列車に乗った男
(L' HOMME DU TRAIN/THE MAN ON THE TRAIN)


(2002年 フランス・ドイツ・イギリス・スイス)(上映時間1時間30分)
監督:パトリス・ルコント
出演:ジャン・ロシュフォール、ジョニー・アリディ、ジャン=フランソワ・
ステヴナン、チャーリー・ネルソン、パスカル・パルマンティエ、イザベル・
プティ=ジャック、エディット・スコブ
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<ストーリー>
シーズン・オフのリゾート地の駅に降り立った中年男ミラン(ジョニー・アリ
ディ)は、ドラッグストアで、狭心症の薬を買おうとしていた初老の男マネス
キエ(ジャン・ロシュフォール)と知り合う。ひょんなことからマネスキエの
自宅に泊めてもらうことになるミラン。マネスキエは定年を迎え、街から出る
こともなく、少年に詩の個人教授するだけの日々を過ごしていた。一方のミラ
ンは放浪のアウトロー。そんな対称的な2人の間に、奇妙な友情が芽生えてい
くのだが…。

<レビュー>
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ルコント監督らしい、味わい深い奥行きのある映画
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実直な初老の男とアウトローの中年男という正反対の2人が偶然出会い、夢に
見た別の生き方を相手の人生の中に見出し心を通わせていく姿を描いたヒュー
マン・ドラマ。監督は「髪結いの亭主」「橋の上の娘」のパトリス・ルコント。

ある田舎の駅にたどり着いた初老の男が、一人の老人と知り合う。ホテルが休
業中で泊まるところがなかったため、老人の家に滞在することになる。老人は
土曜日に脳の手術を控えていた。一方、男は実は銀行強盗で、土曜日が襲撃の
日だったのだ・・・・・・・。

登場する2人の男は、性格も境遇も正反対。片や元教師というインテリで、ひ
たすら言葉を発しまくる。一方、もう1人は流れ者の銀行強盗で、ほとんど言
葉を発しない寡黙な男。まさに対極にあるような2人。

男が銀行強盗だというのは、意外に早くバレちゃうのだが、そこで話が急展開
することはない。なぜなら、老人は生まれてからずっと同じ家で堅実に暮らし、
残りの人生もあとわずか。そんな人生に嫌気がさして、流れ者の男の生き方に
憧れていたのだ。

そして、流れ者の男も、老人と触れ合ううちに、次第に彼に好意を持ち、その
生き方に憧れるようになる。

そんな2人の交流を、ルコントらしいユーモアも交えつつ、スタイリッシュで
趣のある映像で描いていきます。ラスト近くまでは、とりたてて大事件が起き
るわけではないのだが、2人の男の交流がシブいタッチで描かれていて、なか
なか見せてくれます。

そして、クライマックスは銀行強盗と手術という2つの出来事がクロスして、
その先に待ち受けていたのは意外な結末。

この結末はちょっとできすぎという感じもしますが、粋で味のあるオチなのは
間違いなし。

誰もが持つ、「あんな生き方ができたらいいのに」という思いを、ルコント流
のシブいタッチで描いた魅力的な映画です。

2人の男を演じたジャン・ロシュフォールとロック歌手のジョニー・アリディ
のバツグンの存在感も見事でした。

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆(+1/2★)
(ルコントらしいシブさの中に、もう取り戻せない人生の切なさが漂う映画。
大人だなぁ〜。)
                          <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2005年3月DVDにて鑑賞

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