スターリングラード (ＥＮＥＭＹ ＡＴ ＴＨＥ ＧＡＴＥＳ）
（2001年 アメリカ・ドイツ・英国・アイルランド）（上映時間２時間12分）
製作・監督・脚本：ジャン＝ジャック・アノー
出演：ジュード・ロウ、ジョセフ・ファインズ、レイチェル・ワイズ、ボブ・
ホスキンス、エド・ハリス
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＜ストーリー＞
1942年9月。ナチス・ドイツの猛攻によって崩壊寸前のスターリングラードに、
新兵のヴァシリ・ザイツェフ（ジュード・ロウ）が送られてくる。射撃の名手
だった彼は、ドイツ軍士官を次々に狙撃。その腕前にほれ込んだ政治将校
ダニロフ（ジョセフ・ファインズ）は、ヴァシリを英雄に仕立て上げるが……。
＜レビュー＞
な、なんだ!? このバラバラな観客の年齢層は。
高校生ぐらいのグループや若いカップルがいるかと思えば、お年寄りもたくさ
んいる。ひょっとしてこの人たち、この映画の舞台となった第二次世界大戦に
実際に参加してたんじゃないのか？ うーん、過ぎ去った若き日を懐かしんで
やって来たのだろうか。それとも実はジュード・ロウの熱烈なファンだったり
して……。 (＾0＾)
んなこたぁ、どーでもいいんですけどネ。
第二次世界大戦で最も激烈な戦いといわれた、ドイツとソ連のスターリングラ
ード戦を描いた映画です。この戦いはドイツ、ロシア両軍合せて100万人もの犠
牲者を出し、180日以上もの死闘を経てソ連軍が勝利。これをきっかけにナチス
ドイツは破滅への道をズドド〜ンと落っこちていったのだったぁ〜！
で、その戦いの中で生まれたのが、若き天才スナイパー、ヴァシリ・ザイツェ
フの伝説。殺した人間の数は400ともいわれ、今でもスターリングラード（現ボ
ルゴグラード）の英雄記念碑には彼の巨大なレリーフが飾られ、ライフルは市
の歴史博物館に保存されているというロシアの国家的ヒーローだそーです。
この伝説をネタに、『薔薇の名前』『愛人／ラマン』『セブン・イヤーズ・イ
ン・チベット』などでおなじみのジャン＝ジャック・アノー監督が、若きスナ
イパーの孤独と愛を丹念に描き出したのがこの映画。
羊飼いの祖父に射撃を仕込まれた新兵のヴァシリが、ナチスドイツの攻勢で崩
壊寸前のスターリングラードに赴任。政治将校ダニロフの目の前で次々にドイ
ツ軍士官を狙撃する。２人は意気投合、ダニロフは劣勢で士気の落ちた兵士た
ちの戦闘意欲を取り戻させるために、ヴァシリを戦場のヒーローに仕立て上げ
る。
やがてヴァシリは美しい女性兵士ターニャを愛するようになる。ターニャもヴ
ァシリに好意を寄せる。だが、ダニロフも彼女に恋心を抱いたことから、２人
の友情にヒビが入り始める。
そんな中、ヴァシリの活躍に業を煮やしたドイツ軍は、狙撃の天才ケーニッヒ
少佐を送り込む……。
うーん、骨太でリアルな歴史ドラマですねぇ〜。 (^-^)
迫力タップリの市街戦をはじめ、当時のスターリングラードで起きた出来事を
キチンと押さえつつ、そこに天才スナイパー同士の対決や、１人の女性をめぐ
る２人の男の対立のドラマなんかをバランスよく盛り込んでいる。
なかでも最大の見どころは、ジュード・ロウ演じるヴァシリと、エド・ハリス
演じるケーニッヒ少佐のスナイパー対決。 (｀、´メ)
お互いにいろんなトリックを使って虚々実々の駆け引きを展開。いかにして相
手の位置を知るか、いかにして自分の位置を隠すか。まさにキツネとタヌキの
化かし合い。息詰まるような１対１の対決は見応えタップリだッ！
エド・ハリスって、こういう役をやらせたら一級品だよネ。あの冷徹な目がい
いよなぁ〜。
戦闘シーンの迫力もなかなかのものですゾ。バタバタと倒れていく兵士たちの
姿が、戦争の残虐さ、非情さを浮き彫りにする。別に反戦映画ってわけじゃな
いけどサ、このあたりも監督たちが伝えたかったメッセージなんでしょうネ。
人間ドラマもちゃ〜んと用意されてます。
いきなりヒーローに仕立てられてしまったヴァシリの孤独と葛藤。ターニャへ
の愛。そして、自分もターニャに好意を抱いたために、ヴァシリに対して強烈
に嫉妬するダニロフ……。
でもねぇ、それでも物足りない部分は残っちゃうんです。特に、ヴァシリとタ
ーニャがラブラブになるまでの２人の心の変化が、全然見えてこない。ダニロ
フも含めた３人の複雑な関係もイマイチ描き方が浅くて、切迫感が伝わってこ
なかったなぁ〜。 (｀ヘ´)
それから、あのラストはどーなんでしょ？
なんか、「いかにも！」って感じで個人的にはあまり好きじゃないッス。
まあ、あったかくって、ホッとするラストには違いないんですけどネ。
とまあ、不満な点もあるんだけど、全体として見ればかなりの力作。
リアルに再現された歴史、迫力充分のスナイパー対決と見どころはタップリ。
それに、役者もいいしね。エド・ハリスのほかにも、ダニロフ役のジョセフ・
ファインズや、フルシチョフ役のボブ・ホスキンスがいい味出してました。
おっとっと、もちろん主演のジュート・ロウを忘れちゃいけませんゼ。
この人、美形っていうだけじゃなくて、けっこうどんな役でもハマッちゃいま
すね。そんなに強烈な個性があるわけでもないんだけどサ。
そういう意味じゃ、スターとしての素質は充分なのかも……。
《ぽちのオススメ度》
★★★
（ただなぁ、ソ連とドイツ軍の戦いなのにほとんど英語ばっかりっていうのは
違和感あるよなぁ。世界的にヒットさせるには仕方ないんだろうけど……。）
＜ぽち＞