将軍の娘 エリザベス・キャンベル (THE GENERAL'S DAUGHTER)
(1999年 アメリカ)
監督：サイモン・ウエスト
出演：ジョン・トラボルタ、マデリーン・ストウ、ジェームズ・クロムウェル、
ティモシー・ハットン、レスリー・ステファンソン、ジェームズ・ウッズ
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＜ストーリー＞
陸軍の犯罪捜査部の捜査官ポール・プレナーは、武器密売の捜査に向かう途中
で車がパンク。立ち往生しているところを、美しい女性大尉エリザベスに助け
られる。それからまもなく、彼女が基地内の市街戦訓練場に、全裸死体となっ
て捨てられているのが発見された。彼女は、この基地に君臨するジョー・キャ
ンベル将軍の娘だった。あまりにも謎の多い死の真相を突き止めようと、プレ
ナーはかつての恋人でレイプ専門の捜査官サラとともに捜査を始めるが……。
＜レビュー＞
「レイプよりも恐るべき事件。彼女の殺人はほんの始まりに過ぎなかった…」
たしか劇場公開時のキャッチフレーズはそんな感じだったと思う。
レイプよりも恐ろしい、ってなんだ？ (・＿・？)
冒頭は、陸軍の犯罪捜査部の捜査官ポール・プレナーの仕事ぶりが描かれる。
アメリカ陸軍についてよく知らない僕には、彼の立場がイマイチよくわからな
かったが、それでも軍人の本筋とちょっと違う場所にいることは理解できた。
この設定があとになって生きてくる。
やがて、将軍の娘である美しい女性大尉エリザベス・キャンベルが全裸死体で
発見される。
死因は窒患死。だが、首に巻かれたパンティは破れていないし、精液の跡もナ
シ。付近には50もの足跡があり、抵抗した形跡はない。死体の頬にはなぜか涙
の筋が見られた。
この謎の多い事件をめぐって、プレナーとかつての恋人でレイプ専門の捜査官
サラが、協力して真相に迫っていく。
なんていうと、２人の復縁話もクローズアップされそうだけど、実際はそんな
に深くは描かれていない。焦点はあくまでも事件の真相とその背景。２人の関
係はただの添え物でしかない。
「だったら、そんな関係、中途半端に出すなよ！」って感じだが、２人の会話
のキャッチボールが巧みだから、まあ許してやるか。 （´−｀）
２人の捜査の最初のほうで、ＳＭ趣味というエリザベスのもう１つの顔が暴か
れる。
「おいおい、レイプより恐いってＳＭのことか！？」 (＾０＾)
思わずそう叫びそうになったけど、そういうことじゃなかった。
エリザベスの死の背景にはあるレイプ事件が存在し、それがもっともっと巨大
な組織的陰謀を生み出していたのだ。 (◎o◎)
エリザベスの父親で、政界進出を狙っているジョー・キャンベル将軍、側近の
フアウラー大佐、憲兵司令官のケント大佐、エリザベスの上司だったムーア大
佐など、登場してくる人物はみんな怪しい。誰が犯人でもおかしくない。そん
な、いかにも犯罪サスペンスらしいおもしろさがある。
ジェームズ・クロムウェル、クラレンス・ウイリアムズ３世、ティモシー・ハ
ットン、ジェームズ・ウッズといった個性派の脇役陣の頑張りもあって見応え
は十分だ！
ただ、残念なのは途中から先の展開が読めちゃうこと。
「そんなのアリ？」って感じの都合のいいシーンもあったし、結末への持って
いき方もちょっと強引かな。
それに、テーマがテーマだけに全体のトーンが暗い。
特に生々しいレイプシーンが登場する中盤以降はかなりヘヴィー。
劇場公開時に思ったほど観客動員が伸びなかったのも、そのあたりが嫌われた
のかもしれないなぁ。 (´ヘ｀;)
でもさ、コレってけっこう深い映画ですヨ。
一応、アメリカ陸軍が舞台だけど、組織のために個人を犠牲にするなんてこと
は、フツーの会社なんかでもごく当たり前に行われちゃったりするでしょ？
そういうことを考えながら観ると、けっしてよその国の遠い出来事だとは思え
ない。
ほら、あなたのまわりにも、組織のために犠牲を強いられている人がいるんじ
ゃない？
それにしても、アメリカってスゴイ。だって、軍隊や士官学校での犯罪を平気
で映画にしちゃうんだもん。日本だったら、自衛隊とか防衛大学校なわけでし
ょ。
いくらフィクションでも、日本の映画会社にそこまでやる勇気はないだろうな。
目つきの鋭い人に押しかけられたりしたら、困っちゃうもんネ。（笑）
監督は、ニコラス・ケイジ主演『コン・エアー』(1997年)のサイモン・ウエス
ト。ベストセラー小説を原作にした映画だけど、原作に頼りすぎることもなく
サスペンスとしてなかなかの出来に仕上げていると思う。
最近はすっかりおデブさんになっているらしい主演のジョン・トラボルタも、
この映画ではホドよい貫禄で、アクションシーンもキマっている。巨大な組織
を敵にまわして、徹底的に真実に迫ろうとする男の決意がよく表れていた。
ただ、相手役のマデリーン・ストウは影が薄かったな。『12モンキーズ』の時
はよかったんだけど……。
それよりも、早いうちに死体になっちゃったレスリー・ステファンソンのほう
が、クセモノぶりを発揮して存在感アリ。
《ぽちのおススメ度》
★★★
(犯罪心理サスペンスのおもしろさと社会性をうまくミックスさせた作品。でも、
あの暗さについていけそうもない人は、やめといたほうがいいかもネ。)
＜ぽち＞