スパイダー(ALONG CAME A SPIDER)
（2001年 アメリカ）（上映時間１時間44分）
監督：リー・タマホリ
出演：モーガン・フリーマン、モニカ・ポッター、マイケル・ウィンコット、
ペネロープ・アン・ミラー、マイケル・モリアーティ、ミカ・ブーレム
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＜ストーリー＞
ワシントンの私立学校から上院議員の娘ミーガンが誘拐される。容疑者は２年
間、同校の教師に成りすましていた男。彼は敏腕刑事で犯罪心理捜査のプロ、
アレックス・クロス（モーガン・フリーマン）に捜査を担当するよう要求する
。アレックスは、ミーガンの護衛に当たっていたシークレット・サービスのジ
ェジー（モニカ・ポッター）とともに、容疑者の行方を追うのだが……。
＜レビュー＞
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巧みな脚本が光るサスペンス。モーガン・フリーマンのシブサに乾杯！
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全米ベストセラー、「犯罪心理捜査官アレックス・クロス」シリーズの映画化
。といっても、実はこれが最初の映画化ではなくて、1997年の『コレクター』
が第１作。その続編に当たるのがこの映画です。
前作では猟奇殺人事件が取り上げられていましたが、今回は子供の誘拐事件が
素材。
誘拐されたのはローズ上院議員の娘ミーガン（ミカ・ブーレムがカワイイ！）
。警戒厳重なワシントンの一流私立学校から、２年間も教師になりすました犯
人に誘拐される。
犯人は著名なワシントン市警の犯罪心理捜査官アレックス・クロスの著作に精
通していて、彼に捜査を担当するよう要求する……。
オープニングで描かれるのは、クロスが捜査中に同僚を亡くすという悲劇。そ
のショックでクロスは半ば引退同然。そこに誘拐犯から電話が入り、「ご指名
」によって捜査に加わることを余儀なくされる。そして、ミーガンの護衛に当
たっていたシークレット・サービスのジェジーとともに、犯人に迫っていくワ
ケ。
ただし、犯人の正体は最初から明らか。特殊メイクの下の素顔も堂々と公開し
ちゃってる。だから、犯人探しそのものの楽しさはありません。
それでも、ナゾ解きの魅力はちゃ〜んと用意されています。２年間に渡って周
到に練られた犯罪計画をクロスたちが探っていくんです。童話のマザーグース
や、大西洋横断飛行で有名なリンドバーグといった、犯罪の背景にあるいろん
なアイテムが少しずつ明らかになっていきます。
その後は事件が動き始めます。犯罪にハプニングはつきもの。誘拐されたミー
ガンは賢い子なので、自力で脱走しようとする。それが思わぬ事件を巻き起こ
し、犯人を慌てさせる。
続いて犯人の魔の手は、ミーガンの友達でロシアのＶＩＰの息子に迫る。必死
で彼を守ろうとするクロスとジェジー。
さらに事件は急展開を見せる。犯人が身代金を要求してきたのだ。受け渡しに
指名されたクロスは犯人に翻弄されながらも、使命を達成しようとする。
というわけで、最初はナゾ解きから始まって、事件のリアルな展開へとポイン
トが移っていきます。
そこではサスペンスのいろんな魅力が輝いています。突き抜けたコワサやスリ
ルこそないものの、最初から最後まで適度にハラハラさせられます。途中の伏
線の張り方もなかなか見事。あとになって、「ああそうか！」と気づくことが
多いんです。 ＿(‥ )フーン
そして最後に用意されているのは衝撃の大ドンデン返し！ Ｗ(゜o゜)Ｗ
はっきり言って、この展開は予想もつきませんでした。たいてい途中でバレち
ゃうもんですけどね。でも、この映画のドンデン返しは、直前まで想像もつか
なかったな。
要するに観客の注意の引きつけ方がうまいんですよね。「なぜ犯人はミーガン
を選んだのか。そして、犯人の真の狙いとは……」という大きなナゾを提示し
て観客の注意を引く。ところが、ラストではそれとはまったく違う次元のドン
デン返しが起きる。
僕なんか、父親の上院議員の秘密とか、友達の父親のロシアのＶＩＰをめぐる
陰謀とか、アレコレ想像しちゃったのにぃ〜〜〜！ うー、悔しい。＼(><@)/
その巧みな隠し方ときたら、スキャンダルに悩む政治家さんにでも教えてあげ
たいぐらい!?
ただし、いくつか気になるところもあります。
全体的に定番っぽかったり、都合が良すぎるところが多いんですよね。上院議
員夫妻や捜査責任者の態度とかは特にそう。あんなにお決まりの態度はとらな
いでしょう、普通は。
それにせっかくパソコンを使ったりして、ナゾ解きのおもしろさを見せたのに
、それが途中でパッタリと中断しちゃうのも残念。仕掛け自体もイマイチでし
たね。パスワードを探り出して、秘密をゲット！ てのはよくあるパターンだ
し……。 (´ヘ｀;)
犯人にスゴミがないのも物足りない。猟奇犯なんかと違って表現しにくいのは
わかるんだけど、もうちょっとコワサを見せてくれてもよかった気がします。
でもねぇ、そういう欠点を十分にカバーするものがあるんですよ。
そうです。モーガン・フリーマンの演技です！
いやぁ〜、あの重厚さは素晴らしい。たいしたこと言ってなくても、「フムフ
ム、そうかぁ〜」って納得しちゃうもん。心に傷を受けた人物という設定もハ
マってます。
みんなが目先の捜査ばかりに右往左往する中、ただ１人じっと深く考え込む。
その存在感ときたらもう誰もかないません。
じっと黙って考え込むだけで全てを語ってしまう。そんなことができるのは、
彫刻の「考える人」か彼ぐらいのもんでしょう。 (＾0＾)
おまけに、今回は街中を走り回るアクションまでご披露！（お年の割には元気
デス。）
そして、彼の相手役を務めたモニカ・ポッター。なんだか印象の薄いどうでも
いい役柄だなぁ〜、なんて途中までは思っていたんですが意外や意外、なんと
まあ……。おっと、これ以上言うとヤバイ、ヤバイ。 (;^_^A
サスペンスの魅力をきっちり押さえた映画です。モーガンの存在感が欠点を帳
消しにしてしまう。傑作というわけではありませんが、かなりよくできたサス
ペンスだと思います。小説を読んでなくても十分に楽しめるはず。
ちなみに、監督はリー・タマホリ。日系三世の玉堀さん……ではなくて、ニュ
ージーランド出身の監督さん（007最新作も監督）ですので、お間違えのない
ように。
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（サスペンス映画が好きな人なら、かなり楽しめるのでは？ モーガンの演技
を楽しむだけでも観る価値があるかも。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2002年５月13日（月）テアトルダイヤにて。午前11時の回。