スパイ・バウンド(AGENTS SECRETS)


(2004年 フランス)(上映時間1時間50分)
監督・脚本:フレデリック・シェンデルフェール
出演:ヴァンサン・カッセル、モニカ・ベルッチ、アンドレ・デュソリエ、シ
ャルル・ベルリング、ブリュノ・トデスキーニ、ナイワ・ニムリ
*丸の内ピカデリー2ほか、松竹・東急系にて全国公開
ホームページ http://www.spybound.jp/
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<ストーリー>

フランス諜報機関に所属するジョルジュ(ヴァンサン・カッセル)は、武器商
人リポブスキーの取引を阻止するため、女スパイのリザ(モニカ・ベルッチ)と
夫婦を装い、武器を運ぶ貨物船を爆破する任務にあたる。だが、任務を終えたリ
ザは、スイスの空港で逮捕されてしまう。彼女のカバンの中から麻薬が見つかっ
たのだ。リザの逮捕の裏に陰謀の影を感じたジョルジュは、彼女を刑務所から救
うため動き出すのだが……。

<レビュー>
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ドキュメンタリータッチでリアルに迫るスパイたちの緊迫の物語
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ヴァンサン・カッセル&モニカ・ベルッチの夫婦共演映画。2人のラブラブ光
線を受けてみよ〜〜〜〜!! (^o^)/
といっても、恋愛映画ではありません。かなりダークでシリアスなスパイ物語
です。

フランスの諜報機関DGSEに所属するジョルジュは、女スパイのリザと夫婦を装
いモロッコに潜入、武器密輸船の爆破に成功する。だが、リザは麻薬密輸の疑い
で空港で逮捕され、ジョルジュは上層部へ疑いの目を向ける……。

てなストーリーは、ハリウッド映画でもありがちなもの。しかも、最近のフラ
ンス映画は、リュック・ベッソンたちを中心に、まるでハリウッドのようなエン
タメ映画をたくさんつくっている。なので、この映画も徹底したエンタメ映画な
のかと思っていました。

ところが、実際に観たら全然違ったのです。 W(゜O゜)W
全編がドキュメンタリータッチの映画。セリフを最小限に抑え、迫力あるリア
ルな映像でグイグイと迫ってくる。どこに向かうかわからないスサマジイ緊迫感
に満ちあふれ、少しもスクリーンから目が離せませんでした。

スパイたちの孤独な心情も、映像を中心に表現しています。特にモニカ・ベル
ッチ演じる女スパイは、今回の任務を最後にスパイから足を洗いたいと願いなが
ら、罠に落ちて、刑務所の中でも危険な任務を命じられるというツライ立場。そ
んな彼女の孤独を抑え目の映像でジワジワと浮き上がらせています。

カーアクションなどエンタメ的な要素もあるにはあるのですが、基本はあくま
でも抑制されたドキュメンタリータッチの演出。ハデな見せ場や強力なアクショ
ンはほとんどありません。

やがて事件の裏側にある陰謀が少しずつ明らかになり、2人のスパイはいった
いどうなる!?
というラストも、ハリウッド的なスッキリした結末とは無縁。うーん、ここま
で徹底するなんて、タダ者ものじゃありませんね。この監督さん。フレデリック・
シェンデルフェール監督は、なんでもフランスでは有名な映画監督ピエール・シ
ェンデルフェールの息子で、これがまだ2作目の新鋭だそうです。

そして、悩みを抱えた孤独な女スパイを演じたモニカ・ベルッチの好演も見事。
でもって、ダンナのヴァンサン・カッセルもさすがの演技。『オーシャンズ12』
でも、「一番カッコ良かったんじゃないの?」と思ってしまったのだが、今回も
さすがの存在感。

ただし、細かな説明などは一切カットしているので、なんだかよくわからない
で戸惑う人も多いことでしょう。特に冒頭からしばらくは、アレレレという感じ。
ま、それが逆にミステリアスさを増しているというプラス面もあるのですが…
…。

全体に、もうちょっと見せ場があったり、メリハリがあったりしたほうが、幅
広い観客に受け入れられる作品になったと思うのですが、ボク的には、それをあ
えて排除したラジカルさが気に入りました。 (*^。^*)

でもって、さらに驚くのがこれが実話をベースにした話だということ。
1985年に、フランスの核実験に抗議するために航海していたグリーンピースの
「虹の戦士号」がニュージーランドのオークランド港で爆破され、海に沈められ
る事件が発生。その爆破工作を行ったのがフランス諜報機関所属のスパイ、アラ
ン・マファールとドミニク・プリウール。2人は初歩的ミスから逮捕されてしま
い、そのうちの女スパイ、ドミニクが証言した内容に基づいて、この映画がつく
られたとか。

いやぁ〜、スパイの世界ってコワイですねぇ〜。人間の命なんてなんとも思わ
ない世界なんですねぇ〜。陰謀渦巻く世界だし。日本の公安だって、なにやって
るかわかんないゾ〜〜〜!

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆【普通にオススメ。観ても損はナシ】
(個人的にはけっこう楽しめたけれど、誰にでもオススメできる映画ではあり
ません。特にハデな映画や、スカッとできる映画が好きな人は観ないほうがいい
でしょう。リアルなスパイの孤独を感じたい方はぜひ。)
                             <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2005年2月5日(土)シネマ・ロサにて。午後1時30分の回。


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