サイドウェイ(SIDEWAY)
| （2004年 アメリカ）（上映時間２時間10分） 監督：アレクサンダー・ペイン 出演：ポール・ジアマッティ、トーマス・ヘイデン・チャーチ、ヴァージニ ア・マドセン、サンドラ・オー ＊ヴァージンTOHOシネマズ六本木ヒルズほかにて公開 ホームページ http://www.foxjapan.com/movies/sideways/ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ＜ストーリー＞ 作家志望の教師マイルス（ポール・ジアマッティ）は、大学時代からの友人で 俳優のジャック（トーマス・ヘイデン・チャーチ）とワインツアーに出かける。 ジャックの独身最後の１週間を一緒に楽しむ旅だった。だが、ワインマニアの マイルスが、ワイナリーめぐりやゴルフ三昧を楽しみにしているのに対して、 ジャックの本当の目的は独身最後のナンパだった……。 ＜レビュー＞ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 笑いながら、中年男の悲しさが伝わる。ワインのような味わいの映画 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 タイトルの"SIDEWAY"とは「寄り道」のこと。その名の通り、２人の中年男の人 生の寄り道を描いた映画。アメリカではゴールデン・グローブ賞をはじめ数々 の賞を受賞しました。 ２人の男のうち１人は作家志望の教師マイルス。小心者で、妻に逃げられて傷 ついたままのウジウジ男。目下、ようやく書き上げた小説が出版できるかどう か微妙な時期。 そして、もう１人は１週間後に結婚を控えた売れない俳優ジャック。マイルス と正反対に、陽気でお気楽な男で、女とヤルことしか考えていない。 そんな対照的な２人が１週間の予定で出たワイン産地めぐりの旅。でも、この ２人、旅の目的からしてまったく違う。マイルスは、趣味のワインを楽しむた めの旅。でも、ジャックは、結婚前の最後のハメはずしでナンパ目的。これじ ゃ、とても平穏な旅など望めません。当然ながら、いろんなことが起きる珍道 中なワケで、それを楽しくユーモラスに描いています。 (^o^) といっても、ただハチャメチャなドラマというわけではありません。２人とも 人生の中で難しい時期。過去を背負い、今まさに大きな岐路に差し掛かってい るところ。そんな２人の言葉や心理の変化を、リアリティーたっぷりに描いて います。 なんでも、ジャック役には某超有名俳優が立候補したものの、「売れっ子俳優 が売れない俳優を演じるのはリアリティーがない！」ということで断られたと か。そういう点でも、ただのコメディーではなく、人間ドラマとしてリアリテ ィーを持った映画です。 そのおかげで、クスクス笑いながらも、２人の中年男性の悲しさがジンワリと 伝わってきます。人生の先が見え始めた一方で、まだ希望があるかも……と思 う複雑な心情。挫折と希望がごちゃ混ぜになった悲しく切ない気持ちが、ジワ ジワと伝わってくるのです。 男性、それも中年以上の人なら、なおさら共感してしまうかもしれませんね。 （￣〜￣） 悲しいといっても、ラストはそれなりに希望のある余韻を残した終わり方で、 観終わって温かな気持ちになれるはず。そこも好感が持てるところです。 監督はジャック・ニコルソン主演『アバウト・シュミット』のアレクサン ダー・ペイン。笑いと、皮肉と、しみじみしたドラマをうまくブレンドしてい るところはさすがですが、今回は前作ほどの毒はないなぁ〜。そこがちょっと 物足りない感じもします。 また、物語の中心となるのは、旅先で知り合った２人の女性との関係ですが、 まあ、そんなにスゴイことが起きるわけではないので、ハデさはありません。 しかし、映画全体の味わいはなかなかのもの。ジンワリと熟成されたワインの ように、ほどよい甘さと辛さが同居して、深い奥行きを持った上質なコメデ ィーに仕上がっています。 ２人の中年男を演じたポール・ジアマッティと、トーマス・ヘイデン・チャー チのハマリっぷりも見事。特にポール・ジアマッティのウジウジさは、観てい てイジラシイぐらいでした。 また、２人が知り合う女性役のヴァージニア・マドセン、サンドラ・オーも存 在感アリ。韓国系のサンドラ・オーは、ペイン監督の奥さんだそうです。 観終わって思うのは、「人生にはこういう寄り道も必要なのだ」ということ。 しかし、寄り道ばかりで、もはや本当の道がどこかわからなくなったボクみた いな人間はどうすればいいのだね？ 誰かボクの道を見つけてくれぇ〜〜！！ (⌒▽⌒) 《ぽちのオススメ度》 ★★★☆☆(＋1／2★) （ワインのように味わい深いコメディー。誰もが楽しめますが、特に男性は共 感できるはず。） ＜ぽち＞ 〔鑑賞データ〕 2005年３月28日（火）テアトルダイヤにて。午後１時の回。 |