第14回東京国際映画祭コンペティション部門参加作品
週末の出来事 (WEEKEND PLOT)
（2000年 中国）（上映時間１時間31分）
監督：チャン・ミン
出演：チャン・ヤーリン、グゥオ・シャオドン
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＜ストーリー＞
ある夏のこと。北京に住む５人の若者が故郷の町で週末を過ごすことになった。
故郷に残った幼なじみが加わり、川辺で過ごす６人は「死ぬまであなたを愛しぬ
く」と書かれたメモを見つける。それがきっかけとなって６人の間に波紋が広がり……。
＜レビュー＞
今は都会に出た若者たちが故郷へ戻り、地元に残ったかつての仲間と休暇を
過ごす。そこで、少しずつ各人が抱えた様々な葛藤が明らかになってくる……。
こういう話を僕は勝手に「お盆モノ」と呼んでおります。 (＾0＾)
ホラ、だいたいみんなお盆に田舎に帰って同級会とかやるわけヨ。で、そこでスッ
タモンダするっていうある種の定番ドラマなわけね。
この映画もそれに近い感じの物語で６人の男女の群像劇。
その中でも中心になるのが、ヒロインとフィアンセ、そしてかつて高校時代にヒロ
インとつきあっていた地元の警官の話。
この警官は、男たちに襲われたヒロインを助けようとしてケガをして、そのため大
学受験を断念。仕方なく地元の警官になって、今は妻も子もいる。ま、色々と屈
折した思いがあるわけです。
この３人の関係を中心に、６人の微妙な関係と感情を静かなタッチで描いています。
感心したのは、これをたった１日だけの、しかもほとんど限定した場所でのドラマ
にしたこと。河辺と洞窟が舞台で、衣装はほとんど水着。（コラコラ、ヘンな期待
するんじゃない。そりゃあ、ナイスバディの女優さんも出てますけどね。）
凝縮された場所と時間の中で、まるで舞台劇のように濃密で緊迫した男女の会
話が展開されていきます。
静かで、ドライ、そしてどことなくミステリアスなタッチも印象的。これは、監督自身
も語っているように、ゴダールをはじめとするかつてのヌーヴェル・ヴァーグ映画の
影響がかなりあると感じました。
やりきれなさを残したままのラストの唐突な終わり方も、これまたいかにもヌーヴェ
ル・ヴァーグ風だなぁ〜。衝撃的でなかなかカッコいいですヨ。ジャ〜ン！！！ Ｗ（゜o゜）Ｗ
ただ、「死ぬまで愛しぬく」という紙切れがきっかけになって６人の間に波紋が広
がる……という設定にはちょっとムリも感じましたね。もう少し別のもっとミステリア
スなネタにした方がよかった気がします。
それから、わざとドラマチックな要素を排して、日常の何気ない出来事を描きたいと
いう意図はよ〜くわかるんですけど、それにしたって、もうちょっと全体にメリハリが
あってもよかった気がするなぁ〜。
警官の妻が夫の態度に激怒して爆発するあたりも、ちょっと平凡すぎる感じ。その
へんの描き方がちょっと弱いかもネ。 (´ヘ｀;)
それでも、ありふれた物語をヌーベル・バーグ風の斬新な切り口で見せたところは、
なかなかのもの。（特に従来の中国映画から見れば、かなり大胆なスタイルなんでしょう。）
「中国映画を変革したい！」という監督の意気込みがよ〜く感じられました。良くも悪
くも、中国の新世代の監督を象徴するような映画です。 (*^。^*)
まあ、商業的にはかなりキツイでしょうけど……。
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（グランプリでも取らないと、日本じゃ公開できないんじゃないか!? そのぐらいジミだもん。
意欲作ではあるけれど……。）
＜ぽち＞
＜鑑賞データ＞
2001年10月29日（月）午後11時20分から。オーチャードホールにて。
舞台挨拶、ティーチ・インあり（監督＆主演女優）