姑獲鳥の夏
| （2005年 日本）（上映時間２時間３分） 監督：実相寺昭雄 出演：堤真一、永瀬正敏、阿部寛、宮迫博之、原田知世、田中麗奈、松尾スズ キ、恵俊彰、寺島進、三谷昇、すまけい、清水美砂、篠原涼子、いしだあゆみ ＊渋谷東急ほか松竹・東急系にて全国公開 ホームページ http://www.ubume.net/ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ＜ストーリー＞ 昭和27年の夏。小説家の関口巽（永瀬正敏）は、雑司ヶ谷の鬼子母神近くにあ る久遠寺医院の娘・梗子（原田知世）が妊娠20カ月を迎えたという噂を調査中 だった。しかも、梗子の夫は１年半前に突然姿を消したままだった。関口の相 談を受けた古本屋の店主、 京極堂こと中禅寺秋彦（堤真一）は、私立探偵の榎 木津礼二郎（阿部寛）に相談するよう勧める。榎木津の事務所に向かった関口 は、偶然にも久遠寺梗子の双子の姉・涼子と出くわすのだが……。 ＜レビュー＞ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 レトロで不気味な映像は必見！ でも、ドラマ的には胸に響かず 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「姑獲鳥」と書いて＜うぶめ＞と読む。読めねぇよ〜〜〜〜！！！ (≧ヘ≦) ベストセラー作家、京極夏彦のミステリー『京極堂』シリーズ第１作を映画化。 久遠寺医院にまつわる奇怪な噂を耳にした小説家、関口が、友人の古書店主、 京極堂に相談を持ちかける。そこに探偵の榎木津や刑事の木場が絡み、妊娠20 カ月を迎えた娘とその夫の失踪、新生児連続誘拐の真相が明らかになる……。 てなミステリーです。 時代は昭和27年。登場するのは、売れない作家に、いくつもの顔を持つ古本屋 店主、他人の記憶が見える私立探偵などクセのある面々。 しかも、物語に散りばめられた要素は、殺人、誘拐、呪い、妖怪、陰陽師、多 重人格など、実にバラエティーにあふれ、おどろおどろしいものばかり。 このアクの強い物語をうまくまとめているのが、「ウルトラマン」シリーズや、 『無常』『曼陀羅』『あさき夢みし』などのＡＴＧ作品、そして荒俣宏の小説 の映画化『帝都物語』などで知られるベテラン実相寺昭雄監督。 いやぁ〜、映像が素晴らしく光っていますねぇ〜。 アートな雰囲気のブッ飛んだ映像を中心に、独特の映像世界を生み出していま す。 観るからにアヤシクて、風情があって、しかも美しくて、ついついスクリーン に目が釘付けになってしまうのです。 それに貢献しているのが美術。昭和27年というレトロな空気を再現し、さらに 妖気漂う空間を創造。古本屋の京極堂、事件の舞台となる異様なたたずまいの 久遠寺医院、歩く者にめまいを起こさせる眩暈坂など、どれも見事な舞台装置 です。よくぞここまで作り込んだもの。こちらもベテランの美術監督、池谷仙 克に拍手！！ (*‘−’)//” こうして見応えタップリの映像世界が展開されるのだが……。 うーん、脚本がイマイチなんだよなぁ〜。原作は文庫で上下２冊の大作だから、 まとめるのが大変なのはわかるんだけどサ。 駆け足で筋を追っているようで、余白が全然ありません。いろんな要素がゴチ ャゴチャしたままで、情感が漂う隙間がないのです。 たとえば、人間の業の深さとか、屈折した愛とか、そういうものがあんまり見 えてこないんですよねぇ〜。 (-＿-) だいたいナゾに迫る４人（古本屋店主、作家、探偵、刑事）もつまらんゾ！ それぞれのキャラはおもしろいのに、お互いにうまく絡んでいかないから、ど うしても散漫な感じがしちゃうのだ。 本当なら胸がドキドキするはずの、恐ろしい謎解きも、「はぁ？」って感じで サッーと通り過ぎてしまいました。セリフで説明するばっかりだから、ちっと も迫力がありません。 小説でジワジワと謎解きされたら、おもしろいネタなんでしょうけどねぇ〜。 おかげで、ゾクゾクするコワサに欠けた深みのない映画になってしまいました。 役者はみんな存在感があります。京極堂の堤真一、関口の永瀬正敏、榎木津の 阿部寛、木場の宮迫博之はもちろん、原田知世、いしだあゆみ、すまけいのコ ワサは衝撃的。特にいしだサンはこの世のものとは思えない怖ろしさ。 ちなみに、京極氏も自らご出演。アンタも松本清張みたいに出たがりなのか？ 結論を言えば、それなりに原作をソツなくまとめているので京極ファンは楽し めるかも。それに、独特の映像世界は観る価値があるので、映像美に浸りたい 方にもオススメできるかもしれません。 逆に、背筋ゾクゾクのコワサを体験したり、人間のオドロオドロしい面をのぞ きたい方には、かなり物足りない映画だと思います。 おまけ。 カエル顔の赤ん坊って、ケロヨンを思い出して笑っちゃったんですけど。ケロ ヨーン！ バハハーイ！！ (⌒ー⌒)ノ~~~ 《ぽちのオススメ度》 ★★☆☆☆ （原作をうまくまとめているものの、セリフのみで筋を追うつまらなさが目立 つ。小説を読んでから観ればそれなりに満足できるかもネ。） ＜ぽち＞ 〔鑑賞データ〕 2005年７月16日（土）ユナイテッドシネマとしまえんにて。午後２時30分の回。 |