運命の女(UNFAITHFUL)


(2002年 アメリカ)(上映時間2時間4分)
監督:エイドリアン・ライン
出演:リチャード・ギア、ダイアン・レイン、オリヴィエ・マルティネス
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<ストーリー>
会社社長の夫エドワード(リチャード・ギア)と幸せな生活を送っていたコニ
ー(ダイアン・レイン)は、風の強い日にフランス人青年ポール(オリヴィエ
・マルティネス)と知り合う。やがて関係を持った2人は情事を重ねる。不審
を抱いたエドワードは探偵を雇って事実を知りポールの元に乗り込むが……。

<レビュー>
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平凡な不倫ドラマだが心理描写の巧みさとバランス感覚が光る
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実直な夫と可愛い子供に囲まれて幸せな生活を送る主婦。だが、ある日、突然
現れた青年に心も体も奪われて……。

こんな平凡な不倫ドラマを2時間もかけて描くんじゃないッ!! (`´メ)
と観る前は思っておりました。
ですが、どっこい、これがなかなかよくできた映画なんですヨ〜。
『フラッシュダンス』『危険な情事』『ナインハーフ』のエイドリアン・ライ
ン監督の演出がスゴイんです。 W(゜O゜)W

まず、オープニングの強風が印象的。強風っていうか、ほとんどもう嵐なんで
すけどね。それが原因で主婦コニーがフランス人青年ポールと出会うワケ。同
時にこの強風は、その後の波乱の予兆でもあるんです。
なにもあそこまで強い風にしなくてもいいと思うんですが、そこがライン監督
のこだわり。

映像的にもかなりこだわっていて、例えば後半で洗車中の車を内部から映すシ
ーンがあるんですが、それが実に不思議な感じで美しい。
こういう鮮烈なシーンがいくつもあるのに、けっして独走はしません。自分の
こだわりとエンタメ性をきちんと両立させている。
あちらこちらに登場するエッチなシーンも、「これ以上やったらやり過ぎ!」
というところで、ちゃ〜んと寸止めするのネ。エロいのはエロいけど節度は保
っている。このあたりのバランス感覚は心憎いばかり。 (^_-)-☆

でも、それ以上に感心したのがきめ細かな心理描写です。登場人物のちょっと
したしぐさや、どうってことないアイテムを使いながら微妙な心理を表現して
いくんです。例えば手の触れ方だけで、その人の心の内面を写し取っちゃう。
いやぁ〜、かないまへんわ。こんなスゴイことされたら。
点字の本、スノードーム、ワイングラスなどなどのアイテムの使い方も巧みで
すねぇ〜。

最初のうちは「いかにもって感じだよなぁ〜。あの程度の男にそう簡単に引っ
かかるのか!?」と思ったコニーとポールが深い仲になる場面も、コニーの心
の動きがしっかり描かれるので、力ずくで納得させられてしまいました。(そ
れでもアラはあるけどサ。)

その後も、コニーが不倫の罠にはまりつつ夫にひた隠しにする複雑な心理や、
エドワードの妻への疑念や嫉妬の気持ちなどが、ていねいに描かれていく。
おかげで、いまどき昼メロでもやらないような陳腐な不倫劇が、見応えある心
理サスペンスに大ヘンシン〜! \(0\0)ゝ

後半は、ある事件が起きて大変なことになるんですが、これもありがちな話。
それでも、それぞれに重荷を背負った夫婦の苦悩が伝わってきて見応えアリ。
特に「あの強風さえ吹かなければ。タクシーさえ止まってくれたなら!」とい
うコニーの嘆きがヒシヒシと伝わってきて痛々しい〜。
余韻を持たせたラストも見事でした。

リチャード・ギアのシブい演技と、平凡な主婦と大胆な女性の二面性を表現し
たダイアン・レインの演技も見応えがあります。2人とも抑え目な演技がこの
映画のタッチにピッタリ合っていました。

エイドリアン・ライン監督の心理描写の巧みさと絶妙のバランス感覚のおかげ
で、どうしようもない不倫劇が見応えあるドラマに仕上がりました。これだけ
ありふれた話をここまでの映画にする手腕は稀有のものといえるでしょう。

ですが!!!
やっぱりストーリーのつまらなさは、かなりのマイナスだよなぁ〜。後半でも
うひとヒネリするとかして、話自体にも多少魅力を加えればもっともっと良い
映画になったと思うんですけれど。これだけ陳腐なストーリーだとねぇ〜。

なに? 「それじゃオレの才能が目立たなくなるだろッ!」とエイドリアン・
ライン監督が言ったとか言わないとか!? (^。^/)

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
(エイドリアン・ライン監督の手腕と役者の演技を楽しむ映画。残るものはあ
まりないけれど、入場料分ぐらいは楽しめるはず。)
                             <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2003年1月14日(火)池袋HUMAXシネマズ4にて。午前11時30分の回。


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