トロイ(TROY)
（2004年 アメリカ）（上映時間２時間43分）
監督：ウォルフガング・ペーターゼン
出演：ブラッド・ピット、エリック・バナ、オーランド・ブルーム、ディアー
ヌ・クルージェ、ショーン・ビーン
＊丸の内ルーブルほかにて全国公開
ホームページ http://www2.troy.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
＜ストーリー＞
スパルタとトロイが長年続いた戦争の終結を祝った夜、トロイの王子パリス（
オーランド・ブルーム）は、スパルタ王の妻ヘレンと恋に落ちてしまう。ヘレ
ンをスパルタの宮殿から奪ったパリスに対し、怒ったスパルタ王はトロイに戦
いを挑む。千艘もの軍船がトロイの海岸に上陸。その中には、孤高の屈強の戦
士アキレス（ブラッド・ピット）がいた……。
＜レビュー＞
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
壮大なスケールで描く古代史。まあ、神話の豆知識ぐらいにはなるかと……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ホメロスによる叙事詩「イリアス」を映画化した壮大な歴史スペクタクル大作。
神話の世界の伝説的な人物が、テンコ盛りでスクリーンの中で暴れます。最
強の戦士アキレス、トロイの超美形の王子パリス、その兄で数々の戦功をあげ
てきたヘクトル、スパルタのメネラウス王、その兄アガメムノンなどなど。神
話好きにはたまらん世界でしょうなぁ〜。
スケールの大きさは超一級。見るからに金かけてる映画です。
アリのごとく大量の兵士が集結した大軍隊、海を覆い尽くす無数の帆船の群れ、
トロイの高く堅固な城壁など、ＣＧや凝りに凝ったセットを駆使して、当時
の戦いをドラマチックに再現しています。衣装もゴージャスで見応え十分。
ついでに、肉体改造でムキムキになったブラピの肉体も女性ファンには、見応
えタップリでしょう。 (*^｡^*)
なんたって、監督は『Ｕボート』や『パーフェクト・ストーム』のペーターゼ
ンですから、こういうスケールのデカい映画はお手のものなワケだ。
しかも、この映画ときたら、スペクタクルなのに人間ドラマにかなりの重点を
置いています。スパルタとトロイの戦いの発端となったトロイ王子とスパルタ
王妃との禁断の愛、王子と兄との兄弟愛、トロイ王と息子たちとの親子愛、ア
キレスと仲間たちとの友情など、たくさんの人間ドラマを展開しています。
でも、別に胸をグイグイ締め付けるほどのドラマじゃないですね。事件の発端
のトロイ王子とスパルタ王妃との禁断の愛にしても、胸を焦がすようなヒリヒ
リした痛さまでは表現できていない。あんなんで都市国家間の大戦争に発展す
るのは、何となく納得がいかんよなぁ〜。 (~ヘ~;)
ていうか、ホメロスの作品には「神」がたくさん登場して、それが大きなポイ
ントになっているのだが、それをほとんど取っ払っちゃっているから、なんだ
か気の抜けたビールみたいで、パンチ不足なんだよねぇ〜。 (´ヘ｀;)
神話の世界に、現代にも通じる普遍性を持たせようとした意図はわかるけど、
ここまでやることはなかったんじゃないの？
ま、それはそれとして、人間ドラマの中で、どうしてもボクが腑に落ちなかっ
たのがブラピ演じるアキレスのキャラです。彼は最強の戦士でありながら、権
力に従わず一匹狼を貫く。つまり、完全なアウトロー。なのに、彼が戦う理由
が「後生に名を残したい！」というのは、どーなんでしょうか？ (・_・？)
アウトローならアウトローらしく、"戦いたくないのにムリムリ引きずりこまれ
"的キャラ（木枯らし紋次郎！？）とか、"かつて心に負った傷がもとでアナー
キーに突っ走ってしまう"的キャラのほうが、しっくりくると思うんだけど。
しかも、トロイ王の娘が自軍の捕虜になってあわや大ピンチ！ というところ
でアキレスが彼女を救い、そしてやがて恋仲になる。な〜んて、まさにありが
ちな展開。あれじゃ、アウトローというよりは、ただの正義のヒーローじゃな
いですか！？
クライマックスは、あの有名なトロイの木馬の登場。最後の大決戦です。
ところが、そこでのアキレスが、トロイ王の娘を救うためだけに参戦し、最後
は愛の殉教者になってしまう。え？ え？ え？ え？
アキレス君、あなたの戦う動機は、後生に名を残すためではなかったのかね。
それがどうしていきなり愛の殉教者になってしまうのだい？？？ せめて自軍
の王と刺し違えて、反逆のヒーローになるべきじゃなかったのかい？
なんだかアキレスの行動に、イマイチ納得がいかないボクなのであった。
とはいえ、ドラマ的にそんなに深く考えないで観れば、それなりに楽しめる映
画なのでしょう。スペクタクルシーンは満載だし。
スパルタ＝善、トロイ＝悪というような単純な図式ではなく、それぞれにドラ
マを展開したところにも好感が持てました。（ただし、アメリカで思ったほど
ウケなかったのは、その複雑さが原因か？）
ついでに神話にまつわる豆知識も勉強できますからね。
「"アキレス腱"はスパルタの戦士アキレスの足首に矢が刺さって、身動きでき
なくなったことからできた言葉である」
へぇ〜、へえ〜、へぇ〜。
《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆（＋1／2★）【ちょっとだけオススメ。おヒマでしたらどうぞ】
（いかにもスペクタクル大作らしい映画。細かなことを気にしなければ、それ
なりに楽しめるコスプレ劇。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2004年７月５日（月）池袋東急にて。午後12時15分の回。