Shall we Dance?(SHALL WE DANCE?)
| （2004年 アメリカ）（上映時間１時間46分） 監督：ピーター・チェルソム 出演：リチャード・ギア、ジェニファー・ロペス、スーザン・サランドン、ス タンリー・トゥッチ、ボビー・アマヴェイル、リサ・アン・ウォルター ＊ 日劇1ほか東宝洋画系にて全国公開 ホームページ http://www.shallwedance-movie.jp/ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ＜ストーリー＞ 妻と二人の子供と暮らす遺言作成専門の弁護士ジョン・クラーク（リチャー ド・ギア）は、仕事場と家の往復を繰り返す生活に空しさを感じ始めていた。 ある日、帰宅途中の電車から窓の外を眺めていた彼は、ダンス教室の窓辺に立 つ一人の美女に目をとめる。その女性が気になったジョンは、思い切って途中 下車し、ダンス教室を訪ねてみるのだが……。 ＜レビュー＞ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 日本版に忠実にソツなくまとめられているが、比較するとかなりツライ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 日本でヒットした周防正行監督の『Shall we ダンス？』（1996年）をハリウッ ドがリメイクした映画。役所広司の役をリチャード・ギアが、草刈民代の役を ジェニファー・ロペスが、というキャスティングはどーなんだ？？？？？ と いう疑問はあるものの、それなりによくできた映画になっています。 日本版を観た方はおわかりのように、基本的なストーリーはほぼ同じ。 マジメな中年男が、通勤電車の窓から見かけたダンス教室に興味を引かれ、家 族に内緒でダンスを習い始める。そして、ダンスに熱中するうちに、次第に彼 は変わっていく……。 日本版と変わったところといえば、主人公の職業が、サラリーマンから弁護士 になり、その妻がキャリアウーマンになって前面に出てくるところ。結末も違 っていて、このあたりは日米のお国柄の違いによるものでしょう。 演出もかなり日本版に近く、ハリウッドらしい仰々しさが影を潜めた抑えめな タッチ。強烈な感情の爆発や燃え上がる想いなどもなく、登場人物のそこはか とない微妙な心理を切り取っていきます。 特に、最初はジェニ・ロペ目当てだったリチャード・ギアが、社交ダンスのお もしろさに気づいて、どんどんのめり込んでいくあたりの心の動きは、的確な 描き方で印象に残りました。 d(-_^)good!! 生きる希望を見出せなくなった男が、ふとしたことから熱中できるものを見つ けて前向きになっていく。ありがちとはいえ、多くの人々の共感を呼ぶ人間ド ラマが、温かなタッチで描かれています。日本版と共通するシーンもたくさん あります。 脇役を充実させて、全体をコミカルに味付けているのも日本版と同じ。竹中直 人の役を演じたスタンリー・トゥッチ（『ターミナル』）、渡辺えり子の役を 演じたリサ・アン・ウォルター（『ブルース・オールマイティ』）をはじめ、 個性的な演技で絶妙な笑いを生み出しています。かつらネタって万国共通なの ね。 (^○^) クライマックスのダンス・コンクールの盛り上げ方も見事。ダンスを知らない 人でも、思わず引き込まれてしまうおもしろさ。その後の結末も味な仕掛けで、 観る人をホッとさせてくれます。 それにしても、これだけ控えめで、おとなしい映画ってハリウッド映画では珍 しいのでは？ このネタなら、普通は絶対に激しい恋愛バトルに発展させるはず。そうしなか ったのは、日本版の控えめでおとなしいタッチが、逆にアメリカでは新鮮に映 ったのかもしれません。 いつもいつもド派手なアクションや激しい恋愛ばかりじゃ、飽きちゃいますも んねぇ〜。 まあ、しかし、日本版を観た人にとっては、物足りないのも事実。「ソツなく まとめたなぁ〜」と感心はするものの、それを超える思いは生まれませんでし た。 だいたいリチャード・ギアはともかく、ジェニ・ロペは違和感あるヨ。がんば って草刈民代に似た雰囲気を出そうとはしているけれどサ。本質が違うから繊 細さは伝わってこないんだよねぇ〜。おまけに、オリジナルにある彼女の挫折 と再起のドラマがチラッとしか描かれないから、ますます存在感が薄くなっち ゃう。 それに代わって、主人公の妻役のスーザン・サランドンが、バツグンの存在感 を示していました。 それなりによくまとめた映画なので、日本版を観ていない人は、まずまず楽し めると思います。ただし、日本版を観た人にはちょっとツライかも。 そんなことを考えつつ、日本版を見直したら、圧倒的にハジケているし、ドラ マの深みもあっておもしろい。コメディとしても、人間ドラマとしても完全に 上。ハリウッド版が上回っているのはオシャレ度ぐらいか。 ちなみに、日本版を観ると、周防監督による草刈民代の描き方にハートマーク が感じられ、その後の２人の結婚に「なるほどなぁ〜」と納得。思わずニヤリ とさせられました。 (*'-'*) 《ぽちのオススメ度》 ★★☆☆☆ （それなりにソツなくまとめているけれど、日本版のおもしろさには程遠い。 日本版を観ていない人なら楽しめるかも。） ＜ぽち＞ 〔鑑賞データ〕 2005年５月３日（火）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後５時15分の 回。 |