アンブレイカブル(UNBREAKABLE)
（2000年 アメリカ）（上映時間１時間47分）
監督：Ｍ．ナイト・シャマラン
出演：ブルース・ウィリス、サミュエル・Ｌ・ジャクソン、ロビン・ライト・ペン
＜ストーリー＞
大列車事故に遭遇したデヴィッド（ブルース・ウィリス）は乗客の中でただ１
人生き残る。しかも無傷で……。そんな彼に、謎のコミック・コレクターのイ
ライジャ（サミュエル・Ｌ・ジャクソン）からメッセージが届く。彼によれば、デヴ
ィッドはコミックに出てくるような「救世主」だというのだが……。
＜レビュー＞
だ〜から言ったでしょ。『シックス・センス』の時に。
Ｍ．ナイト・シャマラン監督は詐欺師だって……。 (＾0＾)
この映画のラストでも、『シックス・センス』と同じように意表をついたドン
デン返しで観客をあ然とさせる。詐欺師としての腕は健在だ。
かつてはフットボールの花形選手で、現在は警備員をしているデヴィッド・ダ
ン。妻と息子と平凡な暮らしを送る彼だったが、家族との仲はギクシャクして
いた。
そんな彼が、乗客131人が亡くなった大列車事故で、ただ１人無傷で生き残る。
いったいなぜ助かったのか、本人にも医師にもわからない。
やがて彼のもとに、コミック・コレクターでギャラリー経営者のイライジャか
らメッセージが届く。「これまでにお前が病気にかかった日数は？」
イライジャは、生まれつき骨がもろい難病で、何度も骨折を繰り返してきた。
彼の話では、世の中には自分のように弱い人間と、正反対の「アンブレイカブ
ル＝壊れない」人間がいて、それがデヴィッドだというのだった……。
うーん、この人物設定は、なかなかおもしろいですねぇ。
絶対に死なない不死身の男と極端に虚弱な男。まったく正反対のこの２人が、
いったいどんな波乱の物語を展開してくれるのか。期待は高まるばかり！！ O(^-^)O
ところが、その後の展開は予想外にシンプル。
イライジャがデヴィッドに対して、「キミはコミックのヒーローみたいに不死
身なんだぁ！！」とひたすら迫りまくるのだ。本人の迷惑も考えずに……。
これって、完全なストーカーやんけ！ (＾。^/)
で、やがて、デヴィッド本人も、自分の不思議な能力を自覚してその気になっ
ちゃうんですよねぇ。
そして、その先は……。
おっと！ これ以上言うと、映画会社に殺されそうなんでやめときます。
「もしもコミックのヒーローが実在したら……」
そんなアイデアや設定はホントにおもしろいんですヨ。
それに、独特の緊迫感がたまらない。
途中まで、いったいどこに話が進むのかまったくわからないから、観客にとっ
ては不透明で不安。その不安が、主人公が抱えるぼんやりした不安とうまくリ
ンクしているから、なんともいえないドキドキ感が持続する。
だ〜が、よく考えたら、その主人公の不安の原因がよくわかんゾ！！
「自分は人とは違うかも……」という思いが、彼を不安にさせているのか？
でも、彼がそれを自覚するのはだいぶ後になってからじゃないか？
それ以前にも、潜在的な意識を持っていたというのか？
よくわかんなぁ〜い！！ (？_？)
それに、彼が突如として、透視能力みたいなものを発揮しだすところはどう考
えても強引。「不死身」と「透視能力」じゃ、まったく異質なものだと思うん
だけど……。
コミックのヒーローなら、何でも許されるワケ？
そこんところの描き方は、完璧にご都合主義。
だいたい、製作者側はこの映画で何を言いたかったんだ？
ん？ 別に何かを言いたかったわけじゃない？ ただの娯楽作品だって？
でもさぁ、ＰＲ資料や監督インタビューなんかでは、「『善と悪』『生と死』
『家族』、そういうテーマを描きたかった」なんて話になってるんだぜぇ〜。
バーカ言うんじゃありません！ この映画のどこにそんなもんがある！？
確かに表面はカスってるけど、そこから先は全然掘り下げられていない。
これを観て、「うーん、善と悪とは？ 生と死とは？」なんて考える人は、テ
レビでキムタクの『ＨＥＲＯ』を観ても、そういうことを考える人デス。
だからさぁ、これってある種のパズルとか、ゲームみたいな映画でしょ？
何かに感動するとか、テーマについて深く考えるとかいうんじゃなくて、ラス
トのドンデン返しや、途中の隠しアイテムを楽しむ映画なんだよね。
だって、帰りに渡される「解説マニュアル」にも、隠しアイテムの解説が載っ
てるもん。
そういうつもりで観れば、それなりに楽しめるサスペンスなんじゃない？
観客の不安感をあおるような独特のカメラワークも効果的だし。
ただねぇ、あのラストはどうなのよ？
『シックス・センス』のラストは、「ああ、そうだったのか」って納得できる
部分もあったし、主人公の悲しみみたいなものが伝わってきた。
だけど、今回は、そういう余韻はまったくナシ。
ビックリ度も『シックス・センス』に比べれば、かなり落ちると思うんだけど……。
もしかしたらシャマラン監督自身、今回のラストには自信がなかったのかも。
だって、映画の前半で、登場人物に「この話、最後に驚くそうよ」なんて、念
押しさせてるんだもん。やれやれ ┐(´-｀)┌
この映画のシナリオには５億円！の値がついたそうです。
実話モノとか、リメイクとかばっかりで創作ドラマのレベルが低い最近のハリ
ウッド。その中じゃ、それなりに評価はできるんだろうけど、僕だったら１億
円だって払わんな。
（そんな金持ってないだろうが〜！！）
それにしても、すっかり演技派気取りのブルース・ウィリス。ここで、アメコ
ミのヒーローもどきを演じたのはなんとも皮肉。不死身のヒーローだなんて、
『ダイ・ハード』の復活か！？
でも、このヒーローったら、ちょっと頭悪そうなんだよなぁ〜。 (＾。^/)
笑ったのは、サミュエル・Ｌ・ジャクソンの髪型。なんじゃありゃ？
コミックおたくっていうよりも、ギャグ漫画の登場人物みたいだゾ。
デヴィッドの息子役の子に、オスメント君ほどの魅力がないのもマイナスポイント。
で、シャマラン監督が、また自ら出演しちゃってるのも困ったもの。
ホント、いい加減にしなさい！！ (・_*)＼ペチ
《ぽちのオススメ度》
★★
（これから観る方はあんまり期待しすぎないほうがいいと思う。特にラストは
期待しすぎると、「アララ……」って感じになるかもしれないので、ご注意を。）
＜ぽち＞