ザ・リング２(THE RING2)
| （2005年 アメリカ）（上映時間１時間50分） 監督：中田秀夫 出演：ナオミ・ワッツ、サイモン・ベイカー、シシー・スペイセク、デヴィッ ド・ドーフマン、エミリー・ヴァンキャンプ、ライアン・メリマン ＊ 有楽座ほか東宝洋画系にて全国公開 ホームページ http://thering2.jp/ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ＜ストーリー＞ ビデオテープにとりついたサマラの霊から逃れ、レイチェル（ナオミ・ワッ ツ）は、息子エイダン（デヴィッド・ドーフマン）とともにオレゴン州アスト リアに引っ越した。地元の新聞社で働く彼女は、ある日、変死した高校生の遺 体を見て、サマラの呪いがまだ存在することを悟る。高校生の家から見つけた テープを燃やすレイチェルだが、その瞬間から、エイダンは悪夢にうなされる ようになり……。 ＜レビュー＞ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 不気味なコワさと親子の情愛を絡ませたホラー 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 祝・中田秀夫監督ハリウッド進出！ (⌒▽⌒)／ オリジナル版をリメイクした『ザ・リング』（2002年）の監督はゴア・ヴァー ビンスキーでしたが、今回の続編ではついに自ら監督に抜擢されました。 前作でサマラ（貞子じゃないよ〜ん）の呪いから逃れ、田舎に引っ越したレイ チェル母子。ところが、そこで高校生怪死事件が起き、サマラの呪いが健在だ と知ったレイチェルは、呪いのビデオテープを焼却する。だが、その日から息 子エイダンをサマラが襲い、息子を守るためにレイチェルはサマラの出生の秘 密を探る……。 ホラー映画とはいうものの、お化け屋敷のようなストレートなコワさはありま せん。 そりゃそうだよねぇ〜。前作でサマラの存在や恐怖のビデオテープのネタは出 尽くしちゃってるんだし、日本ではオリジナル版を観た人も多いわけだし。 この映画で味わえるコワさは、もっと深みのあるコワさ。何やら不気味な雰囲 気をジワジワと醸し出して、それによってコワさをあおっていく手法が印象的。 これはハリウッドのホラー映画では異色かも。 全編を包むただならぬ空気と、不可思議な現象の連続。シカご一行様の大襲来 だの（一瞬、デビッド・リンチの映画かと思っちゃいましたぜ）、逆流する水 だの「なんじゃこりゃ？」の世界を創出。ＣＧなどにもタップリお金をかけな がら、心理的なコワさを生み出していきます。 しかし、この映画最大の特徴は、親子の情愛にかなりのウエイトを置いている ところ。サマラの実母の存在（演技派シシー・スペイセクが怪演）に、レイチ ェルの母の愛を絡ませながら、母と子の絆をあぶりだしていきます。 悪霊にとり憑かれたわが子を見て、愛しさと憎しみを同時に感じる母親の複雑 な思いが、的確に表現されています。 『エクソシスト』じゃないけれど、とり憑かれれば、それを除くのは当然なワ ケで、クライマックスは予想通りの展開。しかし、一度あっけなく片がついた と思わせておいて、そのあとのもうひとネタで盛り上げるあたりも、なかなか 見事です。 まあ、難をいえばエイダンがふだんから気色の悪い子供なので、サマラがとり 憑いたところがわかりにくいことかな。 びしょ濡れで頑張るナオミ・ワッツの演技も、適度な悲壮感が漂っていてなか なかのもの。 背筋の凍るような戦慄を期待せずに、不気味な雰囲気と母子の情愛を堪能すれ ば、かなり見応えのあるホラー映画といえるのではないでしょうか。中田監督 の演出は、ハリウッドに違和感なく溶け込みつつ、あちらこちらで自分らしさ を発揮した手堅い演出でした。 ところで、本当にサマラはもう出てこないのか？ フタしただけでＯＫなの か？ うーむ、不安だなぁ〜。あ、その鏡に映った長い髪の少女は誰だ？ ギ ャーッ！！！ (丿￣ο￣)丿 （て、遊んでんじゃないわよ！） 《ぽちのオススメ度》 ★★★☆☆ （そのものズバリではない心理的コワさと、親子の情愛に満ちたホラー。けっ こう見応えがあります。） ＜ぽち＞ 〔鑑賞データ〕 2005年６月20日（月）池袋ＨＵＭＡＸシネマズ４にて。午後１時の回。 |