品。若
者の挫折と再起を描いています。
普通こういうパターンだと、妙に熱かったり、重たかったり、感情ベタベタ〜
、てな映画が多いんですがこの映画はまったく違います。
とっても軽やか〜で、カラッとしたタッチなんです。それがこの映画の最大の
魅力。 (*^_^*)

最近売れっ子の宮藤官九郎の脚本がスゴクよくできています。
まず登場人物のキャラ設定がハンパでなく楽しい。自信家で態度がデカイのに
、試合に負けると泣き出すペコ。
冷静で笑顔を見せることがないくせに、相手の弱さを知ると情に流されてしま
うスマイル。
そのほか、2人のライバルの高校生、アクマだの、ドラゴンだの、チャイナだ
の、みんなムチャクチャにハジケたユニークキャラです。
そういう人物がリズミカルに、躍動感タップリに活躍するものだから、どんど
ん物語に引き込まれてしまいました。 (^o^)/

セリフもおもしろいんですよね。特にペコのセリフ。現代風なんだけど、いま
どきの高校生の言葉遣いとも違うユニークさ。「死ぬ」を「死ぐ」って言った
りしてネ。『声に出して読みたい日本語』の著者センセイとかが聞いたら、卒
倒しちまうんじゃないでしょうか。

映像的には卓球シーンが迫力タップリ。スポ根ものの定番を押さえてスローモ
ーションを多様。ただし、デジタル技術を大胆に導入して迫力満点の映像を展
開。曽利監督はもともとデジタル技術の専門家らしいので、こういうのはお得
意なんでしょうね。

スポ根ものにしては最初から最後まで笑えるのも楽しい。笑いのネタ自体はか
なりベタなものが多いんだけど、テンポがいいし、役者のセンスもいいからか
なり笑えます。 (^0^)

ラストはこのテの映画のお約束で宿命のライバル対決! W(゜o゜)W
とはいえ、これまた幼なじみとしての過去の経緯なんかをうま〜く挟み込んで
、そこに至る過程をきちんと描いているから、けっこう盛り上がるんですよね
ぇ〜。

ただ、最後の結末はどうなんだ?
まあ、主人公はペコなので、彼の成長物語として観れば、ああいう結末しかな
いんでしょうけど、小さくまとめ過ぎかなという気もします。

それと、一部の役者さんのセリフが聴き取りにくいのもちょっと気になりまし
た。

役者では窪塚クンのザンギリ頭に注目! なんだかとっても変わり者の困った
高校生になりきっておりました。やっぱり素質あるわ。彼。
それにスマイル役のARATAの演技も印象に残りましたね。徹頭徹尾、冷静
な態度の合間にチラッと見せる感情の高ぶりがいい感じ。この人、ファッショ
ンの仕事とかもしてるそうで、多彩な才能の持ち主なのね。ああ、うらやまし
い〜。 \(><@)/

他の高校生もみんな存在感があったし(それぞれけっこうな実力派の役者です)
、スマイルのコーチ役の竹中直人のいつもよりは抑え目の演技も印象的。それ
に、ペコのコーチ役の夏木マリの偏屈バアさんぶりも素晴らしかった。

最初から最後まで、バツグンのテンポの良さと(音楽も含めて)、切れ味の鋭
いシーンの連続。キャラクターのおもしろさもあって、文句ナシに楽しめる娯
楽作品に仕上がっています。青春スポ根ものなのに、熱血しすぎず、悲壮感も
まったくないところがユニーク。
日本映画は大作よりも、こういう映画の方がおもしろいんじゃない?

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆(+1/2★)
(卓球ファンでない人も、原作のマンガを知らない人も、窪塚クンのファンで
ない人も十分に楽しめるはず。)
                          <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2002年8月6日(火)銀座テアトルシネマにて。午前11時25分の回。


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