スパイダーマン (SPIDER-MAN)
（2002年 アメリカ）（上映時間２時間２分）
監督：サム・ライミ
出演：トビー・マグワイア、ウィレム・デフォー、キルスティン・ダンスト、
ジェームズ・フランコ、Ｊ・Ｋ・シモンズ、ランディ・ポッフォ
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＜ストーリー＞
幼くして両親を亡くし、伯父夫婦のもとで育てられたピーター（トビー・マグ
ワイア）。ちょっとサエない高校生の彼は、隣家のメリー・ジェーン（キルス
ティン・ダンスト）に恋心を抱いているが未だに打ち明けることができない。
そんなある日、課外授業で見学に訪れた研究所で、ピーターは遺伝子組み換え
でスーパースパイダーとなったクモに噛まれてしまう。やがて、彼の身体に異
変が起こり始める……。
＜レビュー＞
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青春ドラマは突っ込み不足なれど、バンジーアクションの楽しさはタップリ
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『スーパーマン』『バットマン』などと並ぶアメリカン・コミックの超人気作
品。これまでにもジェームズ・キャメロンが脚本を書くなど、何度も映画化が
計画されながら、版権の関係等で実現しなかったいわくつきの作品です。
主人公は平凡な高校生ピーター・パーカー。隣に住む同級生のメリー・ジェー
ンに好意を持つが、あまりのダサさに相手にされない。
そんなある日、大学の研究所を見学中に、遺伝子組み替えによって誕生した特
殊なクモに噛まれてしまう。そのおかげで彼は超人的な能力を身につけたのだ
った。
突然の変化に戸惑うピーター。だが、叔父の死をきっかけに正義に目覚め、様
々な悪と闘うようになる。
そして、友人の父親の科学者が人体実験の結果変身した、グリーン・ゴブリン
と対決するのだが……。
サミ・ライミ監督ってマジメだなぁ〜。 (~ヘ~;)
だってさぁ、いくらコミックったってクモ人間の話なんて荒唐無稽。それも噛
まれたのが原因でそうなったっていうんだから、ヒネリがなさすぎて笑っちゃ
います。
だったら、この際リアリティなんか無視して、ひたすらマンガチックに描く方
がラクってもんでしょう。ドッカ〜ンと派手なアクションを満載してね。
それなのにライミ監督ときたら、なんとまあ青春ドラマなんか描いちゃってる
んです。ダサくてみんなの笑い者になっていた主人公が、突然超人的ヒーロー
に変身してしまう。そして、大いに苦悩し、葛藤を抱え、やがて運命を受け入
れていく。そんな若者の成長物語を描いているんですヨ。
まあ、原作のコミック自体が屈折しまくりのキャラ設定なので、それを忠実に
踏襲したってことなんでしょうけど、それにしたって気マジメだよねぇ〜。
ハリウッドの監督にしては珍しく常にスーツ姿で通して、インタビューにも折
り目正しく答えるライミ監督らしい作品といえるかも!?
ただし、ドラマ自体の突っ込みはかなり浅いんです。アクションもきちんと出
さなくちゃいけないから、どうしても表面的な描き方になっちゃう。(｀ヘ´)
平和のために闘っているのに、結局は身近な人さえ傷つけてしまうという自己
矛盾。愛する女性が好きなのは等身大の自分ではなく、変身したスパイダーマ
ンだという苦しみ。突然自分が普通の人間でなくなってしまった戸惑い。そう
いう弱さがセリフでは語られるものの、ヒシヒシと切実に伝わってくることは
ありません。
一方、アクションはどうかというと……。
最初の方で変身間もないスパイダーマンが賞金欲しさにプロレス大会に出るっ
ていうネタがあるんですけどネ、そこを観た時には「おいおい！ 大丈夫か？
」と心配になっちゃったんです。だって、せいぜい金網の上に飛び上がるか、
セコい糸を出すか、キックを出すぐらいだったから。これじゃ先が思いやられ
るなぁ〜。 (´ヘ｀;)
ところが、舞台がニューヨークに移るとこれがスゴイスゴイ。バリバリにアク
ション全開！ 特に強力な糸を使って、ニューヨークのビルからビルへと猛ス
ピードで飛び移る様子は圧巻。スリル満点で、しかも美しい。まるで優雅なバ
ンジージャンプです。
あわや落下！ 転落の危機！ な〜んてところからギリギリで生還するアクシ
ョンも、ハラハラドキドキで見応えタップリ。 (゜゜;)ワーッ！
宿敵グリーン・ゴブリンとの対決も迫力ありますゾ。なんせウィレム・デフォ
ーが素顔で登場しただけで、もうアヤシイ、アヤシイ。紳士然とした態度の裏
にチラチラ見える悪の素顔が魅力的です。彼を善と悪との二重人格的に描いた
ところも、ドラマ的におもしろかったですね。
グリーン・ゴブリンにしてもスパイダーマンにしても、変身モードになるとコ
スプレしてるからあんまり関係ないんですよね。肝心なのは変身前。その点、
デフォーの起用はクリーンヒットだし、一見ミスキャストに思えるトビー・マ
グワイアも、単純おバカなスーパーヒーローならハズレかもしれないけど、弱
さを持った普通の青年という視点ではピッタリとハマっていたと思います。
(^-^)
ただし、彼が思いを寄せるメリー・ジェーン（なんという役名でしょ。つのだ
☆ひろの歌じゃないっつうの！）役のキルスティン・ダンストは色っぽ過ぎま
すぅ〜。『バージン・スーサイド』の控えめな色気が、今回は全開になっちゃ
ってました。どう考えても高校生には見えませ〜ん。 (＾。^/)
ラストはなかなかのものでした。ありきたりのメデタシ、メデタシにしないで
、パーカーが苦悩を抱えたまま物語を終えたところが二重丸。なかなか心に迫
る終わり方じゃないでしょうか。
ただし、早くも続編を計算に入れている気もするのだが……。ヨッ！ 商売上
手。 (*^_^*)
いずれにしても、適度なアクションと適度な青春ドラマの融合で、ちゃん〜と
お金の取れる映画にしているのはサスガ。エンタメ映画のワクでこういう作品
を撮れるのも、インディーズ出身の監督ならではという感じです。
ただし、その分アクションだけ、あるいはドラマだけを見ちゃうと物足りなさ
も残る。
特に「気分爽快！ スーパーヒーロー大活躍！！」な〜んてことで過度な期待
をすると、意外な作風で裏切られるかもしれませんのでご用心。
それにしても、スパイダーマンのスーツは安っぽい！ コスプレ勝負なら完全
にゴブリンの勝ちだぜ！ (＾0＾)
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（青春ドラマもあるものの、最大の見どころはやっぱりアクション。けれん味
タップリの映像が楽しい。観るならやっぱりビデオよりも劇場でしょう。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2002年５月14日（火）シネマサンシャインにて。午前11時30分の回。