シービスケット(SEABISCUIT)
（2003年 アメリカ）（上映時間２時間21分）
監督：ゲイリー・ロス
出演：トビー・マグワイア、ジェフ・ブリッジス、クリス・クーパー、エリザ
ベス・バンクス、ゲーリー・スティーブンス、ウィリアム・Ｈ・メイシー
＊日比谷スカラ座ほかにて全国公開
ホームページ http://www.seabiscuit.jp/
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＜ストーリー＞
自動車王ハワード（ジェフ・ブリッジス）は事故で息子を失い人生のどん底を
味わう。そんな時、放浪の調教師トム・スミス（クリス・クーパー）と出会い
、小柄で気の荒い馬シービスケットの馬主になる。２人は孤独なジョッキー、
レッド・ポラード（トビー・マグワイア）を主戦ジョッキーに起用。成長した
シービスケットは快進撃を続けるが……。
＜レビュー＞
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どこまでもまっすぐな感動物語。競馬はロマン……なのか！？
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暮れなずむ東京競馬場。
馬券の紙ふぶきが舞う中、オレはじっとうつむいていた。
やがてゆっくりと顔を上げると、オレは憤怒の雄叫びを上げた。
「電車賃まで使っちまったヨ〜〜！ どーしてくれんだヨ〜〜〜！！(T^T)」
というわけで、かつてのボクの仇敵（？）ＪＲＡが応援するこの映画。そりゃ
そうだよね。競走馬の話なんだから。
ただし、話の根っこは人間ドラマです。大恐慌時代を背景に、挫折を味わった
３人の男たちが１頭の競走馬に吸い寄せられるように集まり、それぞれの夢を
託していく。しかし、その先に待っていたのは……。
てな話なわけで、まあ、ありがちといえばありがちな話。
ただし、全体の描写がとてもよろしい。何がいいかというと、表現が簡潔なん
ですよね。特に前半で３人の男たちの挫折を描いていくところ。よけいなセリ
フやムダなシーンをはさまず、ポンポンとテンポよく描き出していく。この手
の感動物語にありがちなグダグタした説明もなければ、逆に説明不足のところ
もない。実に簡潔かつ的確に描いてくれています。 (*^_^*)
シービスケットが大暴れしている横で、騎手のレッドがケンカしているシーン
なんかもウマイですね。それだけで２人、じゃなくて１人と１頭の共通項みた
いなものをあぶり出して、その後の展開に自然につなげていくんです。
それに、ただの競走馬の出世物語じゃなくて、時代とシンクロさせたところも
見事です。当時の世相なんかをチラチラ入れながら、どうして人々がシービス
ケットを応援していったかがよくわかるようにつくられています。
最強ライバルとシービスケットの対決という山場なのに、しばらくの間レース
ではなく、ラジオ中継に熱中する人々のスチール写真を映すところなんて実に
心憎い演出。
大恐慌でボロボロになった人々が、ダメダメ馬だったシービスケットに自分の
再起の夢を託すようすが感動的です。 (・・,)
いかにもハリウッド的な描写や「アメリカ万歳！」のような押し付けもまった
くナシ。淡々としたタッチで進んでいくところが、逆にとても新鮮でした。
もちろん競走馬の話ということで、レース場面の迫力はかなりのもの。まるで
自分がレースに参加しているようなド迫力。ふだんはわからない細かな駆け引
きだとか、微妙な馬と騎手との呼吸などもよくわかって、手に汗握るシーンの
連続です。 σ(^◇^;)
ただねぇ、あまりにもまっすぐすぎる感動物語なので、ボクはちょっと後半飽
きてしまいました。前半に比べるとフツーの感動物語になっちゃってる感じ。
シービスケットとレッドの再起話なんて、よくできすぎた話でサ。「オイオイ、
そこまで盛り上げるなよ」な〜んて思っちゃいました。
でも、この話って実話なんですよね。それを言われちゃうとなんだかねぇ〜。
「わざとらしい！」とか言ってもしょうがないわけだし……。 (~ヘ~;)
それにしても、後半はもうちょっと工夫して欲しかったな。お気楽すぎてシラ
ケてしまいました。
まあ、それにしても素晴らしいのがトビー・マグワイアのなりきりぶり。減量
して顔も変わってたからねぇ。よっぽどこの役が気に入ったんでしょう。自動
車王のジェフ・ブリッジスも貫録の演技だし、調教師役のクリス・クーパーの
シブい演技も見応えアリ。
個性派俳優ウィリアム・Ｈ・メイシー（『ＥＲ』のモーゲンスターン部長）の
ハジケたアナウンサー役も、かなり笑えます。
現役一流騎手ゲイリー・スティーブンスがちゃ〜んと役者しているところも見
もの。
後半のあまりにもお気楽な感動物語にはややシラケたものの、簡潔な描写によ
って１頭の競走馬に時代を投影させたところは見応えタップリ。なかなかの力
作でした。
この映画を観ると、「競馬はロマンだ！」な〜んて思う人も多いはず。
いやいや、気をつけましょう。競馬はずぇったいにギャンブルですッ！
さんざん痛い目にあったボクが言うんだから間違いナシ！！！
もう競馬なんかしないもんねぇ〜〜。 (＾0＾)
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（＋1／2★）【かなりオススメ。観たほうがいいんじゃない？】
（後半ややシラケたものの全体としてはまずまず見応えある映画。競馬を知ら
ない人もしっかり楽しめるはず。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2004年１月26日（月）池袋ＨＵＭＡＸシネマズにて。午後１時20分の回。