リクルート(RECRUIT)
（2002年 アメリカ）（上映時間１時間55分）
監督：ロジャー・ドナルドソン
出演：アル・パチーノ、コリン・ファレル、ブリジッド・マイナハン、ガブリ
エル・マクト
＊丸の内ピカデリー２ほかにて全国公開
ホームページ http://www.movies.co.jp/recruit/
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＜ストーリー＞
ＭＩＴの学生ジェイムズ・クレイトン（コリン・ファレル）は、卒業を控えた
ある日、アルバイト先のバーで、ウォルター・バーク（アル・パチーノ）とい
うＣＩＡのベテラン教官からＣＩＡに誘われる。初めは不審に思っていたジェ
イムズだったが、父が実はＣＩＡエージェントであったことをほのめかされ、
バークの誘いを無視できなくなる。だが、ＣＩＡ入りした彼を待ち受けていた
のは……。
＜レビュー＞
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コリン・ファレルを手玉に取るアル・パチーノの鬼教官ぶりが絶品
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日本の某大手就職関連企業を舞台にしたサラリーマン物語……なワケないか。
(＾0＾)
でも、まあ就職には関係があります。それはなんとＣＩＡへの就職！
コンピュータの才能バツグンの大学生が、ＣＩＡのベテラン教官にスカウトさ
れてＣＩＡ入り。だが、そこで待っていたのは、想像を絶する過酷な訓練。様
々なトリックに満ちた何も信じられない世界だった……。
冒頭、いきなりアル・パチーノ演じる教官が酒場で、コリン・ファレル演じる
大学生をスカウト！
ありえねぇ〜〜〜〜。大事なスパイ候補生を酒場なんかでスカウトするか？？
？ しかも、そこは大学生のアルバイト先。ナンパじゃないんだからサ。
てことで、この映画はありえないことに満ちています。でも、ブレーンにはＣ
ＩＡのスポークスマンがついていて、かなりホンモノに近いんだとか。
こういうウソくさいホンモノをいかに説得力を持たせて描くは、かなり難しい
課題だと思います。だけどねぇ〜、名優アル・パチーノを起用したことで、そ
れが一挙に解決しちゃってるのね。
だって、スゴイんだから。この人が演じると、どんなウソくさい場面も力ワザ
で圧倒されて、「正真正銘ホンモノかもなぁ〜」と思ってしまう。 (~ヘ~;)
それに、たとえば主人公のＣＩＡ入りの背景に、「死んだ父親は実は隠れスパ
イだったのでは？？？」という彼の疑問を描いたりして、それなりに説得力を
持たせる工夫もしています。
こうしてＣＩＡ入りした主人公。前半は、その常識はずれの訓練の模様が描か
れます。
これがねぇ〜、とんでもないんだわ。フツーのスパイトレーニングは当然だけ
れど、それ以外に酒場を使ったナンパトレーニング（？）だとか、ほとんどホ
ンモノの誘拐・監禁・拷問トレーニングだとか……。いくらなんでもそこまで
やるか？？？ という訓練の連続。
それを興味本位で観ているだけでも楽しいのだが、アル・パチーノＶＳコリン
・ファレルの演技が加わって楽しさは倍増！ (＾o＾)／
特にアル・パチーノのイジワルな鬼教官ぶりは最高です。かつて『セント・オ
ブ・ウーマン／夢の香り』（1992）あたりでも、絶品のヘンクツ男ぶりを披露
していましたが、それにさらに磨きがかかってもう誰も止められない状態。演
説なんて、むちゃくちゃなことを言っているのに、強引に説得させられてしま
う。あまりのイジワルさに観ていてぶっ殺してやりたくなりました。(＾0＾)
演じる本人も何だか楽しそう。こういう役は役者冥利に尽きるのかもね。
こうして前半は訓練の中で様々なトリックを披露して、何が真実で何がウソか
わからない状態に観客を追い込み、後半は実戦の中でそれを見せていきます。
新人仲間で主人公が好きになった女性がいて、そいつが二重スパイらしいから
探れ！ と鬼教官にいわれた主人公が、あれこれ探って行く。これもまたトリ
ックに満ちた展開で、何が真実か最後まで全くわからない。そして、ラストに
は驚愕の事実が……。
後半もかなりのもの。カーアクションや追跡劇などもあり、なかなか楽しめま
す。
でもねぇ、前半ほどは楽しくなかったですね。前半でトリックに慣れちゃった
ってのもあるけれど、アル・パチーノがあんまり出てこなくなっちゃうからね
ぇ。イマイチ迫力不足。
それに主人公の心理が出てこないんだよね。愛する人を追い詰めていく苦しさ
とか悩みとか、そういう葛藤がほとんど見えません。それに大切な「父の死の
ナゾ」という話が全く登場しなくなるのも、これまた物足りないところ。
それでも、あのラストにはビックリさせられました。これもまた「ありえねぇ
〜」ことなんですが、アル・パチーノの迫力に圧倒されて思わず見入ってしま
いました。ラストの大演説がスゴイ。あんたなら、たとえ右だって「左だ！」
と言いくるめられるぜ。まったくスゴイ人です。
まあ、とにかくアル・パチーノとコリン・ファレルの演技をたっぷり味わう映
画だと思います。ＣＩＡの訓練風景やあちこちに仕掛けられるダマシのトリッ
クもそれなりに楽しいけれど、２人の演技、特にアル・パチーノの演技の前で
はすべてが小さい、小さい。
物語と直接関係ないのですが、映画の中でベテラン教官が「世の中は善悪、正
邪に分かれる。そして、我々は善や正を守るのだ！」みたいなことを演説する
んです。そういうこと言ってるから世界中で問題起こすんでしょうね。コイツ
ら。世の中そんなに単純なのか？？？ 本当はそれをコントロールするはずの
政府も今はイケイケドンドン。そんなアメリカの狂気についても考えさせられ
ちまいましたよ〜〜〜ん。
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆【普通にオススメ。観ても損はナシ】
（あまりのダマシの連続にややウンザリしたものの、アル・パチーノの演技に
は感服。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2004年１月18日（日）シネマ・ロサにて。午後４時20分の回。