ソードフィッシュ (SWORDFISH)
（2001年 アメリカ）（上映時間１時間39分）
監督：ドミニク・セナ
出演：ジョン・トラボルタ、ヒュー・ジャックマン、ハル・ベリー、ドン・チ
ードル、サム・シェパード、ヴィニー・ジョーンズ
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＜ストーリー＞
天才ハッカーのスタンリー（ヒュー・ジャックマン）は、犯罪王のゲイブリエ
ル（ジョン・トラボルタ）に見込まれ犯罪の手助けをすることになる。かつて
麻薬取締局（ＤＥＡ）が実行した極秘作戦中に生み出された政府の闇資金を、
コンピュータ回線を使って奪おうというのだ。スタンリーは問題の口座に侵入
すべく奮闘するが……。
＜レビュー＞
この映画のオープニングで、ジョン・トラボルタ扮する犯罪王ゲイブリエルが
ハリウッド映画を批判する場面がある。
「最近のハリウッド映画にはリアリティがないッ！」
おぉ〜、よく言うじゃん。そんなに思い切ったこと言っちゃっていいのか？
それだけ、この映画のリアリティに自信があるってこと？
それとも逆に自信がないから、あらかじめ予防線を張っているワケ？
その結論はあとまわしにして、まずはどんな映画か紹介しましょう。
冒頭の映画に関する話で、ゲイブリエルは『狼たちの午後』（1976年）を批判
します。無計画に銀行を襲ったため、篭城するハメになった２人の強盗。「俺
なら、あんなことにはならないぜ」というわけで、場面はいきなりゲイブリエ
ル一味による銀行強盗事件へと突入〜！
そして、その直後にはド迫力の爆破シーンが……。 Ｗ（゜O゜）Ｗ
意表を突いたこの幕開けに続いて、いきなり物語は４日前に飛びます。
『Ｘ―メン』でブレイクしたヒュー・ジャックマン演じる天才ハッカーのスタ
ンリーが、95億ドルという巨額な闇資金を強奪する犯罪に引き込まれていく。
犯罪王ゲイブリエルの指示のもと、天才ハッカーぶりを発揮するスタンリー。
犯罪計画は着々と進行していくのだが……。
こう書くとスムーズに話が展開していくようですが、実際はアレアレという二
転三転の展開。波乱の連続でまったく先が読めません。 (~ヘ~;)
ゲイブリエルやスタンリーに加え、謎の美女ジンジャー、サイバー捜査官のロ
バーツ、上院議員のライズマンといったクセのある人物たちが次々に登場して
話をドンドン混乱させていきます。いったい何が真実で何がウソなのか、観て
いるうちにサッパリわからなくなってきます。 (？_？)
おまけに、その中心に位置するのがトラボルタ演じるゲイブリエルですからね
ぇ〜。いまやクセモノを演じさせたら超一級品の彼だけに、観客をますます混
乱の渦に巻き込んでいくんだなぁ〜。
あの笑顔はマジにヤバイぜッ！ 今回は、問答無用で情けのかけらもないスサ
マジイ悪党なんですから。 (>_<")
ＣＧやデジタル合成、『マトリックス』に登場したマシンガン撮影などを駆使
したド派手なアクション。迫力満点のカメラワーク。ノリのいい音楽。それら
も効果的にミックスされて、スピーディーでスリリングな映像を生み出してい
ます。だから、とにかく最後まで飽きることがないんですよねぇ〜。
前作『60セカンズ』で鋭い演出を見せたドミニク・セナ監督。今回もキレた演
出が冴えてます。
ただし、最初に言ったリアリティがあるかっていうと……。
実は、この映画もそんなにないと思うんだなぁ〜。細かなところを突けば、い
くらでもボロが出てくるんだもん。 (´ヘ｀;)
例えば、重要な容疑者がセコイ策略であっさり殺されちゃったりして、都合の
いい部分がかなり目立つ。
マジシャンが使う「意図的誤誘導＝ミスディレクション」という手法を駆使し
たトリックも、けっこう穴だらけでミエミエなところが多い。
それに人物の描き方も深みがありません。
ゲイブリエルをはじめ主要な人物の背景は、ほとんど描かれない。わずかに、
スタンリーの人物像は詳しく描かれるのだが、それもいかにもパターンって
感じ。
でもねぇ、観ている間はそういう細かな欠点はあんまり気にならないんです。
欠点を覆い隠す圧倒的なおもしろさがある。１時間39分がアッという間に過ぎ
る。う〜ん、これは見事ですヨ。 (*^。^*)
もしかしたら、冒頭のハリウッド映画批判は開き直りなのかもネ。
「別にリアリティなんかなくたって、これだけ楽しい映画がつくれちゃうんだ
ヨ！」
そんな製作者たちの声が聞こえてきそうな気がします。
あえて細かなディテールを無視して、二転三転のスリルとスピード感、そして
迫力の映像で最後まで押しまくるこのパワー。観る前はもっと緻密な映画かと
思ったんですけど、実際はカンペキな力ワザの映画でした。
まあ、そこに多少の不満も感じちゃうんですけど……。
やがて、物語は冒頭の銀行強盗シーンへと突入。そして、その先には、とんで
もないクライマックスが……。
ここから先は自分の目で確かめてくださいネ。 (^_−)−☆
超一級品とまでは行かないけれど、エンターティメントとしてかなり楽しめる
映画だと思いますので。
ところで、この映画、全米公開はテロ事件のずっと前。もしも時期が遅れてた
ら完全にアウトでしょ（テロへの報復攻撃を批判したとも取れる部分まである
からねぇ〜）。おかげで、日本でも無事に観ることができたワケ。
これも僕の日頃の行いが良いせいだな、きっと。 （￣＾￣）
（ス、スイマセン。ちょっと調子ブッこいちゃいました。）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（+1／2★）
（クライム・サスペンスとしては十分合格点でしょう。ただ実際のテロ事件を
意識すると、かえっておもしろさが半減しちゃうかも……。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2001年11月５日（月）池袋東急にて。午後12時35分の回。