シャーロット・グレイ(CHARLOTTE GRAY)
（2001年 イギリス・ドイツ・オーストラリア）（上映時間２時間１分）
監督：ジリアン・アームストロング
出演：ケイト・ブランシェット、ビリー・クラダップ、マイケル・ガンボン、
ルパート・ペンリー＝ジョーンズ、ジェームズ・フリート
＊2002年12月日本初公開
ホームページ http://www.uipjapan.com/charlotte/index.htm
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＜ストーリー＞
１９４３年、第２次大戦下。看護婦シャーロット（ケイト・ブランシェット）
は、ロンドンに向かう列車の中で役人に声を掛けられパーティに誘われる。出
席したパーティでシャーロットは英空軍パイロット、ピーターと知り合い恋に
落ちる。一方、彼女は堪能なフランス語の能力を活かして、ナチス占領下のフ
ランスでレジスタンス運動に参加するよう誘われる。数週間後、ピーターがフ
ランスで消息不明となり、シャーロットは危険を顧みず諜報員として南フラン
スのレジニャックへ降り立つのだったが……。
＜レビュー＞
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ケイト・ブランシェットの魅力が開花した美しく切ない物語
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『エリザベス』（1998）のケイト・ブランシェットが良い女優サンなのは知っ
ていました。しかし、「ここまで素晴らしい女優だったのかぁ〜！！」と思わ
せてくれたのは、この映画が初めて。とにかく彼女の魅力が満載の映画です。
ケイト扮するシャーロット・グレイはイギリス人看護婦。
列車で知り合った役人のパーティーで空軍パイロットと知り合い、恋に落ちる。
だが、彼はすぐに戦地に行き行方不明になってしまう。
以前から、堪能なフランス語を活かして、ナチス占領下のフランスでレジスタ
ンス運動に参加するよう誘われていたシャーロットは、それをきっかけに、名
前も身分も変えて諜報員として南フランスへ降り立つ……。
直球一本やりの映画です。
特別に凝った演出もなければ、ストーリー的なヒネリもない。元ジャーナリス
ト、セバスチャン・フォークスのベストセラー小説の映画化ということもあっ
て、第二次大戦中のフランスのレジスタンス運動に加わった一人の女性の愛と
苦悩を、正攻法で描いた人間ドラマです。
それを可能にしたのはもちろん主演のケイト・ブランシェットの演技です。恋
する女性の優しさ、諜報員としてのキリっとした意志の強さ、その中で時々見
せる弱さ……。なんだか品格を感じさせる演技なんですよねぇ。
こういう女優さんって、最近はあんまり見ませんね。『ギフト』（2000）や『
バンディッツ』（2001）などの小粒な映画ではあまり発揮されなかった彼女の
個性が、この映画では最大限に発揮されています。 (*^。^*)
ただし、彼女の起用がこの映画に合っているかどうかは評価の分かれるところ。
ストーリーの流れからいうと、最初は恋の魔力にメロメロになっていた女性が、
後半では一人の自立した女になる……みたいな変化が欲しいところ。でも、
ケイトの演技は表面的にはあんまり変化が見えないんだよねぇ〜。
そこが気に入らない人もいるんでしょうが、ボクは逆にそれでよかったと思う。
全体を包む空気から考えて、あんまりミエミエの演技は似合いませんね。こ
の映画には。
だいたい、わかりやすい演技じゃないと納得できないなんていうのは、感受性
の足りないヤツの言い訳だぜ。三流ドラマみたいなわかりやすい展開なら、ダ
イコン女優でも使っていればいいのだ。（言いすぎですか？）
もちろんこの映画にも欠点があって、彼女が諜報員としてフランスに行く動機
は、ツッコミ不足。正義感なのか？ 恋のためなのか？ そこのあたりをもう
少しはっきり描いて欲しかったと思います。
それから、最初の方で、主人公が空軍パイロットと恋に落ちるところは、「な
んだか安易だなぁ〜」と疑問に思ったんですヨ。２人の恋愛感情のツッコミが
まったくなくて、お手軽にくっついちゃうんだから。「シャーロットがフラン
スに行くきっかけになった恋なんだから、もっとじっくり描いてくれ〜〜！！
」と思ったのですが、意外にもこれがあとになって効いてきたんです。
つまり、彼女はフランスへ行って、命がけの運動の中で新しい恋を知るんです
ね。その恋との差別化を図るために、最初の恋をわざとサラッと流したのでは
ないでしょうか。おかげで、ちょっとあざとい感じのラストにも納得できまし
た。
それでも、フランスに行ってからの彼女がほとんど英語だけというのはどうな
んだ？ できればフランス語を中心に展開して欲しかったゾ。何しろ「フランス
語が堪能な女性」という設定なワケだし。
そのあたりの欠点を除けば、かなりよくできた映画だと思います。困難な中で
一生懸命前を向いて行こうとする主人公の毅然とした姿が心にしみます。
全体のテンポもよく、２時間ぐらいの上映時間が少しも長く感じませんでした。
安易な仕掛けを排除した後半の展開も好感が持てました。
レジスタンスの闘士の父親（マイケル・ガンボンのシブい演技が光る！）と、
２人のユダヤ人少年がナチスに捕まってしまうのですが、けっしてそれをお手
軽なハッピーエンドに持っていったりはしません。
人間ドラマとしての見応えもかなりのものだと思いますが、何よりもケイト・
ブランシェットという女優さんの素晴らしさが実感できる映画です。それだけ
でも観る価値アリ。彼女が着た真っ赤なコートが目にしみるぜ！
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（+1／2★）【かなりオススメ。観たほうがいいんじゃない？】
（グイグイ押し付けるので(なく、さりげないシャーロットの成長を見せたとこ
ろが気に入りました。小説の映画化にしては消化不良の部分もそんなに多くは
ありません。）
発売元：ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン（株）
販売元：（株）ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
＜ぽち＞
<2003年8月8日 ビデオにて鑑賞>