レインディア・ゲーム (REINDEER GAMES)


(2000年 アメリカ)(上映時間1時間44分)
監督:ジョン・フランケンハイマー
出演:ベン・アフレック、ゲイリー・シニーズ、シャーリズ・セロン、デニス
・ファリーナ、ジェームズ・フレイン


<ストーリー>
車泥棒で刑務所に服役していたルーディ・ダンカンは、刑期を終え出所した。
その時、刑務所の門の前には、1人の美しい女性が立ちつくしていた。彼女の
名はアシュリー。囚人仲間のニックの文通相手だった。だが、ニックは出所を
前に暴動に巻き込まれて刺殺されていた。ルーディはアシュリーに声をかけ、
自分がニックだと嘘をついてしまうが……。


<レビュー>
ジョン・フランケンハイマー監督は、ダイナミックなエンターティメント作品
をつくるベテラン監督として知られている。骨太な社会派の作品も多い。最近
では、デ・ニーロとジャン・レノが共演した『RONIN』(1998年)がヒッ
トした。

とはいうものの、日本では堅実なヒット作はあるけれど、ランキングのナンバ
ー1を突っ走るような映画はあまりなかったと思う。
ところが、今度の新作『レインディア・ゲーム』は、いきなり『グラディエー
ター』を抜いて動員ランキングトップ! フランケンハイマー監督70歳にして、
日本で狂い咲きか!? センセイはウレシイ!
で、さっそく映画館に行ってみたわけだ。

お客さん11人でしたぁ〜。 (・・,)グスン
いくら平日の昼間でも11人はないだろう。これでホントに動員ナンバー1か?
そーか、『M:I―2』が公開になるまでの、ほんの束の間の夢だったのネ。
ああ、センセイは悲しい……。

まあ、そんなことはともかく、映画の出来がどうだったかっていうと、これが
さすがにおもしろい!
「これぞエンターティメント!」って感じで、お楽しみがタップリ。あっちか
と思えばまたこっち、二転三転する先の読めない展開でジェットコースターに
乗っているみたいなスリルが味わえます! (^。^/)

映画は、サンタクロース姿の死体のアップからスタートする。
いったいなんだ? と思ううちに舞台は刑務所へ。

服役中のルーディ・ダンカン(ベン・アフレック)は、同房のニックとともに
出所を数日後に控えていた。ニックはアシュリー(シャーリズ・セロン)とい
う女性と文通していて、彼女からの手紙をルーディに読んで聞かせていた。
だが、出所を前に、ニックは所内の暴動に巻き込まれて死んでしまう。出所当
日、ルーディが刑務所の門を出ると、そこには1人の女性がたたずんでいた。
ニックを待つアシュリーだった。
ルーディは、彼女の前を黙って通り過ぎることができず、自分がニックだと嘘
をついてしまう。そして、ニックになりすましたまま彼女と愛し合う……。

ちょっと待った! なんでアシュリーはニックの顔を知らないの?
「それはねぇ、刑務所からは自分の写真が送れないからなんだよ。逆に、アシ
ュリーは自分の写真を送ったから、ニックやルーディは彼女の顔を知っている
のサ」
でも、それって都合よすぎない?
「だって、そこで引っかかったら、先に進まなくなっちゃうじゃないか。そう
いう細かいことを気にする子は、食べちゃうゾ」(って、お前は赤頭巾チャン
のオオカミか?)

つまりですネ。
細かいことを考えると、けっこうヘンなことがたくさんあるんだワ、この映画。
そこを気にしたらダメ。ジェットコースターに乗りたけりゃ、細かいことは
気にしない、気にしない! (^-^)

さて、こうしてニックになりすまして、アシュリーと仲良くしていたルーディ
だが、そこにとんでもない人物が登場する。トラックの運転手をしているアシ
ュリーの「兄」ガブリエル(ゲイリー・シニーズ)だ。
彼は、ニックとアシュリーを強引にカジノ強盗に引き込もうとする。死んだニ
ックはかつて、彼らが襲撃しようとしているカジノで働いていたことがあった。
そこで、襲撃に必要な内部情報をゲットしようというわけだ。
だ〜けど、もちろんルーディはニックのニセモノだから、そんなことは知るは
ずがない。いったいどうすりゃいいんだい?

ってところから、ジェットコースターの旅がスタート。あわやニセモノだとバ
レそうになって殺されかけたり、逃げ出そうとして失敗したり……。ホントに
ハラハラ、ドキドキの連続。超ハイパー級のスリルが何度も押し寄せてきて、
息をつくヒマもないほどだ。 ( ゜_゜;)
『M:I―2』ほどじゃないけど、凍った湖の水中でのアクションシーンや銃
撃戦もちゃーんと用意されてるし、こういうタイプのエンターティメント作品
に欠かせない定番メニューは、み〜んな揃っている。
水鉄砲だとか、ダーツの矢だとか、サンタクロースの衣装だとか、小道具の使
い方もニクイぐらいにうまい。

ただ、あんまりハラハラ、ドキドキが続きすぎて、イマイチ休憩する場面が足
りないのが欠点かも。ジェットコースターだって、途中でホッとできる場所が
あるじゃない?
もうちょっとリズムに変化をつけたほうがよかった気がするなぁ。これは、演
出よりも脚本の問題か!?

あ、それからさっきも言ったけど、細かいことを気にしちゃダメですからネ。 (^0^)
「ベン君、最初からニセモノだってバレバレじゃん!」
「あれだけ逆らったらとっくに殺されてるゾ!」
「最初にカジノで騒ぎ起こしただけで、フツー警察が出てくんだろーが!」
な〜んてこと考えたら、それで終わっちゃいますヨ。
あんまり深いことは考えないで、とりあえず流れについていきましょう!
さぁ、カジノ強盗に向かってまっしぐらァー!

んでもって、最後に待ち受けているのは、とんでもないドンデン返し。
いやあ、終点間際まで昇り降りの激しいジェットコースターですねぇ。
どう考えたって、あんなバカバカしいドンデン返しはないと思うんだけど、そ
こに来るまでに強烈なG(重力)を体験しちゃってるから、もう何があっても
平気なのサ。フン!! (`ヘ´)

しかし、フツーここまでやるか? このスリルのテンコ盛りは、とても70歳の
映画監督の仕業とは思えないゾ。いったいどういう心と体をしているのやら…
…。なんかヘンなもんでも食べてんじゃないだろうな。 (^0^)

おっと、忘れちゃいけないのは個性派の役者たち。
主演のベン・アフレックは別にどうってことないけど、ガブリエル役のゲイリ
ー・シニーズはいつも通りのメガトン爆弾並みのキレ方。
そして、それにしっかり対抗して、ダブルでキレてたのがアシュリー役のシャ
ーリズ・セロン。あのしたたかさ。ありゃあ、なかなかできる演技じゃないよ
なぁ。『サイダーハウス・ルール』の時と全然違うんだから……。まったく、
女はコワイ!ってシミジミ思っちゃいました。(女性の皆さんゴメンナサイ)

てなわけで、エンターティメント作品としてホント見応えあります。
でも、あれこれ考えると納得できないことだらけです。
さあ、あなたはそこを無事に通過できるか、それとも……。

ちなみに<ぽち>は、通過できずにハマりっぱなし。
そのうちに、「あ、これはな〜んも考えないで見る映画だ。考えるな。何も考
えるなぁ〜」って自分に催眠術かけたら、素直に楽しめましたけどネ。

《ぽちのおススメ度》
★★+1/2★
(テーマパークに行くのと同じ気持ちで映画館に足を運ぶ人に、ピッタリの映
画だと思います。まあ、こういう映画があってもいいんじゃない?)
                               <ぽち>


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