ザ・ロイヤル・テネンバウムズ(THE ROYAL TENENBAUMS)


(2001年 アメリカ)(上映時間1時間50分)
監督・脚本:ウェス・アンダーソン
出演:ジーン・ハックマン、アンジェリカ・ヒューストン、ダニー・グローバ
ー、ビル・マーレー、グウィネス・パルトロウ、ベン・スティーラー、ルーク
・ウィルソン、オーエン・ウィルソン
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<ストーリー>
テネンバウムズ家の3人の子供は、いずれも各界の天才としてもてはやされた
。だが、今は表舞台から姿を消し、家族の絆も崩壊寸前。そんなある日、別居
していた父親ロイヤル(ジーン・ハックマン)は、子供たちを集めて、再び家
族をまとめようとするのだが……。

<レビュー>
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お涙ちょうだいネタをシュールな笑いで描いたユニークな映画
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父親が崩壊家族を再生する話。
な〜んていうと、いかにもお涙ちょうだいの情感タップリの物語のようですが
、この映画はまったく違います。情感なんて最初っから無視したような、客観
的な語り口。しかもシュールな笑いで全体を包んだユニークな作品なんです。

テネンバウムズ一家の3人の子供は、長男チャスがビジネス、長女(養女)マ
ーゴが脚本、そして次男リッチーがテニスと、それぞれの世界で幼くしてトッ
プにのぼりつめた。だが、現在は揃って表舞台から姿を消し、それぞれ問題を
抱えていた。
そんな中、母エセルがプロポーズされたと知った別居中の父ロイヤルは、「自
分はガンで死期が近い」と告白。子供たちを呼び集めて、家族を再生すると宣
言した……。

監督のウェス・アンダーソンはこれが3作目。日本ではまだ無名ですが、これ
がとんでもなくウマいッス! こんなありがちな話をここまで楽しく見せてく
れるとは思いませんでしたねぇ〜。 (*^_^*)

そのために、どんな仕掛けを用意してくれたかというと、徹底して突き放した
ように客観的に描いているんです。
まず、全体を小説仕立てで、プロローグ、第2章、第3章……というように、
細切れの構成にしています。しかも、アレック・ボールドウィンのナレーショ
ンで、淡々と話を進めている。
短いシーンをつないでテンポアップしているのも、過剰な情感を排除するのに
効果的。音楽の使い方も気がきいてます!

そして、全体を包むのはシュールなタッチの笑い。セリフや小道具、ちょっと
した行動などで笑わせる。直線的な笑いではなくて、いわゆるハズした笑い。
ガッハッハッという爆笑はできませんが、クスクスクスッと笑えるはず。

特にいい味出しているのがお父さん役のジーン・ハックマン。ムチャでおバカ
な人なんだけど、なんとなく憎めないのが魅力的。
3人の子供役のベン・ステイラー、グウィネス・パルトロウ、ルーク・ウイル
ソンも、マジなのにどこかおかしい。なかでもいつも赤のジャージ姿(2人の
息子ともども)のベン・スティーラーはそれだけで笑えちゃう。
グウィネス・パルトロウのパンダ目メイクも一見の価値アリ!? (^。^/)

ここに登場する人々は、みんな問題を抱えています。例えば、長男チャスは妻
を事故で亡くしてショックから立ち直れないし、次男リッチーは姉マーゴに思
いを寄せている。そのマーゴは夫との生活に疲れている。

しかも、彼らは、それぞれ温度差はあるものの、みんな父親との間にわだかま
りを持っている。なんたって、ロイヤルは家族のことなんか顧みないワガママ
な父親だったのだから……。

そんな人たちをめぐるエピソードが、次から次へと登場します。でも、けっし
て、とっ散らかった感じはしません。このあたりのアンダーソン監督の演出力
はかなりのもの。

ラストも、意外な事件を起こして観客を飽きさせません。最後の最後まで、変
化球の連投。よっぽどヒネクレてるんでしょうか。この監督ったら。(^0^)
おかげで、ありがちなネタなのに、最後までしっかりと楽しめました。

ただストーリーで気になったのは、父親の病気の真相が最初からミエミエなこ
と。意図的にやったんだと思うけど、ボクならもうちょっとあとまで隠してお
くけど……。
それに、全体が全部同じタッチなので、もうちょっと変化をつけてもよかった
かも。

それと、子供たちの行動に理解できないところも目立ったんですが、これはボ
クが天才じゃなくて、凡人だからでしょうか!? (^。^/)

何にしても、天才って大変なのねぇ。おまけにあんなバカ親父がいて。
天才に生まれなくてよかったわい。と、つくづく思ってしまうのであった。(
でも、ああいう親父もある意味楽しいかもネ。)

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
(コメディーとはいっても、ストレートな笑いではないのでご注意を。でも、
豪華な出演陣だけでも見応えはあると思います。)
                           <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2002年9月12日(木)恵比寿ガーデンシネマにて。午後2時40分の回。


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