山の郵便配達 (那山 那人 那狗)
（1999年 中国）（上映時間１時間33分）
監督：フォ・ジェンチイ
出演：トン・ルゥジュン、リィウ・イェ、ジャオ・シィウリ、ゴォン・イエハン、
チェン・ハオ
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＜ストーリー＞
1980年代初頭の中国湖南省西部。交通手段のない険しい山岳地帯を集配して回
る郵便配達人が足を悪くして引退。彼の息子が仕事を引き継ぐことになる。２
人は引継ぎを兼ねて、２泊３日の配達に出かけるが……。
＜レビュー＞
こんなに険しい山道を郵便配達して回る人がいたとは！
やっぱり郵政民営化になったら、合理化されて、こういう場所には郵便が届か
なくなっちゃうんでしょうか？ 小泉純一郎さん。
て、日本じゃなくて中国の話だっちゅうに！ (^０^)
とにかく想像以上の険しい山道を２泊３日かけて郵便を集配する旅。大きなリ
ュックに郵便物を詰め込んで、山から谷へ、川を渡り、ひたすら歩き続ける父
と子。
でも、父の同行は予定外なんですヨ。
最初は息子が１人で行くはずだったのに、道案内役の愛犬「次男坊クン」（こ
のワンちゃんが名演技!!）が父にピッタリくっついて出発しようとしない。そ
こで、父は「そんならワシも行こうかい」と同行することになったワケ。
この設定が生きてるんです！ (^-^)
息子にしてみりゃ、父の存在はちょっとウザい。なんたって、自分よりも経験
も知識も豊富だし、村々の住民ともバッチリ心が通っているんだから。
おまけに、この息子、父のことを「父さん」と呼べない。仕事のためにほとん
ど家にいなかった父に対して、幼い頃から距離を感じていたのだ。
この屈折した感情がいいですねぇ。
けっして犬猿の仲っていうわけじゃないけど、親密な親子でもない。その微妙
な距離感の描き方が見事。
旅の途中、２人の心はどことなくスレ違ったまま。
たとえば、ある村で、盲目のオバアサンに父が手紙を読んでやるシーンがある。
孫からの手紙だというのだが、実はそれは真っ赤なウソ。孫は手紙など出し
ていなかったのだ。
もちろん、オバアサンのことを思っての父の行動なんだけど、息子はそれはお
かしいと言う。「本当のことを話したほうがいい！」と主張する。
最初にこのシーンが登場した時、「ああ、息子は父の温かな心に感動するんだ
なぁ〜」と勝手に思い込んじゃった。でも、実際は、２人はそう簡単に融和し
ない。かえってギャップがクッキリと浮き彫りになる。このあたりのもったい
ぶった展開はなかなかニクイ。 (^-^)
それでも、旅を続けるうちに、２人の心に変化が訪れる。
ポツリポツリと会話をしつつ山道を歩き続けたり、村々の住民と触れ合ったり
するうちに、お互いの心を少しずつ理解するようになる。
その象徴的なシーンが、途中で２人が川を渡る場面。
ここ、涙ナシに観られませんぜ。お客さん。 (T^T)
ま、これといって、特に大事件が起きるような映画じゃないんですけどね。
２人の心に引っかかった過去の記憶なんかを再現しつつ、淡々と旅の様子が描
かれていくんです。
それを通して、親子の情愛や、仕事に対する思いなんかが、押し付けがましく
なくソッと伝わってくる。この控えめな感動が、とってもいい感じなんですヨ〜。
(*^。^*)
世間のこの映画に対する評価はかなり高い。
で、性格のゆがんだ＜ぽち＞は、「どっかケナしてやろうかい！
(▼、▼メ)
」と思って乗り込んだんだけどサ、うーん、これといって気になったところは
なかったなぁ。
ドラマ的な盛り上がりの少なさも、美しい中国の大自然が充分カバーしてくれ
ていたし……。
ゴメン、今回は完敗です。（って、いったい何を勝負してんだか……）
ただし、ハリウッド的なドキドキの展開や大ドンデン返しぃ〜みたいなエンタ
ーティメント性は、な〜んもありませんヨ。最新テクもゼロ。
だから、そういう映画が好きな人は観ない方がいい。
でも、さわやかな人間ドラマに感動したい人は必見だぜぃ！
特に、最近、親子関係に悩んじゃったりしてる人は、色々考えさせられるんじ
ゃないかなぁ。
こういう映画がつくられるっていうのは、もしかして最近の中国の親子関係も、
かなりヤバイ状況なんでしょうか？ ねぇ、田中真紀子さん。（だから中国
の話しだっちゅうにぃ〜!!）
《ぽちのオススメ度》
★★★★
（インディーズっぽいアバンギャルドな映画があるかと思えば、こういう穏や
かで静かな映画もある。最近の中国映画の奥は深いなぁ〜。）
＜ぽち＞