わたしのグランパ
（2003年 日本）（上映時間１時間53分）
監督・脚本：東陽一
出演：菅原文太、石原さとみ、浅野忠信、伊武雅刀、波乃久里子、平田満、宮
崎美子
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＜ストーリー＞
中学一年生の五代珠子（石原さとみ）は、不良グループからいじめを受けてい
た。そんなある日、13年間刑務所に入っていた祖父、五代謙三（菅原文太）が
帰ってくる。正義感が強く昔かたぎの彼の存在によって、珠子へのいじめはな
くなり、ぎくしゃくしていた両親の関係までよくなっていく。最初は戸惑って
いた珠子も、しだいに謙三と心を通わせていくのだが……。
＜レビュー＞
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シビれるぜ！ 菅原文太のカッコよさ。それだけで充分に観る価値アリ
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筒井康隆の同名小説を映画化した作品。脚本・監督は、『サード』（1978）、
『橋のない川』（1992）、『絵の中のぼくの村』（1996）などで知られる大ベ
テランの東陽一。
物語は、中学一年生の珠子のもとに祖父の謙三が現れるところから始まる。彼
は殺人を犯し、13年間刑務所に服役していたのだ。
そんな彼の登場以来、珠子へのいじめながなくなるなど、周囲は大きく変わり
始める。珠子は謙三に心を開くようになるが、やがて大事件が起きて……。
いやぁ〜、"グランパ"こと謙三さんたら、カッコよすぎですぅ〜〜〜〜！！！
ムショ帰りなんて聞くとコワイ感じがしますが、とんでもありません。正義感
が強くて、不正を見たら見逃せない。困っている人がいたら、手を差し出さず
にはいられない。だから、町の人たちには大人気。
刑務所に入るきっかけになった殺人事件にしても、殺された友人のかたき討ち
のために起こしたもの。いわば義憤に駆られての行動だったんですよねぇ。
ふだんはニコニコと優しい笑顔を浮かべている。でも、不正には厳しく立ち向
かう。何しろ不良グループの襲撃にもひとりで立ち向かうんですから。最初は
警戒していた孫の珠子チャンも、少しずつグランパに心を開いていきます。
珠子チャンとグランパの交流でいちばん微笑ましいのは、ホテルでの新年パー
ティーの場面。謙三さんは、珠子チャンにドレスを買ってあげて、自分はダン
ディーな背広姿を披露。おまけに、ジャズのスタンダードナンバーまで見事に
歌い上げるんです。あんなグランパなら、誰だって絶対にクラクラきちゃいま
すよねぇ〜。 _φ(^^*)φ
謙三を演じる菅原文太がもうハマリ役すぎますぜ。シビれる、シビれる。
最初に着流しで登場した瞬間から、有無を言わせぬ存在感がスクリーンにあふ
れています。
「原作者の筒井康隆に演じさせた方がおもしろかったんじゃないか！？」な〜
んて観る前は無責任なことを考えていたんですが、とーんでもない。
悪ガキたちがいきなり従順になったりして、かなり都合のいい部分もたくさん
あるんですヨ。でもねぇ、菅原文太の存在感ですっかり納得させられてしまう
んです。
ただし、こういう人がいると身近な人はけっこう大変です。見て見ぬふりをす
れば済んじゃうことにも、どんどん首を突っ込んでしまうわけですから。
そんな中、珠子チャンと謙三さんに、ある魔の手が迫ります。
それに対して謙三さんが取った対抗手段が、抱腹絶倒の意外な手段。こういう
笑える場面が多いのも、この映画の楽しいところ。
それにしても謙三さんって魅力的。彼は、今の大人がすっかりなくしちゃった
ものを持っています。
他人なんかどうなろうと知ったことじゃない。関わり合いになってトラブルに
でもなったら大変だ。黙ってやり過ごそう。そんな現代の世相だけに、昔かた
ぎの謙三さんについひかれてしまうんですよねぇ〜。 (*^o^*)
まあ、でも、現実にあんな人はいるはずがないわけで、この映画自体、ある種
のファンタジーといえるでしょう。特に後半はファンタジー色が強くなって、
アッと驚きの怪現象まで起きちゃいます。
そんなファンタジーを通して、人間にとって大切なことを思い起こさせてくれ
るのがこの映画。
「世の中なんてどうしようもないけど、自分の周りをちょっとだけ良くするこ
とはできるんじゃない？」
残念なのは全体の構成がやや雑なこと。中盤まで同じような展開がずーっと続
いて少し飽きるんですよね。で、後半になってバタバタと嵐の如く話が急展開
して終わってしまう。あのあたりはかなり不満。 (｀ヘ´)
それに、登場人物の心理をセリフだけで表現しているところが多くて、そのあ
たりももっと緻密に練り上げたら、誰もケチのつけようがない素晴らしい映画
になったと思うんだけどなぁ〜。 (´ヘ｀;)
まあ、それでも最近の日本映画の中では秀作と呼べるのではないでしょうか。
観終わってホッとする温かな雰囲気が、いかにも東監督らしくて心地よい。
主人公の「男気」に触れるだけでも観る価値アリ。文太兄ぃったら、カッコよ
すぎるぜ！！
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（＋1／2★）【かなりオススメ。観たほうがいいんじゃない？】
（温かな気持になりたい方はぜひどうぞ。映画初出演の石原さとみチャンも頑
張っています。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2003年４月７日（月）シネマサンシャインにて。午後３時30分の回。