ションヤンの酒家(LIFE SHOW／生活秀)
（2002年 中国）（上映時間１時間46分）
監督：フォ・ジェンチイ
出演：タオ・ホン、タオ・ザール、パン・ユエミン、チャン・シーホン、ウー
・ルイシュエ、リー・ショウチェン、ヤン・イー
＊シャンテシネにて公開。順次全国公開
ホームページ http://www.syonyan.com/
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＜ストーリー＞
急激な都市開発が進む重慶。その一角で屋台を営むションヤン（タオ・ホン）
は、美人で気風のいい女性。だが、彼女は様々な悩みを抱えていた。幼い頃に
父親は女性と家出。かわいがっていた弟は麻薬中毒で施設に入所中。兄夫婦は
息子をションヤンに預け、父親名義の家を自分たちのものにしようとしていた
。そんな中、ションヤンは毎日店に通う中年客に心を許すようになり……。
＜レビュー＞
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都会でたくましく生きる女性の生き様。美しい〜。でもコワ〜イ
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「ションヤンのさかや」ではなく「ションヤンのみせ」だそうです。
日本では『山の郵便配達』でおなじみのフォ・ジェンチィ監督の最新作。『山
の郵便配達』は山奥が舞台でしたが、この映画は一転して都会が舞台。そこで
たくましく生きる一人の女性の生き様を描いた映画です。
「たくましい」なんて書きましたが、主人公のションヤンときたらハンパなた
くましさではありません。自分を守るのに必死で、時には身勝手に思える振舞
いもする。精一杯つっぱって生きる姿はコワイぐらいです。 （｀´メ）
なにしろ、自分の店を切り盛りするわ、ヤク中の弟の面倒を見るわ、他人が住
んでいる実家を取り戻す話をめぐって兄夫婦と激烈な対立をするわ、彼らから
甥っ子の世話を押しつけられるわ、従業員の女の子の親代わりをするわ……。
まあ、とにかくやらねばならぬことがたくさんあって、ちっとも気を抜けない
し、弱さなんか見せられないんです。
それでも、その裏では時々どうしても、チラチラと一人の女としてのツラサ、
寂しさ、哀しみなんかが垣間見えます。 (T^T)
そりゃそうですよね。結婚に失敗して子供を失ったりして、いろんなキズを背
負ってきたんですから。
そして、ここでフォ・ジェンチイ監督の持ち味が発揮されます。
この監督さん、登場人物のビミョーな心理描写がバツグンにうまいんですよ。
セリフ以外のちょっとした表情やしぐさで、ていねいに心情を切り取っていく
んです。
ふだんの強気でたくましいションヤンをポンポンとキツめのセリフで表現し、
その裏側の心理を繊細な描写で表現していくんですよねぇ〜。
初めは「こんなにコワくてズルイ女の人、イヤだなぁ〜」と思っていたのです
が、心理描写の見事さに引き込まれて、しだいにションヤンの心情に入り込ん
でしまいました。 (*^_^*)
まあ、それにしてもタオ・ホン演じるションヤンの美しいこと。
屋台の店先で物憂げにタバコを吸う姿なんて、アナタ、もう魂を奪われちまい
そうでしたぜ。あんな女性が目の前にいたら、ボク、絶対にお座りでも、お手
でもしちゃいます。ワン。 U^ェ^U
というわけで、彼女はその美貌も商売に利用。それに引っかかったのがあるお
金持ちの中年男。一生懸命、彼女にモーションをかけるのだが、最初はあまり
相手にされない。しかし、そのうちに……。
うーん、どうしようもない現実に疲れる中で、中年男との恋にのめり込むって
のは、日本の映画やドラマでもよくあるパターン。
でも、ションヤンが一瞬でも「結婚」に幸せを求めるっていうのは、やっぱり
違和感を感じてしまうんですよねぇ〜。これ、ボクが男だから理解できないだ
けなのかなぁ〜。
ちなみに、原作の小説は、もう少し複雑な心理状態になっているんですけど…
…。
それに、その中年男の正体がどうにも気に入らないんだよね。あまりにもあり
がちなオチでガッカリしちゃいました。ああいう設定にする必然性はなかった
んじゃないの？ (´ヘ｀;)
都会で生きる一人の女性の強さと弱さを描いたこの映画。フォ・ジェンチイ監
督らしい繊細な描写は見事でしたが、後半の展開がありきたりで物足りないの
が残念。素材的にフォ監督の世界にはやや合わない感じもしました。
実はこの映画、フォ監督の「最新作」と言いましたが、このあとに東京国際映
画祭でグランプリを取った『暖〜ヌアン』という映画が待機しているんですよ
ね。そっちが素晴らしい映画なので、それに比べるとどうしても見劣りがする
のがツライところ。
なお、余談ですが、この映画、タバコ吸いすぎ〜〜〜！ なんかこっちまでケ
ムたくなりました。 (>。<)y-゜゜゜
それからピザは手で食え！ わざわざフォークとナイフで食うな！！ お上品
とかいう次元の話じゃないゾ！ 以上。
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆【普通にオススメ。観ても損はナシ】
（なかなか良い映画ですが、残念ながら『山の郵便配達』や次回作『暖〜ヌア
ン』の感動には及ばず。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2004年２月14日（土）シャンテ・シネにて。午後３時45分の回。