プレッジ(THE PLEDGE)
（2001年 アメリカ）（上映時間２時間３分）
監督：ショーン・ペン
出演：ジャック・ニコルソン、ロビン・ライト・ペン、サム・シェパード、ベ
ニチオ・デル・トロ、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、ミッキー・ローク
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＜ストーリー＞
刑事ジェリー（ジャック・ニコルソン）が定年退職を迎える日、少女惨殺事件
が起きる。ジェリーは少女の母親に犯人逮捕を約束する。やがて容疑者の男が
逮捕されるが自殺。真犯人は別にいると確信したジェリーは、退職後も単身捜
査を続けるが……。
＜レビュー＞
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シワですべてを語るジャック・ニコルソン。やるせなさすぎるぅ〜！！
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『アイ・アム・サム』での熱演も記憶に新しいショーン・ペン。実は彼はすで
に２本の映画を監督している映画監督でもあるのだ。
そして、前作『クロッシング・ガード』から実に６年ぶりの監督第３作目がこ
こに登場です！ (＾o＾)／
主人公は刑事ジェリー。定年退職の日に仲間が開いてくれたパーティーの途中
で、少女惨殺事件発生の報せを受ける。定年まであと６時間。それでも刑事魂
にあふれたジェリーは現場に行き、捜査に加わる。
そして、彼は犠牲者の母親に必ず犯人を捕まえると約束する。
やがて知的障害の男が容疑者として逮捕される。男は刑事の厳しい追及によっ
て自白させられた直後に自殺してしまう。
警察は彼を真犯人だとして捜査を打ち切るが、それに疑問を持ったジェリーは
退職後も独自に捜査を続ける。ある町のガソリンスタンドを買い取って、犯人
が現れるのを待って網を張るが……。
退職した刑事が、疑問を持った事件を単独で捜査する。こうした設定自体はサ
スペンスによくあるパターン。でも、この映画はかなり雰囲気が違います。サ
スペンス的な要素もあるものの、むしろ中心はジャック・ニコルソン演じる老
刑事の骨太な人間ドラマ。
ガンコなまでの刑事魂と人間らしさの間で揺れ動きながら、執念で犯人を追及
する老刑事ジェリー。だが、それがやがて思わぬ事態を招いてしまう。
知らぬ間にどんどん深みへとはまってしまう男の姿を、ジャック・ニコルソン
が見事に演じきっています。
キレたオヤジぶりはいつも通りだけど、今回はやや控えめ。ギラギラした激情
を深く押し込んだ、静かな態度がなんともいえません。顔のシワですべてを語
っちゃうんですよね。素晴らしいなぁ〜。 (*^_^*)
いえいえ、彼だけじゃありません。
ロビン・ライト・ペン（ショーン・ペンの奥さんね）、サム・シェパード、ベ
ニチオ・デル・トロ、アーロン・エッカート、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、
ミッキー・ローク、ハリー・ディーン・スタントン、ヘレン・ミレン……。
おいおい、メジャーな映画でこれだけの役者を集めたら、いったいいくらギャ
ラがかかるんだ？ 彼らの過去の出演作を並べたら、そりゃあスゴイことにな
っちゃいますよ。低予算のインディーズ映画でこれだけの顔ぶれを集められた
のは、もちろんショーン・ペンの「顔」のおかげ。うらやましい人やなぁ〜。
(*^。^*)
ベニチオ・デル・トロやミッキー・ロークをはじめ、ほんのちょこっとしか登
場しない人も多いんだけど、さすがにみんなスサマジイまでの存在感です。
そして、この豪華な役者陣を引き立てるのがショーン・ペンの演出。
劇的な要素を極力排して、登場人物の感情や葛藤を、静かに淡々とえぐり出し
ていきます。それによって、陳腐なサスペンスになりがちな素材が、見応えあ
る人間ドラマに仕上げられています。
実はこの映画、冒頭で早くもラストを暗示しちゃってるんです。それなのに、
少しも興味を失わせない。穏やかな展開の中でも、ヒリヒリするような緊張感
が全く途切れず、衝撃のラストシーンへとなだれ込んでいく。これはかなりの
演出力ですよ。 (^-^)
観る前にはショーン・ペンって、もっと作家性の強い監督なのかなぁ〜、と思
ったんです。インディーズ映画だしネ。
でも、意外によくまとまっているし、ソツがない。もしも、名前を言われなけ
りゃ、メジャーな有名監督の映画かと思ったかも。そのぐらい成熟した演出力
です。
ただし、その反面、まとまりすぎていておもしろ味に欠ける感じもするんです
けどね。強烈な個性や荒々しさが感じられなくて……。
それに、主人公が過去に背負ったもの（心の傷など）をキッチリ描くと、もっ
ともっと深〜いドラマになった気がするんですけど。そこがちょっと惜しい気
がしました。
ラストはかなり衝撃的。この映画がただのサスペンスではなかったことが、こ
こではっきりとわかります。う〜ん、やるせなさすぎるぜジャック・ニコルソ
ン。
先の読めないハラハラ感や、暴走寸前の荒々しさはないけれど、よくまとまっ
た見応えある人間ドラマだと思います。
なんてったって、名優たちの演技がキラキラ光っているしね。
こういう映画をつくってしまうんだから、メジャーでも十分にやれそうな感じ
のショーン・ペン。いよいよ次はメジャー進出か!?
でも、やっぱりこういう地味な人間ドラマって、アメリカ映画のメインストリ
ームにはなり得ないんでしょうね。もっとバリバリ銃撃戦を展開するとか、ド
派手なアクションでも取り入れないとサ……。 (´ヘ｀;)
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（+1／2★）
（インディーズ映画っぽい強烈な個性はないものの、よくまとまった人間ドラ
マ。名優たちの演技が光る！）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2002年７月２日（火）恵比寿ガーデンシネマにて。午後１時50分の回。