ケロッグ博士 (THE ROAD TO WELLVILLE)
(1994年 アメリカ)(上映時間２時間)
製作・監督・脚本：アラン・パーカー
出演：アンソニー・ホプキンス、ブリジット・フォンダ、マシュー・ブロデリ
ック、ジョン・キューザック、ダナ・カーヴィ、ララ・フリン・ボイル
【ＶＩＤＥＯ】エスピーオーより発売
＜ストーリー＞
コーンフレークの発明者として知られるケロッグ博士。菜食主義を主張し、禁
欲的な生活こそが長生きの秘訣だと説いていた。そんな彼が経営する健康セン
ターでは、博士の信念にもとづく奇妙な健康法によって人々が集団生活を送っ
ていた。そこにやって来たのがアルコール中毒だったウィル。妻エレノアに勧
められるままに一緒に治療を受けに来たのだが……。
＜レビュー＞
先日、『羊たちの沈黙』のレビューで、アンソニー・ホプキンスについてちょ
っと書いたら、映画大好きの友人から「『ケロッグ博士』を観ろ！ アンソニ
ー・ホプキンスの大傑作だぁ！」と吠えられてしまった。
え？ なにそれ。『ケロッグ博士』？
よくわからないまま、とりあえずビデオ屋さんから借りてきたら、これがスゴ
イ掘り出し物。あんまりおもしろかったから、みなさんにも紹介しちゃいます。 (＾。^/)
アンソニー・ホプキンスが演じるのは、コーンフレークの発明者ケロッグ博士。
そういえば、ありますよね。「ケロッグ・コーンフレーク」ってヤツ……。
この博士、実におバカさん。菜食主義を主張するのはともかくとしても、セッ
クスも体に悪いからダメ。おまけに、羽毛布団やロマンス小説も健康の敵だと
主張する。（なぜだ？）
それもアンソニー・ホプキンスが、あの威厳のある演技で大マジメに主張する
からよけいにおかしいんデス。(＾0＾)
いや、おかしいのを通り越して、背筋がゾクゾクしてきちゃう。もしかしたら
こういう人が独裁者になちゃうんじゃないだろうか。そういう危険な雰囲気が
プンプンするゾ。
そんな博士の言いなりになって、センターで治療に励む人がたくさんいる。
まず、おかしいのが冒頭の集団バカ笑い。音楽に合わせてみんなで「ワッ、ハ
ッ、ハッ、ハッ、ハ」。
たぶん「笑いは健康にいい！」っていうんでやってるんだろうけど、どう考え
たってこの人たち、ただのおマヌケにしか見えません。（＾０＾）
さて、そんなところにやってきたのがマシュー・ブロデリック演じるウィルと、
ブリジット・フォンダ演じるエレノア夫妻。
妻は完全にケロッグ博士に洗脳されているが、夫は気乗りしないままについて
くる。
そんな彼にケロッグ博士の治療の魔の手が伸びてくる。
最初は巨大浣腸攻撃！
続いて、高圧電気風呂だとか、泥バスやミルクバスだとか、とにかくわけのわ
からん機械のオンパレード。どれも博士の発明品らしいが、文句なしに笑えます。
ストーリーそのものよりも登場するキャラクターのおかしさが、この映画の最
大の魅力。
ケロッグ博士はもちろん、ウィルとエレノアだってまともじゃない。
アル中のウィルなんか幻覚で美人の看護婦がハダカに見えちゃうし、すぐに下
半身がらみの方向に進んじゃう。
一方、エレノアはケロッグ博士の主張通りセックスを嫌っているけど、途中で
ドイツ人医師の「ナデナデ療法」（子宮をマッサージするそーです）の虜にな
っちゃう。
ほかにも、どうしようもない人物ばっかりで、まともな人間なんか１人も出て
こないのだ（「まともって何だ？」って聞かれると困りますが）。
それにしても、アンソニー・ポブキンスをはじめ豪華な出演陣。よくもまあこ
んなお下劣な映画に出たもんだ。やっぱりアラン・パーカー監督のご威光だろ
うか？
ホント、な〜んにも考えないで笑える映画。
ただし、極端な健康指向がとんでもない騒ぎを引き起こすあたり、現代の世の
中に通じるブラックな風刺がピリリ。
そして、ケロッグ博士のヘンな主張に集団で従っていく姿は、最近の宗教にか
らんだ事件にもつながっている！？
ま、たしかに健康は大切だけど、あんまり過激になってもねェ。
やっぱり食べたい時に食べて、寝たい時に寝る。自然に生きるのが一番じゃな
いでしょうか。（と不摂生の言い訳をしたりして）
《ぽちのおすすめ度》
★★★+1／2★
（下半身ネタがボンボン出てくるので、そのへんが苦手な人はやめときましょ
うネ）
＜ぽち＞