テイラー・オブ・パナマ(THE TAILOR OF PANAMA)
（2001年 アメリカ）（上映時間１時間49分）
監督：ジョン・プアマン
出演：ピアース・ブロスナン、ジェフリー・ラッシュ、ジェイミー・リー・カ
ーティス
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＜ストーリー＞
ＭＩ６に所属する英国のスパイ、アンディ・オスナード（ピアース・ブロスナ
ン）は、女とギャンブルで身を持ち崩し、パナマへ左遷されてしまう。そこで
与えられた任務は、パナマ運河の将来に関してパナマの政情を探ること。さっ
そくアンディは、情報源になりそうなパナマ在住の英国人の仕立て屋ハリー・
ペンデル（ジェフリー・ラッシュ）を選び出し、情報を聞き出そうとするのだ
が……。
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＜レビュー＞
『００７』シリーズのピアース・ブロスナンが英国諜報員を演じる……。
「オイオイ、そのまんまじゃん！ 『００７』の番外編か？」 (＾0＾)
でも、実は、この諜報員ったら、女性問題でトラブってパナマに左遷されてん
の。あ〜あ、カッコ悪いィ〜。
しかも、コイツ、ちょっと悪党。それもマヌケで、スケールの小さな小悪党な
んだわ。
ホント、ジェームス・ボンドとは大違いだゾ。やれやれ。 ┐(´-｀)┌
この設定って、ある意味、最高のパロディだよねぇ。
いやぁ〜、これだけで笑っちゃいますヨ。 (＾0＾)
おまけに、彼と絡むのがジェフリー・ラッシュ演じるパナマの仕立て屋ハリー
。大統領から反体制派まで幅広い人脈を持つことから、ブロスナン演じる諜報
員アンディに目をつけられる。
だが、このハリーもかなりのワケあり。過去に関する大きな秘密を持ち、今も
巨額な借金を背負い込んでいる。そのことはパナマ運河委員会に勤める妻には
まったくのシークレット！
そんな彼の弱みにつけこんで、アンディが無理やりパナマ運河に関する情報を
ゲットするというのが、２人の関係の基本的な構図。
そのやりとりは、かなり見応えがある。攻めるアンディのネチネチ攻撃は超イ
ヤラシイが、守るハリーの方も一筋縄ではいかない。どこまでが本当でどこか
らがウソなのか、謎に満ちた話で観客をケムに巻いていく。
このあたりは、演技派のジェフリー・ラッシュの起用が大成功ですねぇ〜。
(^-^)
この２人を中心に、ジェイミー・リー・カーティス演じるハリーの妻、かつて
の反体制派活動家のミッキー、女性活動家で拷問にあったマルタといった個性
派の面々が登場。謎が謎を呼ぶスリリングな展開に突入していくのだッ！
この映画の背景にあるのは、パナマ運河の将来をめぐる現実の問題。
太平洋と大西洋を結ぶ海上交通の拠点、パナマ運河は1999年12月31日にパナマ
へ返還された。だが、老朽化した運河の運営には問題も多く、その将来は不安
定。
そこで、「もしも、パナマ政府が運河を他国への売却を企てたら、いったいど
ーなる？」という壮大な仮説に基づいてつくられたのがこの映画。そのアイデ
アのユニークさに乾杯！
独裁者ノリエガ将軍が排除された後でも、豪華なパーティーを楽しむ支配層が
いる一方で、信号待ちの車にお金をせびるストリート・チルドレンがたくさん
いる。そんなパナマの現状もきちんと描いて、リアル感を高めています。
なんたって、この映画の原作はスパイ小説の巨匠ジョン・ル・カレの小説「パ
ナマの仕立屋」。しかも、彼ったら、この映画の製作を担当したうえに、初め
て脚本まで書いている。だから、ストーリー展開がおもしろくてスリリングな
のは、当然といえば当然でしょうねぇ〜。 O(^-^)O
オスカー候補になったこともあるベテラン監督ジョン・ブアマンの演出も安定
しています。
現実社会とリンクさせた重厚な雰囲気を基本としつつも、ところどころでハリ
ーの空想場面（彼が尊敬する叔父役で劇作家ハロルド・ピンターが出演）なん
かを入れ込んで変化をつけています。全体のテンポがいいから観ていて飽きな
いんですヨ。
ドラマは、やがてハリーが苦し紛れに流したニセ情報によって、米英両国が右
往左往するあたりから急展開！
だがッ！！！！！！ ( ゜_゜;)
あのねぇ〜、大国が巻き込まれちゃうにしては、スケールが小さく感じちゃう
んだよねぇ〜。いかにもお手軽って感じの描き方なんだもん。どっかの村の騒
動じゃないんだからさぁ。あの程度のニセ情報に、大国がそんなに簡単に振り
回されちゃうかぁ？
パナマ運河が重要で、それをめぐる情報戦が活発なのはわかるけど。いくらな
んでもねぇ。 (´ヘ｀;)
わずかなウソが、とんでもない騒動に発展するという意外性のおもしろさはあ
るものの、あまりにも説得力がなくて「なんだかねぇ〜」という感じがしちゃ
ったゾ。
それに、肝心のアンディが、どこまで理解して悪事を企んでいたのかさっぱり
わからん。
僕は、最初はマジで信じていて、途中から成り行きで「イケイケ！」になっち
ゃったと解釈したんですけどね。そのへんが曖昧なのヨ。
最初に、アンディのことを「マヌケで、スケールの小さな小悪党」なんて言っ
たけど、もしもすべてを最初から仕組んでいたとしたら、「ものすご〜い大悪
党」ってことになっちゃうわけだし、そのへんはもっとちゃ〜んと描いて欲し
かったな。 (｀ヘ´)
まあ、それでも国際情勢をバックにしたスパイものの映画として、それなりの
娯楽作品にはなっています。
ちっぽけなウソがドンドン肥大化して、国際問題になっていく様子がおもしろ
い。ブロスナンとラッシュの演技対決も見ものです。
それにしても、ブロスナンったら、ジェームス・ボンドがこんな役やってもい
いのかぁ？
でも、本人にしたらきっと楽しいんでしょうね。
製作会社を設立してジミな映画をつくったりして、この人、いろいろユニーク
な活動していますよね。
きっと、そうでもしないと、バランスがとれないんだろうな。「ジェームス・
ボントのブロスナン」って、ずーっと言われ続けるわけだからさ。
てことはだな、この映画は、ブロスナンが役者としてのバランスをとる、平均
台みたいな映画ってことか？？？？？
《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆（+1／2★）
（採点は辛いけど、ロードショーはともかく、ビデオやＤＶＤなら十分に観て
損はないと思いますヨ。ウン。）
＜ぽち＞