レイ(RAY)
（2004年 アメリカ）（上映時間２時間32分）
監督・脚本：テイラー・ハックフォード
出演：ジェイミー・フォックス、ケリー・ワシントン、レジーナ・キング、ア
ーンジャニュー・エリス、シャロン・ウォレン、クリフトン・パウエル
＊みゆき座、シネマライズほかにて全国公開
ホームページ http://www.ray-movie.jp/
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＜ストーリー＞
アメリカ・ジョージア州の貧しい家庭に生まれたレイ・チャールズ・ロビンソ
ン（ジェイミー・フォックス）は、７歳で視力を失う。しかし、彼の母親は、視
力がなくてもひとりで生きていけるよう厳しくしつける。やがて、17歳になった
レイはシアトルに旅立ち、ピアノの才能を認められてバンドのツアーに参加する
のだが……。
＜レビュー＞
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ジェイミー・フォックスのなりきりぶりと名曲の数々が魅力の伝記映画
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「レイ」といっても、『新世紀エヴァンゲリオン』の綾波レイではありません。
（わかっとるわい！）
日本でもおなじみの昨年亡くなった大歌手レイ・チャールズの伝記映画。その
劇的な人生を、良い側面ばかりではなく、悪い側面も避けずにきちんと描いてい
ます。
ジョージアの貧しい家に生まれたレイは、近所で初めてピアノに触れて以来、
音楽への情熱を強く持つようになる。７歳の時に病気で失明してからもその思い
は変わらず、17歳でシアトルに出てバンドに参加する。その後、才能がどんどん
開花し、次第に「盲目の天才」として知られるようになる……。
というわけで、音楽的にはこの人、とんでもない天才。最初はナット・キング・
コールなどのモノマネのような音楽でしかなかったのだが、すぐにオリジナリテ
ィーを獲得。スゴイ曲を次々に世の中に送り出していくんです。
なかでもスゴイのが名曲「ホワッド・アイ・セイ」ができる場面。全部の曲を
演奏し終えても、契約でまだ演奏しなければいけないというので、いきなりピア
ノを弾きながら即興でつくってしまうんです。これ、まさに天才だからこそでき
ること。
しかも、ヒットが出ても、同じ場所に留まらずに新しいことにチャレンジ。ゴ
スペルとR&Bを融合させた音楽「ソウル」を生み出しただけでなく、カントリー
などにも大胆に挑んでいくのです。
そして、彼がビッグになったのは、その音楽的才能だけでなく、ビジネス的才
能も貢献。契約を有利に運ぶために小細工をしたり、自分を育ててくれたレコー
ド会社とサヨナラしたりと、成功に向けてどんどん前に進んでいきます。
でも、そんな音楽的成功の背景にある私生活はメチャクチャ。せっかく愛する
女性と幸せな家庭を築いたのに、コーラスガールなどに次々に手を出していく。
同時に、幼い頃に水死した兄弟への罪悪感からヘロインに手を出し、その深み
にどっぷりと浸かっていきます。
こうした彼の現在進行形のドラマの合間に、幼い頃のトラウマや母の思い出な
どをフラッシュバックで挟み込み、ひとりの天才ミュージシャンのヒューマン・
ドラマを構築しています。
まあ、こういう演出はありがちで、特に目新しくもありませんが、伝記映画と
して堅実なのは確かです。ヘロインによる幻覚なども映像化しつつ、レイの心の
内面を探るあたり、さすがに『愛と青春の旅立ち』の名匠テイラー・ハックフォ
ード監督の手堅い演出。
「ヒット曲の数々」＆「波乱に富んだ人生」という素材が良いだけに、絶対に
おもしろくなるはずの映画。それをちゃーんと期待通りにおもしろくしたのだか
ら立派なもの。 (*^。^*)
ラスト近くでは、それまでややあいまいだった、レイのダメな側面に対するつ
くり手の解釈もハッキリさせます。
レイの母親は息子に対して「誰にも盲目と呼ばせるな！」と厳しく教えたんで
すよね。だから、レイはその教え通りに、普通の人と同じように音楽を演奏し、
ビジネスを展開したワケ。「あんたたち障害のない人たちになんか負けないぜッ！」
というツッパった気持で、ずっと生きてきたのだ。
だが、そのツッパった気持が同時に間違った形で現れて、メチャクチャな女性
関係だの、ヘロインの泥沼だのに突入させることにもなったのです。 (~ヘ~;)
ラスト近くでレイの空想の中の母親がこんなことを言います。
「あなたは誰にも盲目と呼ばせないように生きてきたけれど、心は“盲目”だ
ったのよ」
これを聞いて、「なるほどなぁ〜。これがつくり手の解釈だったんだなぁ〜」
と納得できました。
でもって、これはボクら観客にも無関係ではない話。ホラホラ、現代の世の中
には、ちゃ〜んと目は見えているのに、心の目が見えなくなっている人がなんと
多いことでしょうか。政治家、経済人、一般市民……。まったく困ったものです。
ま、ボクもエラそうに他人のことは言えんのですがネ。 (*^^*ゞ
な〜んてことも考えさせられた映画なのでした。
ラストの「我が心のジョージア」がジョージア州歌に決まる場面は、実に感動
的でしたねぇ〜。♪ジョージア、オー、ジョージア（て、お前が歌うな！）
もっとも、いちばんスゴかったのは、『コラテラル』でも好演したレイ役のジ
ェイミー・フォックスです。モーレツになりきってます。クリソツです。バーク
レイ音楽院でピアノを習っていただけあり、演奏シーンもパーフェクト。ま、ま
さかレイ・チャールズの魂が乗り移ったのか！？ 〜〜〜〜〜(m--)m
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（＋1／2★）【かなりオススメ。観たほうがいいんじゃない？】
（ステキな音楽と波乱の人生で見応えある伝記映画。レイ・チャールズのファ
ンでなくても楽しめます。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2005年1月29日（土）テアトルダイヤにて。午後１時25分の回。