サスペクト・ゼロ(SUSPECT ZERO)
●『サスペクト・ゼロ』（SUSPECT ZERO）
（2004年 アメリカ）（上映時間１時間39分）
監督：E・エリアス・マーヒッジ
出演：アーロン・エッカート、キャリー＝アン・モス、ベン・キングズレー、
ハリー・レニックス、ケヴィン・チャンバーリン
＊有楽町スバル座ほかにて全国公開
ホームページ http://www.sonypictures.jp/movies/suspectzero/site/
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＜ストーリー＞
ニューメキシコ州のアルバカーキに左遷させられたFBI捜査官トム・マッケル
ウェイ（アーロン・エッカート）は、そこで3件の殺人事件に遭遇する。そのう
ちの1件の被害者は、彼が左遷される原因となった事件に関わりのある男だった。
そして、3つの事件の被害者には、死体のまぶたが切り取られ、数字の「0」のマ
ークが残されている共通点があった。かつての恋人であるフラン・クーロック
（キャリー＝アン・モス）の協力を得て捜査を進めるトムのもとに、正体不明の
人物が不可思議なファックスを送りつけてくる……。
＜レビュー＞
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ジミながら緊迫感は超ド級の猟奇サスペンス
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猟奇殺人事件が起きて、刑事がそれを捜査して、そして恐怖の真相がぁ〜〜〜！！！
Ｗ（゜O゜）W
てな映画は、ブラピの『セブン』をはじめ腐るほどあります。なので、そんな
に期待しないで観たこの映画ですが、いやぁ〜、想像以上に楽しめました。とに
かく緊張感が最初から最後まで、ずーっと途切れないのだ。
主人公はアーロン・エッカート扮するＦＢＩ捜査官。左遷された先で、猟奇連
続殺人事件に遭遇し、かつての恋人とともに捜査にあたる……てな話はありがち
なもの。しかし、いろんな要素を使って、スサマジイ緊張感を演出していくワケ。
まぶたを切り取られた死体。その死体に残された不思議な「0」のマーク。ト
ムを襲う原因不明の頭痛。捜査線上に浮かび上がる謎めいた男。送られてくる大
量のファックス。などなど、いろんな要素をばら撒いてナゾと恐怖をズンズンと
煽り立てていくんです。
事件の構図はかなり入り組んでいて、けっこう早いうちに、ベン・キングズレ
ー演じるナゾの男が、「こいつが殺人犯人や！」とわかってしまうんです。でも、
実はその裏には複雑な事情が控えていて、ＦＢＩの極秘計画まで浮上するという
思わぬ展開。
おかげで、「いったい何がどうなってんの？」「なんだ？ こりゃ」という疑
問が次々に湧きあがってくるのだ。 (・_・？)
しかも、その事件の背景には、おびただしい数の行方不明者の存在がある。そ
の多くはすでに殺害されているのではないか？ もしかしたら、完全無欠の犯罪
者がいて、いまもあちらこちらで行方不明者を殺害しているのではないか？ と
いう現実の恐怖感が背景にあるのです。
タイトルにある「サスペクト・ゼロ」とは、そういう犯罪者のこと。「それを
きちんと成敗してくれる正義はないものか」という被害者の家族をはじめとする
人々の願いもまた、この物語の背景に存在している。だから、なおさらナゾと恐
怖の嵐にゾクゾクさせられてしまうのです。
そして、さらに左遷された主人公が、事件によってその過去の傷をえぐられ、
錯乱していく心理も描き出されています。映像に変化をつけた幻覚（ホントは幻
覚じゃないのだが）のシーンが効果的。
監督は『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』のＥ・エリアス・マーヒッジ。緊張
感を切らさない演出はかなりのもの。こういう超能力が大きなカギになる話は、
どうしてもウソくさく感じられちゃったりするものですが、そのへんを感じさせ
ないドラマの組み立て方が、実に巧みで小気味がいい。
俳優ではオスカー俳優のベン・キングズレーの静かな狂気が秀逸。『サンダー
バード』のマヌケな悪役とは一転、スサマジイ妖気が感じられるヒリヒリするよ
うな演技でした。
主人公を演じた『エリン・ブロコビッチ』『ペイチェック 消された記憶』の
アーロン・エッカート、そしてその元恋人役『マトリックス』シリーズのキャリ
ー=アン・モスも好演。
ラストはややおとなしい展開で、驚愕のドンデン返しはありませんでしたが、
それでも“サスペクト・ゼロ”の存在が、ああいう結末につながるという必然性
があるので、それなりに納得できるラストでした。
１時間40分弱、まったく途切れない緊張感で、数ある猟奇サスペンスの中でも
まずまず見応えある映画。ＰＲコピーにあるように「『セブン』を超えた！」と
まではいきませんが、料金分ぐらいはモトが取れるはず。ゾクゾクしたい方には
オススメの映画です。
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆【普通にオススメ。観ても損はなし】
（映像もいいしストーリーもおもしろい。緊迫感にあふれたサスペンスで見応
え十分。このテのサスペンスが好きな方にはオススメ。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2005年２月14日（月）池袋ＨＵＭＡＸシネマズ４にて。午後１時45分の回。